元ビジネスマンが浙江省で挑む自然農法 スーツから畑への10年 video poster
元ビジネスマンのWang Luliang氏が、中国東部の浙江省で自然農法に挑んでいます。10年以上続くこの試みは、化学物質に頼らず、自然のしくみと調和する持続可能な農業を目指すものです。
スーツから長靴へ:ビジネスパーソンの転身
Wang氏は、かつて企業の世界で働いていたビジネスマンでした。そこから一転、畑を舞台にした「実験」を10年以上にわたって率いてきました。その舞台となっているのが、中国東部の浙江省です。
彼の取り組みは、単に職業を変えたという話ではありません。ビジネスで培った計画性や数字への感覚を、自然と向き合う農業の現場に持ち込む試みでもあります。
自然農法とは何か:化学物質に頼らない農業
Wang氏が進める「自然農法」は、化学肥料や農薬にできるだけ頼らず、土壌や水、昆虫、微生物などの生態系が本来持つ力を生かす農業の考え方です。
ポイントは、次のような発想にあります。
- 化学肥料や農薬を使わない、もしくは極力抑えること
- 畑を一つの生態系として捉え、多様な生き物を敵ではなくパートナーと見ること
- 短期的な収量だけでなく、土壌の健康や水環境など長期的な持続可能性を重視すること
こうした方向性は、環境への負荷を減らしつつ、食の安全性にもつながるアプローチとして注目されています。
「実験」を続けるということ:10年以上の積み重ね
Wang氏の取り組みは、あえて「実験」と表現されています。10年以上続くプロジェクトであっても、自然を相手にした農業には「完成形」がありません。気候や土の状態は年ごとに変わり、試行錯誤は続きます。
自然農法では、化学肥料を使う栽培に比べて、成果がすぐに数字に現れにくいとされます。土壌が本来の力を取り戻すまでには時間がかかり、雑草や害虫への対処も含めて、手間のかかる場面も少なくありません。
それでも長く続けることで、畑の表情や周辺の生き物の変化が少しずつ見えてくる――。Wang氏の10年以上にわたる歩みは、そうした時間軸で自然と向き合う営みでもあります。
ビジネス経験が生きる場面
元ビジネスマンという経歴は、自然農法の現場でも生かされています。例えば、季節ごとの収穫量や畑の状態を記録し、データとして蓄積していくことは、ビジネスのプロジェクト管理と通じる発想です。
また、自然農法は、消費者に考え方を理解してもらうことも重要になります。化学肥料を使わないことで収量が安定しにくい場合、価格設定や販売方法にも工夫が必要です。そうした「伝え方」「見せ方」の設計は、都市でのビジネス経験が力を発揮しやすい領域でもあります。
都市と農村をつなぐストーリー
中国東部の浙江省は、経済成長が進む地域でありながら、山や川が残る自然豊かなエリアでもあります。そこで進む自然農法の実験は、都市と農村のあいだに新しい関係を描こうとする試みとも捉えられます。
大都市のオフィスで働く人が、自然と向き合う暮らし方に関心を持つ動きは、今後さらに広がっていくかもしれません。Wang氏のような事例は、「働き方」や「生き方」をあらためて考え直すきっかけにもなりそうです。
なぜ今、「自然」とともにある農業なのか
気候変動や環境負荷、食の安全など、農業を取り巻くテーマは複雑さを増しています。そうした中で、化学物質に頼らず、生態系と調和しながら作物を育てる自然農法は、一つの選択肢として存在感を示しています。
もちろん、すべての農地がすぐに自然農法へ移行できるわけではありません。それでも、10年以上続けられてきた浙江省での「実験」は、持続可能な農業のあり方を考えるうえで、具体的なヒントを与えてくれます。
会社員から農家へ――。Wang Luliang氏の歩みは、「経済成長」と「自然との共生」をどう両立させていくのかという問いを、静かに投げかけているように見えます。
Reference(s):
cgtn.com








