シリア政変とイスラエル空爆 13年内戦後の権力移行はどこへ向かうのか video poster
13年間続いたシリア内戦で、バッシャール・アル・アサド政権がついに崩壊し、反体制派勢力が国の支配権を握りました。その一方で、イスラエルは首都ダマスカスのシリア軍事施設に対し多数の空爆を行い、国連事務総長はイスラエルに攻撃の停止と全土での緊張緩和を求めています。
2025年12月8日現在、シリア政治は「内戦終結後」の安定とはほど遠く、新たな混乱のただ中にあります。本記事では、この最新のシリア情勢を日本語で整理し、今後注目すべきポイントを解説します。
13年の内戦を経て、アサド政権が崩壊
シリアでは13年にわたる内戦の末、長期政権を維持してきたバッシャール・アル・アサド政権が倒され、反体制派勢力が政権の座につきました。これは、同国の政治構造が根本から変わる大きな転換点です。
ただし、「政権交代=安定」とは限りません。長期にわたる戦闘で国家の統治機構は弱体化しており、
- 治安維持をどこまで回復できるか
- 旧政権側勢力や武装グループをどう取り込むか
- 分断された社会をどのように和解に導くか
といった難題が山積しています。反体制派内部の主導権争いや、地方ごとの利害対立が表面化する可能性もあります。
ダマスカスで相次ぐイスラエル空爆
こうした政変のタイミングと並行して、イスラエルは首都ダマスカスにあるシリア軍事拠点などに対し、数百回規模の空爆を実施しました。標的はシリアの軍事資産とされていますが、首都近郊での大規模な攻撃は、市民生活やインフラへの影響も避けられないとみられます。
空爆の狙いや背景についてはさまざまな見方がありますが、少なくとも以下の点で地域の不安定要因となっています。
- 新たなシリア政権の安全保障環境を一層厳しくする
- 報復や連鎖的な軍事行動を招くリスクを高める
- 内戦で疲弊した市民にさらなる負担を強いる
政権崩壊という大きな権力移行のさなかに外部からの軍事攻撃が重なる構図は、シリア国内外の緊張をさらに高めています。
国連事務総長「全戦線での緊張緩和が急務」
こうした事態を受け、国連事務総長はイスラエルに対し、シリア領内への攻撃を停止するよう要請しました。また、シリア国内のあらゆる戦線で暴力を抑え、緊張を緩和することが急務だと強調しています。
国連の呼びかけが意味するのは、単に空爆の停止だけではありません。
- 新政権と旧政権勢力、各武装グループの衝突を抑えること
- 市民保護を最優先とする国際人道法の順守
- 政治対話を通じた安定的な統治体制づくり
内戦終結後のシリアが再び全面的な武力衝突に戻るのか、それとも段階的に政治プロセスに移行できるのか。その分かれ目に国連のメッセージが立っているとも言えます。
周辺国・国際社会の視線
シリアの政変とイスラエルの空爆は、中東地域全体の安全保障バランスにも影響を与えかねません。国際メディアは、関係する国や地域の反応や見方を伝えており、各国が今後のシリアとの関係を慎重に見極めていることがうかがえます。
周辺国や大国にとって、焦点となるのは次のような点だと考えられます。
- 新たなシリア政権をどのタイミングで、どの程度まで承認・関与するか
- 難民や越境武装勢力の動きが自国の治安に与える影響
- エネルギーや物流を含む地域経済への波及
シリアがどのような政治体制へ移行し、誰とどのような関係を構築していくのかは、中東だけでなく国際社会全体にとっても重要なテーマになりつつあります。
これからのシリア情勢で押さえたい4つの論点
混乱が続くシリア情勢を追ううえで、今後とくに注目したいポイントを整理します。
1.新政権の統治能力と正統性
反体制派勢力がどのような枠組みで政権を運営し、国内外の支持を得ていくのかが最初の焦点です。包括的な政治参加を実現できるのか、それとも特定勢力への権力集中が進むのかで、国内の安定度合いは大きく変わります。
2.安全保障と武装勢力の行方
イスラエルによる空爆が続くかどうかに加え、シリア国内に残る各種武装勢力をどう統合・武装解除していくかは難題です。治安悪化が続けば、内戦後の復興も進みにくくなります。
3.人道支援と復興プロセス
13年に及ぶ内戦で、多くの人が避難を余儀なくされ、インフラも深刻な被害を受けました。新政権がどこまで人道支援を受け入れ、どのように復興計画を描くのかは、市民生活の回復に直結します。
4.長期的な地域秩序への影響
シリアの新たな政治体制は、中東の勢力図や安全保障枠組みにも波紋を広げる可能性があります。今回の政変と軍事行動が、対立を深める方向に働くのか、それとも新たな対話のきっかけになるのかを見極める必要があります。
「内戦後」をどうつくるかが問われる局面
アサド政権の崩壊とイスラエルの空爆、国連の沈静化要請という三つの要素が重なり、シリアは今、極めて不安定な過渡期にあります。13年の内戦で傷ついた社会をどう立て直すのか、「内戦後」のビジョンが国内外から厳しく問われることになりそうです。
日本にいる私たちにとっても、シリア情勢は遠い国の話ではありません。国際秩序やエネルギー、安全保障、人道支援など、多くの論点が国内議論ともつながっています。今後もシリアと周辺地域の動きを追いながら、自分なりの視点をアップデートしていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








