中国象棋の名人とベトナムの弟子たち 盤上から広がる文化交流 video poster
ベトナムを訪れた中国象棋(シャンチー)の名匠・鄧桂林(デン・グイリン)さんが、現地の若い棋士2人と出会ったことから始まった物語です。数年にわたる師弟関係は、いまや中国とベトナムをつなぐ静かな文化交流の象徴となっています。
ベトナムで生まれた師弟の縁
中国象棋、いわゆる中国将棋は、中国で広く親しまれているボードゲームで、日本の将棋とよく似た駒や盤を使いながらも独自のルールを持ちます。そんな競技の世界で知られた中国の名人、鄧桂林さんは、かつてベトナムを旅した際、現地の若手有望株と出会いました。
2人のベトナムの若手は、すでに地域では知られつつある実力者でしたが、世界レベルの指導者と直接話す機会は多くありませんでした。鄧さんは彼らのまなざしや対局への姿勢に可能性を感じ、アドバイスを送り、やがて師弟関係が生まれていきました。
盤上で育つ、言葉を超えた共通言語
言葉が異なる中国とベトナムですが、盤上に駒を並べた瞬間、共通言語が生まれます。中国象棋の一手一手には、考え方や性格、リスクの取り方など、その人らしさがにじみ出ます。
鄧さんと2人の弟子たちは、実戦と検討を繰り返しながら、次のような形で互いを理解していきました。
- 対局を通じて読みの深さや発想の違いを知る
- 終局後の振り返りで、お互いの思考プロセスを共有する
- 勝ち負けよりも、どれだけ新しい発見があったかを重視する
こうしたやり取りを重ねるうちに、3人の間には、国境を超えた信頼関係が育っていきました。ゲームそのものが、文化や価値観の違いを尊重しながら学び合うための場になっているのです。
中国象棋が映す、中国とベトナムの近さ
中国とベトナムは地理的にも文化的にも近い存在で、歴史的に多くの交流を積み重ねてきました。中国象棋もまた、その一つとして両国で楽しまれている伝統的な娯楽です。
鄧桂林さんとベトナムの弟子2人による師弟トリオは、この伝統的なゲームを通じて、両国の人びとが互いの文化に親しみを持つための「橋」の役割を果たしています。国際ニュースでは政治や経済が大きく取り上げられがちですが、こうした静かな交流も、両国の関係を下支えする重要な要素と言えます。
デジタル時代に広がる盤上の交流
近年は、スマートフォンのアプリやオンライン対局サイトを通じて、中国象棋を楽しむ人が世界各地で増えています。中国語が読めなくても、配信される対局動画や解説を視覚的に追うことで、上級者の一手を学ぶことができます。
こうしたデジタル環境は、中国とベトナムのような近隣の国だけでなく、日本を含む他の国や地域にも、盤上の文化交流を広げています。日本語ニュースとしてはあまり大きく取り上げられない分野ですが、東アジアの動きを知る一つの窓口として注目に値します。
私たちへの示唆:趣味がつなぐ国際社会
鄧桂林さんとベトナムの弟子たちの物語からは、次のような示唆が読み取れます。
- 一人の専門家と数人の若者という小さな出会いでも、国境を越えた文化交流のきっかけになりうること
- ゲームやスポーツのような「遊び」が、相互理解や友情を育てる重要なツールになりうること
- ニュースで語られる大きな政治や経済だけでなく、人と人の関係に目を向けることで、国際情勢の見え方が変わること
通勤時間やスキマ時間にスマートフォンで国際ニュースを追う私たちにとっても、自分の趣味や関心を通じて世界とつながるヒントが隠れています。中国象棋に限らず、ボードゲームや音楽、スポーツなど、身近なテーマから他国の文化をのぞいてみることで、日々のニュースの読み方も少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








