秘境から人気観光地へ 中国・Xizangメドグ高速道路が変える旅の風景 video poster
中国南西部のXizang(シーザン)自治区でメドグ高速道路が開通し、これまで「隠れた秘境」として知られてきたメドグ県が、新たな観光地として注目を集めています。若いツアーガイドのクンサン・ノルブさんは、いま全国各地から訪れる旅行者を、誇りを持って故郷に迎えています。
「陸の孤島」から一気に近くなったメドグ
国際ニュースとしても関心を集めるXizangの観光開発の背景には、交通インフラの整備があります。メドグ県は長らくアクセスが難しく、山々と豊かな自然に囲まれた「知る人ぞ知る」存在でしたが、メドグ高速道路の開通によって、状況は大きく変わりました。
これにより、他地域からの移動時間が短くなり、安全かつ安定したルートが確保されました。結果として、SNSや動画プラットフォームを通じてメドグの風景や暮らしが広がり、若い旅行者を中心に「一度行ってみたい場所」として関心が高まっています。
メドグ高速道路がもたらした三つの変化
メドグ高速道路の開通は、単なる移動手段の改善にとどまらず、地域社会の姿を少しずつ変えています。主なポイントを三つに整理してみます。
- ① アクセス改善による「心理的な距離」の短縮
地図上の距離は変わらなくても、道路が整備されることで「行けるかどうか」という心理的ハードルは大きく下がります。旅行会社のツアールートに組み込まれやすくなり、個人旅行者も計画を立てやすくなりました。 - ② 観光を軸にした地域経済の活性化
民宿や小さな食堂、土産物店、ガイドサービスなど、観光に関連する仕事が少しずつ増えています。宿泊や飲食にかかる支出が地元に落ちることで、住民の生活にも変化が生まれます。 - ③ 若者にとっての「選択肢」が広がる
これまでは外へ出ることが「選択肢」であることが多かった地域でも、観光業という新しい仕事が生まれることで、「故郷にとどまり、外から来る人を迎える」という生き方が現実味を帯びてきます。
若きガイド、クンサン・ノルブさんが示す新しいロールモデル
クンサン・ノルブさんは、メドグ出身の若いツアーガイドです。高速道路の開通によって故郷を訪れる人が増えるなかで、自らガイドとしての道を選び、全国各地からやってくる旅行者を案内しています。
彼にとって観光ガイドの仕事は、単に観光スポットを説明することだけではありません。山々の景観や気候、暮らしのリズム、伝統的な文化や信仰など、「外からは見えにくいメドグの日常」を伝えることでもあります。旅行者との対話を通じて、地域への理解を深めてもらうことが、彼の誇りにもつながっています。
こうした若い世代のガイドたちは、オンライン地図や翻訳アプリ、SNSなど、デジタルツールも柔軟に活用できます。情報発信の仕方が多様化するなかで、地域の魅力を自分たちの言葉で伝えられる存在は、観光地にとって大きな強みになりつつあります。
観光ブームとどう向き合うか──「持続可能な旅」という視点
一方で、どんな地域でも観光客が急増すると、環境への負荷や生活環境の変化といった課題が浮かび上がります。自然豊かなXizangの山岳地域であればなおさら、持続可能なかたちで観光を育てていく視点が欠かせません。
旅行者の側にできることも少なくありません。
- ゴミを持ち帰る、指定されたルートから外れないなど、自然を守る行動を心がける
- 地元のガイドや宿泊施設を積極的に利用し、地域経済に貢献する
- 写真撮影やドローン利用などで、住民のプライバシーやルールを尊重する
こうした基本的な配慮は、どの国・どの地域を訪れる場合にも共通する「良い旅のマナー」ですが、アクセスが改善されたばかりの地域では、特に意識したいポイントです。
国際ニュースとしてのXizang観光──私たちが読み取れること
メドグ高速道路の開通と観光地としての台頭は、中国の地方都市や農村部で進むインフラ整備、そして地域の活性化の一断面でもあります。道路や鉄道が延びることで、人の流れと情報の流れが変わり、「遠かった場所」が一気に身近になる。この変化は、アジア各地で共通して見られる大きなトレンドのひとつです。
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、Xizangのメドグは「次の旅行先」としてだけでなく、インフラと地域社会の関係を考えるヒントにもなります。ある道路の開通が、若者の進路選択や地域のあり方をどう変えていくのか。クンサン・ノルブさんのような存在は、その変化を象徴する一人だと言えるでしょう。
旅の目的地としてXizangを眺めると同時に、「新しい道路が開通すると、地域はどう変わるのか」という視点でニュースを読み解いてみると、同じ話題からもまた違った景色が見えてきます。
Reference(s):
cgtn.com








