中国・重慶の「呼吸するスポンジシティ」 璧山区発エコ都市モデル video poster
中国西部の重慶市・璧山区が、雨水と共生する「スポンジシティ」づくりで注目を集めています。透水性レンガや雨庭(レインガーデン)、学校の屋上緑化を組み合わせ、都市洪水を和らげながら街の微気候も改善しようという試みです。
スポンジシティとは何か
璧山区のスポンジシティは、従来のように雨水を一気に排水管に流し去るのではなく、街全体を「スポンジ」のようにして雨を受け止める発想に立っています。都市排水のルールを「排水中心」から「保水・浸透中心」へ書き換えようとしているのです。
ポイントは、雨水をできるだけその場で浸透・貯留し、ゆっくりと流すこと。これにより、短時間に大量の水が排水路に集中するのを防ぎ、都市洪水のリスクを下げる狙いがあります。
重慶・璧山区で進む「呼吸する地面」
璧山区では、街のあちこちで「呼吸する地面」をつくる工夫が導入されています。
- 透水性レンガ:地面に透水性の高いレンガを敷くことで、雨水がすぐに排水溝へ流れず、いったん地中にしみ込みます。地面が雨を吸い込むことで、「呼吸する」ような状態になるわけです。
- 雨庭(レインガーデン):植栽されたくぼ地などに雨水を集め、自然の「貯水池」として機能させます。ここでいったん水を受け止め、ゆっくりと地中にしみ込ませることで、周辺の排水負担を軽減します。
- 学校の屋上緑化:学校の屋上は、緑に覆われた「オアシス」に生まれ変わっています。植物と土が雨水を保持し、同時に日射を和らげることで、校舎や周辺の温度上昇を抑える効果も期待できます。
こうした仕組みを組み合わせることで、璧山区は「街全体をスポンジのようにする」環境都市モデルを形にしつつあります。
洪水を和らげ、微気候も改善
スポンジシティの効果としてまず挙げられるのが、都市洪水の緩和です。透水性レンガや雨庭が雨水を一時的に受け止めてくれることで、短時間に排水路へ水が集中しにくくなります。その結果、道路冠水や排水施設のオーバーフローを抑えることにつながります。
同時に、街の微気候(ミクロな気温や湿度の状態)にも変化が生まれます。地表に緑が増え、土や植物が水を含むことで、
- 地面の温度上昇が抑えられる
- 蒸発によって周辺の空気がほどよく潤う
といった効果が期待されます。舗装とコンクリートに囲まれた「熱くて乾いた街」から、少しでも「涼しくて潤いのある街」へと近づけるアプローチと言えるでしょう。
エコ都市モデルとしての意味
璧山区のスポンジシティは、単なるインフラ整備ではなく、都市そのものを「生きたシステム」として捉え直す試みです。雨水を厄介ものとして素早く捨てるのではなく、資源として受け止め、街の環境を整える力に変えていく姿勢が見て取れます。
透水性レンガ、雨庭、屋上緑化を組み合わせて、洪水リスクを減らしつつ微気候も改善していくこの取り組みは、エコロジカルな都市づくりのモデルとして「思わず親指を立てて称賛したくなる」プロジェクトと言えるでしょう。
アジアの都市への示唆
急速な都市化と気候変動の影響で、アジアの多くの都市は大雨や猛暑への対応を迫られています。その中で、璧山区のスポンジシティは、
- 排水一辺倒ではない雨水との付き合い方
- インフラと緑を一体にした都市デザイン
- 学校など身近な場所から始める環境改善
といった複数のヒントを示しています。すぐにすべてを真似することは難しくても、「街全体をスポンジのようにする」という発想自体は、多くの都市に共有し得る視点ではないでしょうか。
雨水をどう扱うかは、これからの都市の暮らしやすさを左右する重要なテーマです。璧山区発の「呼吸するスポンジシティ」は、その問いに対するひとつの具体的な答えとして、今後も注目を集めそうです。
Reference(s):
cgtn.com








