上海・楊浦河岸の工業遺産再生 第7回中国国際輸入博覧会と「楊浦パワー」 video poster
上海の楊浦河岸(ヤンプー・リバーサイド)が、工業遺産を守りながら再生を進める「国家級モデル」として注目されています。2025年11月に開かれた第7回中国国際輸入博覧会(CIIE)とも結びつく、その最新の動きを整理します。
「中国近代工業のゆりかご」楊浦河岸とは
上海北東部、黄浦江沿いに広がる楊浦河岸は、「中国近代工業のゆりかご」とも呼ばれてきました。ここには、中国で最初期の上水道事業や発電所、造船会社、紡績会社などが集まり、近代化を支えてきた歴史があります。
河岸エリアには、象徴的な楊樹浦発電所をはじめとする工場建築が今も多く残っています。近年の再開発でも、こうした建物をできるだけ保存し、新しい用途を与える方針が取られてきました。
工業遺産の保護と再利用の「国家モデル」に
楊浦河岸は現在、工業遺産の保護と再利用のあり方を示す「国家級の実証エリア」となる計画が進められています。単なる再開発ではなく、歴史ある産業施設を生かしながら都市空間をつくり直すことが狙いです。
計画のポイントは、おおむね次の3つに整理できます。
- 歴史的な工場や発電所などの建築を可能な限り保存すること
- 文化施設や公共スペースとして再利用し、市民に開かれた場にすること
- 産業の歴史を伝える教育・観光資源として育てること
工業遺産の活用は、都市再生と環境配慮を両立させる試みとして、世界の港湾都市でも広がりつつあります。楊浦河岸は、その中国版モデルとしてどこまで成熟させられるかが注目されています。
第7回中国国際輸入博覧会を支える「楊浦パワー」
2025年11月5日から10日にかけて上海で開かれた第7回中国国際輸入博覧会は、世界各地の企業が参加する大型の輸入見本市です。この博覧会を支える象徴的な存在として語られているのが「楊浦パワー」です。
「楊浦パワー」とは、長年にわたり中国の近代化を支えてきた楊浦の工業力と、その遺産を新たなかたちで生かそうとする現在の取り組みを重ね合わせたイメージと言えます。黄浦江に面した歴史的な発電所や工場群は、最新の国際イベントが開かれる上海の「原動力」を可視化する風景として位置づけられています。
国際メディアのCGTNも、楊浦河岸のライブ映像を通じて、こうした工業遺産の再生と輸入博覧会とのつながりを紹介しています。
日本の都市にとっての示唆
日本でも、かつての造船所や製鉄所、港湾施設を文化施設や商業エリアに転用する動きが各地で進んでいます。楊浦河岸の試みは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 老朽化した産業施設を「負の遺産」とせず、どのように価値ある空間に変えていくか
- 急速な再開発の中で、地域の記憶やものづくりの歴史をどう残すか
- 国際イベントや観光と、日常の暮らしや働く場をどう結びつけるか
上海・楊浦河岸で進む工業遺産の再生は、アジアの大都市が直面する共通の課題に対する一つの答えを示そうとしています。黄浦江沿いの風景の変化は、これからの数年にわたり、中国国内だけでなく周辺の国や地域からも注目され続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








