荒地からオアシスへ 中国・寧夏ホンシブを変えた灌漑プロジェクト video poster
中国北西部の寧夏回族自治区ホンシブ地区で、荒れ地だった一帯が大規模な灌漑プロジェクトによってオアシスへと生まれ変わり、およそ23万人の暮らしが変わりました。
砂嵐に覆われたホンシブ 1998年以前の姿
1998年以前、寧夏回族自治区のホンシブ地区は、砂嵐にたびたび見舞われる不毛の土地でした。強い風と砂じんに覆われる環境は、農業にも日常生活にも厳しく、人びとの将来像を描きにくい地域だったと想像されます。
ヤンホアン灌漑プロジェクトとは
転機となったのが、Yanghuang Irrigation Project(ヤンホアン灌漑プロジェクト)です。このプロジェクトは、黄河から水を引き上げ、ホンシブ一帯に届けることで、地域の運命を大きく変えました。
最大の特徴は、四段階のポンプシステムで黄河の水をおよそ300メートルの高低差を越えてくみ上げる仕組みです。高度差のある地形に水を運ぶことで、これまで水が届かなかった場所にも灌漑が可能になりました。
- 黄河の水を高地まで安定的に供給
- 居住地や農地に水を届けるインフラを整備
- 大規模な生態移民地区の形成を後押し
中国最大規模の集中型生態移民地区が誕生
ヤンホアン灌漑プロジェクトによって、ホンシブには中国で最大規模の集中型生態移民地区が形成されたとされています。黄河の水に育まれ、約23万人の人びとの運命が大きく変わりました。
砂嵐に悩まされていた荒地は、生活と生産の基盤が整ったオアシスへと姿を変えました。安定した水資源にアクセスできるようになったことで、定住や農業、その他の生業を築くための選択肢が広がったと考えられます。
砂漠化と気候変動の時代に見える意味
2025年のいま、世界各地で砂漠化や水不足、気候変動への対応が大きな課題となっています。ホンシブの事例は、水資源を遠隔地にまで届ける技術と、人びとの暮らしや居住環境を再構築する取り組みが結びついた一つのモデルとして位置づけることができます。
大規模な灌漑と生態移民には、環境負荷や地域社会への影響など、慎重な検討が必要な側面もあります。それでも、かつて砂嵐に覆われていた地域で、新たな生活の基盤を築いたという事実は、乾燥地域の再生策を考えるうえで多くの示唆を与えてくれます。
ホンシブから私たちが考えたいこと
ホンシブの変化は、中国北西部のローカルな出来事でありながら、「水資源をどう分け合うか」「環境保全と生活再建をどう両立させるか」という、私たち自身にも関わる問いを投げかけています。
黄河の水を300メートルくみ上げた灌漑プロジェクトと、23万人規模の生態移民地区。その組み合わせがもたらしたオアシス化のプロセスをたどることは、都市と地方、環境と開発、現在と将来世代のバランスをどう取るのかを考える手がかりになりそうです。
1998年以前の荒地から現在のオアシスへと至ったホンシブの歩みを、国際ニュースとして追いながら、自分たちの地域と未来の姿を重ね合わせてみることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








