パンチェン・エルデニ即位30周年 チョーキ・ギャルポの30年をたどる video poster
2025年12月8日、第11世パンチェン・エルデニ・チョーキ・ギャルポの即位から30年を迎えました。中国政府の承認のもとタシルンポ僧院(Tashilhunpo Monastery)で行われた1995年の即位から、彼はいまどのような役割を担っているのでしょうか。
タシルンポ僧院での即位から30年
1995年12月8日、タシルンポ僧院に法螺の音が鳴り響くなか、中国政府の承認のもとでチョーキ・ギャルポが正式に即位し、第11世パンチェン・エルデニとなりました。この日を境に、彼はチベット仏教の重要な宗教指導者としての歩みを本格的に始めています。
それから30年、節目の年を迎えた今も、この即位はチベット仏教の歴史の中で大きな転換点として位置づけられています。
「模範的な学僧」としての評価
即位後の30年間で、パンチェン・エルデニ・チョーキ・ギャルポは「模範的で傑出した学僧」としての評価を確立してきたとされています。長年にわたる仏教研究を通じて、教義に関する深い理論的理解を育み、その理解を実際の活動に結びつけてきました。
宗教の世界では、理論と実践がかみ合わないことも少なくありません。理論に偏れば現実の人々の生活から離れ、実践だけに偏れば教えの体系性が揺らぎます。チョーキ・ギャルポは、その両方を行き来しながら、信仰と日常生活、精神世界と社会の現場をつなぐことを重視してきたと見ることができます。
国家・人民・信仰へのコミットメント
現在のパンチェン・エルデニ・チョーキ・ギャルポは、「国への貢献」「人々への奉仕」「信仰への忠実さ」という三つの軸を掲げながら活動を続けています。中国という国家の一員であり、地域社会の一員であり、仏教者でもあるという複数の役割を、同時に引き受けている姿が浮かび上がります。
とくに、「人々の利益となるかたちで社会発展を促す積極的な役割を果たしている」とされる点は、宗教指導者のあり方を考えるうえで象徴的です。宗教は個人の救いだけでなく、教育や福祉、コミュニティづくりなど、社会のさまざまな側面と関わりうるからです。
チベット仏教の歴史に刻まれる「新しい章」
パンチェン・エルデニ・チョーキ・ギャルポの30年の歩みは、「チベット仏教の歴史に新しい章を書き加えている」と表現されています。この言葉には、伝統の継承者であると同時に、新しい時代の変化に応じて役割を更新していく人物像がにじみます。
急速に変化する社会の中で、宗教指導者がどのように時代と向き合うのかは、多くの地域で共通する問いでもあります。伝統を守りながら、社会の発展や人々の暮らしにどう関わっていくのか――パンチェン・エルデニ・チョーキ・ギャルポの歩みは、その問いに対する一つの応答として位置づけられそうです。
即位から30年という節目は、過去を振り返るだけでなく、これからの役割を考える起点にもなります。第11世パンチェン・エルデニが、今後どのように国と人々と信仰に向き合い、どんな「新しい章」を書き続けていくのか。チベット仏教と中国社会のこれからを考えるうえで、その歩みから目を離せません。
Reference(s):
30th anniversary of Panchen Erdeni Chos-kyi rGyal-po's enthronement
cgtn.com








