76年越しの再会 中国・衢州でつながった命の記憶 video poster
今から7年前の2018年、スーザン・オズックさんは初めて中国東部の都市・衢州(Quzhou)を訪れました。目的は、1942年に父親がパラシュート降下した村を訪ね、父の命を救ってくれた男性の子孫に感謝を伝えることでした。
ドゥーリトル・レイド(Doolittle Raid)の参加者だったチャールズ・オズックさんの娘として生まれたスーザンさんの旅は、「76年越しの再会」として、戦時中の歴史を静かに思い起こさせる出来事となりました。
76年越しの「ありがとう」が届くまで
この物語の出発点は、1942年の戦時下にさかのぼります。当時、チャールズ・オズックさんは作戦行動中に中国の村へパラシュート降下し、見知らぬ土地で命の危機にさらされました。そのとき彼を救ったのが、現地の一人の男性でした。
76年後の2018年、娘のスーザンさんは、その男性の子孫に直接「ありがとう」を伝えるために衢州を訪れます。初めて踏みしめる土地で、父が生き延びるきっかけをつくった人々の暮らしに触れ、世代を超えたつながりが形になった瞬間でした。
衢州で交わされた世代を超える対話
スーザンさんの訪問の目的は観光ではなく、父の命を救った人への感謝を、子や孫の世代にきちんと手渡すことでした。村を訪ね、当時の出来事を伝え合いながら、戦争という極限状態のなかで交わされた「助け合い」の記憶が、家族の物語として浮かび上がります。
2018年のこの再会は、血縁や国境を越えて、過去と現在をつなぐささやかな橋渡しとなりました。衢州の家族にとっても、自分たちの祖先が遠い国の一人の命を救ったという話が、具体的な人物の来訪によって現実のものとして感じられたはずです。
戦時の記憶をどう受け継ぐか
「ドゥーリトル・レイド」と呼ばれる作戦から、すでに80年以上がたちつつあります。直接の体験者が少なくなるなかで、スーザンさんのように次の世代が現地を訪れ、当事者の思いを聞き、感謝や思いを共有する動きは、戦時の記憶の受け継ぎ方の一つといえます。
戦争の物語は、多くの場合「国家」や「軍事作戦」といった大きな枠組みで語られがちです。しかし、この衢州での再会が示しているのは、一人ひとりの決断や行動が、世代を超えて誰かの人生を変え続けるというシンプルな事実です。
2025年の今、私たちが読み取るもの
2025年の今、この2018年のエピソードを振り返ることには意味があります。世界各地で対立や緊張が続くなかでも、76年前の「助ける」という選択が、子どもの世代になっても感謝として返ってくる。その時間のスケールは、短期的な利害では測れない人間同士の信頼を感じさせます。
国際ニュースのヘッドラインに載るのは、大国同士の駆け引きや衝突の話が中心になりがちです。それと同時に、こうした静かな物語が確かに存在していることを知ることは、ニュースを読む私たちの視野を少しだけ広げてくれます。
76年越しの再会は、戦時の悲劇だけでなく、その裏側にあった勇気とやさしさ、そして世代を超える感謝の連鎖を思い出させてくれる出来事として、これからも語り継がれていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








