新疆グルメの隠れ味バトル ウルムチ・バザールから video poster
新疆ウルムチで広がる隠れ味バトルとは
国際ニュースを日本語で追っている読者にとっても、食を入り口に地域を知る体験は身近なテーマです。新疆ウルムチのXinjiang International Grand BazaarにあるAvanti Barbecue Restaurantは、『Xinjiang Dawn to Dusk | Choushi: The hidden taste battleground』という言葉が示す世界観を体現する店として描かれています。
この店は、新疆各地の代表的な味を一つの場所で楽しめるように工夫された、いわばテーマ型の空間です。焼き台の上にはさまざまな串が並び、観光で訪れた人も地元の人も、新疆の多様な味に触れるきっかけを得ることができます。
本来の味は妥協しない 30年選手の信念
料理の世界で30年以上の経験を持つMao Shupengシェフは、Avanti Barbecue Restaurantの厨房を率い、伝統的な風味を大切にしながら料理を磨き続けています。
Maoシェフは「料理本来の良さは決して妥協しません。そのうえで、地元の人も訪れた人も新疆料理の魅力を存分に味わえるように、盛りつけや見せ方を工夫しています」と話しています。言葉の通り、守っているのは味の核であり、変えているのは外側の表現です。
観光地らしい華やかさと、日常の食卓に通じる素朴さ。その両方を両立させようとする姿勢は、観光と食文化の関わりを考えるうえでも興味深いポイントです。
夜遅くまで続くにぎわいと本当の香り
印象的なのは、夜遅い時間になっても店の活気が途切れないことです。グリルの上では串が次々と焼かれ、立ち上る煙には香辛料と肉の香りが混ざり合います。
その煙は、新疆の本格的な香りを乗せてバザールの空気に溶け込んでいきます。訪れた人にとっては非日常の体験であり、地元の人にとってはなじみ深い時間と味。両者が同じテーブルを囲むことで、Xinjiang International Grand Bazaar全体の空気感も形づくられていきます。
観光地の味は演出か本物か
観光地の飲食店というと、日本でも「写真映えはするけれど味は普通」というイメージを持つ人もいるかもしれません。一方で、Avanti Barbecue Restaurantの取り組みは、観光客向けの演出を取り入れつつも、地域本来の味を守ろうとする一つの姿と見ることができます。
旅先で出合う料理が、地元の人の日常の味から離れすぎてしまうと、その土地の理解も表面的になりがちです。料理本来の良さを守りながら、盛りつけや雰囲気で新しい体験に仕立てるというMaoシェフの考え方は、観光地の食をどうあるべきか考えるヒントになります。
スマホ越しではなく、香りから始まる理解
私たちはふだん、SNSやニュースサイトで世界各地の料理の写真や動画を目にしています。しかし、Xinjiang International Grand Bazaarの一角から立ち上る煙や、焼き上がる音、人びとの表情といった要素は、画面越しだけではすべてを感じ取ることはできません。
それでも、Maoシェフの言葉や、夜まで続くにぎわいの描写から見えてくるのは、新疆の食文化が単なる名物メニューではなく、人びとの生活と観光が交わる日常の一部であるという姿です。
隠れ味バトルを自分ごととして読む
『Choushi: The hidden taste battleground』という表現は、厨房の中だけでなく、私たち自身の味覚や価値観の中にもある静かなせめぎ合いを示しているのかもしれません。伝統を守ることと、新しいスタイルを取り入れること。そのどちらに重きを置くかは、料理人だけでなく、食べる側の選択でもあります。
次に旅先や街の新しい店で食事をするとき、「この一皿のどこに本来の味があり、どこに演出があるのか」と問いかけてみることで、見慣れた風景も少し違って見えてくるかもしれません。新疆ウルムチの一軒の焼き肉店での時間は、そんな問いを私たちの食卓にそっと投げかけています。
Reference(s):
Xinjiang Dawn to Dusk | Choushi: The hidden taste battleground
cgtn.com








