北京CISCEでスマート車最前線 サプライチェーンが変える自動車の未来 video poster
11月26〜30日にかけて北京の中国国際展覧センターで開かれた第2回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)で、スマート車(スマートビークル)の最新技術が披露されました。サプライチェーンをテーマにした世界初の博覧会とされるこの場で、自動車産業の未来像が浮かび上がっています。
サプライチェーンに特化した国際博覧会・CISCEとは
中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンをテーマに据えた世界初の展示会として位置づけられています。第2回となる今回も、以下のような狙いで開催されました。
- 原材料から完成品、サービスまで、上流・中流・下流の企業を一堂に集める
- 中小企業から大企業まで、規模の異なる企業同士の協力を促す
- 産業界・大学・研究機関・現場の実装をつなぐ「産学研連携」の場をつくる
- 中国本土と海外企業の交流を深め、国際的なビジネス対話を進める
単に商品の展示を行うだけでなく、「どのようにモノやデータが流れ、どこで付加価値が生まれるのか」というサプライチェーン全体の設計を議論する場になっている点が特徴です。
注目テーマはスマート車とインテリジェントコネクティビティ
今回のCISCEでは、自動車分野の中でも特に、スマート車と呼ばれる次世代車が注目を集めました。会場では、インテリジェントコネクティビティ(知能的な接続技術)を軸にした新しい車載技術が紹介され、自動車産業の在り方を大きく変える可能性が示されています。
「つながるクルマ」が前提になる時代へ
インテリジェントコネクティビティとは、車が通信回線を通じてインターネットや周囲のインフラ、クラウドサービスと常時つながることを前提にした仕組みです。これにより、次のような変化が起きるとされています。
- ソフトウェアのアップデートにより、購入後も機能が進化する
- 車同士や信号機との通信で、渋滞の緩和や安全性向上が期待される
- 走行データをもとにした保険やメンテナンスなど、新しいサービスが生まれる
ハンドルを握る体験だけでなく、車を取り巻くサービスやビジネスモデルそのものが変わる可能性があるという点で、スマート車は「移動する端末」としての性格を強めています。
自動車サプライチェーン全体を「つなぎ直す」動き
スマート車の普及は、完成車メーカーだけでなく、サプライチェーン全体の再設計を迫ります。CISCEはその全体像を一気に見渡せる場として位置づけられています。
自動車関連のサプライチェーンには、例えば次のようなプレーヤーが関わります。
- 半導体、センサー、バッテリーなどを供給する上流の部品・素材メーカー
- 車体や基幹システムを組み立てる中流の完成車メーカー・一次サプライヤー
- 通信、クラウド、地図、アプリなどを提供するソフトウェア・デジタル企業
- 販売、保守、モビリティサービスなど、実際に利用者と接する下流の事業者
博覧会では、こうした多様なプレーヤーが一つの会場に集まり、技術やデータの連携、標準づくり、協業の可能性などを議論する場が設けられています。中国本土の企業だけでなく、海外企業も参加し、国際的な視点でサプライチェーンを組み立て直そうとする動きが見て取れます。
産学研とスタートアップを巻き込む試み
CISCEが掲げるもう一つの軸が、産業界・大学・研究機関・スタートアップなどの連携です。スマート車のような新分野では、基礎研究から実用化までのスピードが重要になります。
会場では、
- 大学や研究機関が開発したセンシング技術やアルゴリズム
- スタートアップによる新しい車載ソフトウェアやサービス
- 大手企業による量産・標準化の構想
などが紹介され、研究成果をどのように量産製品へとつなぐか、実装のプロセスを意識した展示や議論が行われました。サプライチェーンという視点で見ると、「技術シーズから社会実装までの流れ」もまた一つのチェーンとして捉えられます。
日本の読者・企業にとっての意味
日本でも電気自動車や自動運転、コネクテッドカーへの関心が高まっています。北京で開かれた今回の博覧会は、日本の読者や企業にとって、いくつかの示唆を与えています。
- 自動車の価値が、ハードウェアだけでなくソフトウェアやサービスにも広がっている
- サプライチェーンは一国の中で完結せず、国際的な連携が前提になりつつある
- 中小企業やスタートアップが、特定の技術・データで存在感を示せる余地がある
日本のメーカーやサプライヤーにとっても、どの分野で強みを出すのか、どの国・地域と連携するのかを改めて考えるタイミングになっていると言えます。
「クルマの価値」はどこで生まれるのか
スマート車とサプライチェーンをめぐる議論は、私たち一人ひとりにとっても、次のような問いを投げかけます。
- クルマの価値は、エンジンや車体だけでなく、データやソフトウェアにも移りつつあるのではないか
- サプライチェーンの変化は、雇用や働き方、必要なスキルにどのような影響を与えるのか
- 国境を越えた技術協力や標準づくりの中で、自分たちはどんな役割を担えるのか
こうした問いを意識しながらニュースを追うと、単なる「新製品の話」や「大型展示会の話」を超えて、自分の仕事や生活とのつながりが見えやすくなります。
おわりに:サプライチェーン発のイノベーションに注目
第2回CISCEで示されたのは、自動車産業の変化が単に車種の切り替えにとどまらず、サプライチェーンそのものの再設計と一体になって進んでいるという姿でした。スマート車やインテリジェントコネクティビティをめぐる動きは、今後も国際ニュースの重要なテーマであり続けるでしょう。
北京での議論や展示は、日本の読者にとっても、「次の10年、自動車とモビリティの世界で何が起きるのか」を考える手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








