農業とECが農村を変える:若手起業家ワン・ジエンウェンの挑戦 video poster
オンラインで野菜を買うことが当たり前になった今、農村の現場では何が起きているのでしょうか。若手起業家ワン・ジエンウェンさんは、野菜の生産とEコマース(EC)を一体化したモデルで、農家の収入と農村の暮らしを変えつつあります。
都会から故郷へ:ひとりの若者の決断
ワン・ジエンウェンさんは、一度は都市での生活や仕事を経験したあと、あえて故郷の農村に戻る道を選びました。きっかけになったのは、「現代のテクノロジーを使えば、農村はもっと元気になれるはずだ」という思いだったとされています。
彼は、農村での仕事が「選ばれない職業」になっている現状を変えたいと考えました。もし、安定した収入とやりがいのある仕事があれば、若い人たちも故郷に戻る、あるいは残る選択肢を取りやすくなります。そうした環境づくりこそが、自分の役割だと位置づけたのです。
野菜生産×ECの「ダイレクト販売モデル」
ワンさんが立ち上げたのは、野菜の生産とオンライン販売を一体化させた、消費者への直接販売(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルです。従来のように仲買人を何段階も経由するのではなく、生産者と消費者がオンライン上で直接つながる仕組みです。
このモデルでは、
- オンラインでの注文データをもとにした生産計画
- 収穫後すぐに出荷できる体制づくり
- 品質や栽培方法を分かりやすく伝える情報発信
といった工夫によって、鮮度の高い野菜を安定して届けることを目指しています。買う側にとっては「どこで誰が作ったか」が見えやすくなり、売る側にとっては「誰にどれくらい売れているか」が把握しやすくなる点が特徴です。
物流ネットワークの強化で「売れ残り問題」に変化
ワンさんの取り組みを支えたのが、近年整備が進んだ物流ネットワークです。かつて多くの農村では、近隣の市場や卸売先に売れないと、野菜が余ってしまい、価格が急落したり、売れ残りが廃棄されたりすることが大きな課題でした。
しかし、オンラインで注文を受け、地域の物流拠点から都市部へと効率的に送る仕組みが整うことで、売り先の幅が一気に広がります。需要がある場所へスピーディーに商品を動かせるようになったことで、「せっかく作ったのに売れない」というリスクが大きく減り、市場全体の効率も高まったとされています。
農家の所得向上と生活の手応え
こうした変化は、農家の家計にもはっきりと現れています。流通のムダが減れば、その分だけ生産者に戻るお金が増えます。仲介コストが抑えられ、一定の価格で安定的に買い取られることで、農家は「今年はいくらぐらいになるか」の見通しを立てやすくなります。
ワンさんのモデルに参加した農家は、
- 収入が増えたことで、設備投資や新しい作物への挑戦がしやすくなる
- オンラインで消費者の声を直接知ることで、栽培の工夫につなげられる
- 家族や若い世代が農業を前向きにとらえ直すきっかけになる
といった変化を実感しているといいます。収入だけでなく、「つくったものがきちんと届き、喜ばれている」という実感が、農業を続けるモチベーションにもつながっています。
若者とテクノロジーが農村にもたらすもの
ワン・ジエンウェンさんの挑戦は、農業や国際ニュースに関心を持つ読者にとって、いくつかの示唆を与えてくれます。
- テクノロジーは、農村の課題解決にも使える
- 若者のアイデアと地域の経験が組み合わさることで、新しいビジネスモデルが生まれる
- 物流やデジタルインフラが整うと、地方でも多様な働き方が可能になる
こうした動きが広がれば、「都市か地方か」という二者択一ではなく、「好きな場所で、テクノロジーを活かしながら働く」という選択肢が、より現実味を帯びてきます。
これからの「農業×デジタル」を考える視点
もちろん、ECや物流が整えばすべてが解決するわけではありません。デジタル機器やネットサービスに不慣れな人へのサポート、公平な利益配分、環境への負荷を抑えた生産方法など、考えるべき課題も多く残ります。
それでも、ワン・ジエンウェンさんのように、農村に戻って新しいモデルに挑戦する若者がいること自体が、地方の可能性を映し出しています。2025年の今、農業とデジタル経済の接点に目を向けることは、私たち自身の働き方や暮らし方を見直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
E-commerce boosts rural farming: The journey of a young entrepreneur
cgtn.com








