ゴビ砂漠の荒地が村の希望に クコ栽培で広栄村がよみがえる video poster
塩と強い風にさらされたゴビ砂漠の荒地が、ひとりの農家の決断をきっかけに、村全体の産業へと姿を変えています。広栄村で起きたクコ栽培の物語は、環境再生と地方の暮らしを考えるうえで示唆に富んだ国際ニュースです。
ゴビ砂漠の荒地にすべてを賭けた王寧さん
物語の舞台は、作物がほとんど育たない塩類土壌の土地でした。地面は白く固く、農業には不向きだと見なされていた場所です。この「何もない」土地に、王寧さんは自分の全ての貯金を投じました。
王さんが選んだのは、クコ(ゴジベリー)の若木でした。過酷な環境でも比較的強く育つとされるクコの可能性に賭け、苗木を植え、世話をしながら、土そのものを変えていく長い挑戦が始まりました。
土を変え、村を変える:粘り強い土づくりの日々
クコの若木を育てるためには、塩分を多く含んだ土を少しずつ改良していく必要があります。王さんは、日々畑に向かい、土の状態を確かめながら地道な作業を続けました。結果が見えない期間も長く、失敗と調整を何度も繰り返しながらの前進でした。
「あと一歩」という手応えと、「本当に実るのか」という不安が入り混じる時間は、数年に及びました。それでも王さんは諦めず、クコの育成と土づくりを続けました。その粘り強さが、やがて土地の表情を目に見えて変えていきます。
塩害地を生かすためのポイント
塩害のある土地を農業に生かすには、時間と工夫が欠かせません。広栄村のケースからは、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 短期の収益ではなく、数年単位の取り組みを前提にすること
- 土地の特性に合った作物を選び、無理をしないこと
- 収入が不安定な時期をどう乗り切るか、生活の工夫を考えること
王さんの挑戦は、こうした条件を一人で背負い込みながらも、粘り強く積み重ねていったプロセスでもありました。
広栄村にもたらされた「産業」という希望
粘り強い挑戦は、やがて目に見える形で実を結びます。かつては荒れた塩類土壌だった土地に、クコの畑が広がり、広栄村には新しい産業が生まれました。
いま、広栄村ではクコ栽培が村の経済を支える柱の一つとなりつつあります。畑の手入れや収穫に関わる仕事が生まれ、村の人々は新たな収入源を手にし始めています。かつては「何もできない」と言われたゴビ砂漠の一角が、「暮らしを支える場所」へと変わりつつあるのです。
この変化は、単にお金をもたらしただけではありません。自分たちの村で未来をつくれるという感覚、次の世代に何かを残せるという実感が、住民にとっての大きな希望になっています。
環境と暮らしを両立させる三つの視点
広栄村で進んでいるクコ産業の成功は、環境と経済をどう両立させるかを考えるうえで、次の三つの視点を投げかけています。
- 1. 長期戦を前提にした投資
土壌の改良も、新しい作物の定着も、数年単位で時間がかかります。「すぐに結果が出ないこと」にどう向き合うかが、地域の挑戦を支える土台になります。 - 2. 一人の覚悟が地域を動かす
王さんのように、最初にリスクをとって動く人がいるかどうかは、小さな村にとって決定的です。その一歩が、周囲の人の意識や行動を少しずつ変えていきます。 - 3. 環境再生と産業づくりはセットで考える
砂漠化や塩害といった環境問題は、地域の暮らしと切り離せません。広栄村の経験は、「環境を守ること」と「暮らしを成り立たせること」を同時に考える必要性を示しています。
日本の私たちへの問いかけ
この国際ニュースは、遠く離れたゴビ砂漠の話でありながら、日本の地域課題とも重なります。耕作されなくなった田畑や、使われないままの土地をどのように生かしていくのか。気候変動や人口減少が進むなかで、一人の挑戦をどう地域全体の力に変えていくのか。
広栄村のクコ産業は、「不利な条件に見える土地でも、時間と工夫次第で新しい価値を生み出せる」ということを、今の私たちに静かに伝えています。ニュースとして読むだけでなく、自分の身近な地域に置き換えて考えてみると、新しい視点や会話が生まれてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








