新疆の夜明けから黄昏まで 自然と結ぶ静かな約束 video poster
中国・新疆の広い大地で、鷹を相棒とする家族と、綿花畑で育った働き手が、それぞれのやり方で自然と向き合っています。世代を超えて受け継がれる「自然との黙約」が、2025年の今も静かに守られています。
空と交わす約束:アクチ県の鷹匠たち
新疆の阿克旗(Akqi County)は、Kizilsu Kirgiz Autonomous Prefectureに属し、代々続く鷹狩り文化で知られています。ここでは、鷹は単なる「道具」ではなく、家族であり、対等な存在として尊重されてきました。
Kurmax Kutman さんは、その伝統を受け継ぐ公認の継承者の一人です。今は、いわゆるZ世代にあたる孫の Tiemuerbek Jumaturdi さんに、キルギスの人びとが守ってきた技と心構えを伝えています。
六年目に訪れる別れ:放すことで守る自由
Tiemuerbek さんが語る言葉に、この地域の鷹匠と自然との関係が凝縮されています。
「訓練の六年目には、必ず鷹を野生に帰さなければなりません。どれだけ手放すのがつらくても、放してあげる必要があるのです」。
長い時間をかけて信頼を築いた鷹を、あえて手放す。この決まりは、空の世界と人間の世界のあいだに交わされた、目には見えない約束のようです。
自分のものにし過ぎないこと。必要なときにだけ力を借り、やがては自然に帰すこと。鷹匠たちの姿勢は、人と自然の距離感を考えさせてくれます。
綿花とともに育つ暮らし:シャヤ県の畑から
一方、新疆のシャヤ県(Shaya County)は、Aksu Prefectureに位置し、綿花畑が広がる地域です。ここで生まれ育った Aizizi Rexiti さんは、子どもの頃から綿花のそばで過ごしてきました。
今では機械による収穫が当たり前になりつつありますが、Aizizi さんにとって綿花は単なる作物ではありません。地域の人びとと土地を結びつけてきた、暮らしそのものの象徴でもあります。
畑の景色が変わっても、人と土とのつながりは簡単には途切れません。綿花を通じて培われてきた「土地への感謝」が、機械化された現代の農作業の中にも息づいています。
鷹狩りと綿花が示す「必要な分だけ」という感覚
鷹匠の家族と綿花農家の物語は、一見まったく違う世界のように見えます。それでも、どちらにも共通しているのは、自然から「必要な分だけ」を受け取り、その循環を損なわないように暮らそうとする姿勢です。
- 鷹匠は、鷹の力を借りつつも、最終的には空へと返すことで、自由を尊重しています。
- 綿花農家は、機械化が進んだ今も、土地との精神的なつながりを大切にしています。
- どちらの営みも、自然を「管理する対象」ではなく、「ともに歩む相手」として見ている点で重なります。
新疆の人びとのこうした感覚は、気候変動や資源利用が問われる現在の世界にとって、一つのヒントと言えるかもしれません。
私たちへの問いかけ:自然との距離をどう選ぶか
都市に暮らしていると、自然との関係はどうしても「消費する側」に傾きがちです。電気や衣服、食べ物を通じて、私たちもどこかの地域の自然に依存していますが、その実感を持つ機会は多くありません。
アクチ県の鷹匠たちが六年目に鷹を空へ返すとき、シャヤ県の人びとが綿花畑に向き合うとき、そこには「取り過ぎない」「奪いっぱなしにしない」という静かな選択があります。
日々の暮らしの中で、私たちは自然から何を受け取り、どこまでを「自分のもの」と考えているのか。新疆から届く、夜明けから黄昏まで続く営みは、そんな問いを静かに投げかけています。
スマートフォンの画面越しに読む国際ニュースであっても、遠くの地域の暮らし方をきっかけに、自分自身の生活や消費のスタイルを見直してみる。その小さな視点の変化こそが、「自然との黙約」を現代に生かしていく第一歩なのかもしれません。
Reference(s):
Xinjiang Dawn to Dusk | Youshi: The unspoken pact with nature
cgtn.com








