中国人民大学で模擬国連 若者が築く「橋」、壊さない「壁」 video poster
国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとって、世界の若者が何を議論し、どのように未来を描いているのかは重要なテーマです。最近、中国人民大学(Renmin University of China)で開かれた模擬国連(Model United Nations, MUN)会議は、「橋をかける」ように対話を重ねる若者たちの姿を映し出しました。
若者が主役の模擬国連、中国人民大学で開催
中国人民大学の模擬国連会議には、世界各地から集まった若者の代表が参加しました。学生たちは国連の場を模した会議で、それぞれが各国の代表になりきり、実際の外交のように発言や交渉を行いました。
この会議には、CGTNのホストを務めるマイク・ウォルター氏も参加し、参加者とともにグローバル・ガバナンス(世界規模でのルールづくりや協調のあり方)について考えました。若者とメディアの専門家が同じテーブルで議論することで、「世界をどう運営していくのか」という問いが、より立体的に浮かび上がります。
テーマは「Bridges, Not Walls」
今回の模擬国連のキーワードは、まさに "Bridges, Not Walls"(壁ではなく、橋を)。国や地域、立場の違いに注目するのではなく、その間に橋をかけるように対話を重ねていこうというメッセージが込められています。
学生たちは、対立を強めるような言葉ではなく、共通点や共有できる価値を探しながら議論を進めました。自分が担当する国の立場を守りつつも、他者の懸念に耳を傾けることが求められる点で、実際の国際交渉にも通じるトレーニングになっています。
文化遺産とオーバーツーリズムをめぐる真剣な議論
会議では、文化遺産とオーバーツーリズム(観光客の過度な集中によって、地域の生活や環境に負荷がかかる現象)が主要な議題となりました。観光は地域経済を支える一方で、文化遺産の保存や住民の暮らしに負担をもたらすことがあります。
学生たちは、各国代表としての立場から、観光の恩恵と負担のバランスをどう取るかをめぐって議論しました。ある国の代表としては、観光収入の必要性を訴え、別の立場からは、文化や環境を守るルールづくりの大切さを強調する――そうしたやり取りの中で、単純な「賛成/反対」を超えた視点が生まれていきます。
模擬国連が鍛える3つの力
今回の模擬国連では、参加した若者たちが次のような力を実践的に磨いていました。
- リサーチ力:担当する国の歴史、政策、文化遺産の状況、観光産業のデータなどを事前に深く調べ、自分の主張に根拠を持たせる力
- 外交交渉力:他国代表と対話しながら、譲れる点と譲れない点を見極め、言葉を選びつつ合意の糸口を探る力
- コンセンサス構築力:多数決で押し切るのではなく、できるだけ多くの国が受け入れられる文言を探し、共同の決議をまとめていく力
こうしたプロセスを通じて、参加者はグローバルな視野と同時に、「異なる相手とどう付き合うか」という実践的な感覚を身につけていきます。
分断ではなく「橋」をかけるという選択
世界が相互につながる一方で、対立や不信感が注目されがちな今、「壁」を高くするのは簡単です。しかし、中国人民大学の模擬国連に参加した若者たちは、あえて「橋」をかける側に立ちました。
立場や価値観が異なるからこそ、丁寧に相手の背景を理解し、信頼を積み上げていく。そのプロセス自体が、分断を和らげる小さな一歩となります。学生たちが示したのは、国際社会の課題に対し、感情的な対立ではなく、事実に基づく対話と協力で向き合う姿勢でした。
これからの国際社会を支える「静かなリーダーシップ」
今回の模擬国連では、若者が分断を乗り越え、信頼を築くうえで重要な役割を担いうることが、具体的なかたちで示されました。華やかなスピーチよりも、相手の話を聞き、対話を重ね、合意を探るという「静かなリーダーシップ」が重視されていた点も印象的です。
私たち一人ひとりにとっても、国際ニュースをただ「遠い出来事」として眺めるのではなく、自分ならどう議論し、どんな橋をかけるかを想像してみることが、新しい視点につながるかもしれません。中国人民大学の模擬国連で交わされた議論は、そのためのヒントを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








