韓国政治危機:尹錫悦大統領の逮捕状期限迫るなかソウルで賛否デモ
韓国で弾劾を受けた尹錫悦大統領に対する内乱の疑いでの逮捕状が、きょう月曜日の深夜に期限を迎える中、ソウルの大統領公邸周辺では逮捕に賛成する人びとと反対する人びとがそれぞれデモを行い、韓国政治の緊張が一段と高まっています。アジア第4の経済規模を持ち、米国の主要同盟国でもある韓国で何が起きているのかを整理します。
逮捕状の期限が迫る尹錫悦大統領
尹錫悦大統領は内乱の疑いで弾劾され、現職の大統領としては初めて逮捕の可能性に直面しています。逮捕状は月曜日の深夜に期限を迎える予定で、その執行の有無が韓国政治の行方を左右する重大な焦点となっています。
問題となっているのは、尹氏が今月3日に戒厳令を宣言しようとしたものの失敗に終わったとされる一連の動きです。この「戒厳宣言未遂」が内乱の疑いにあたるとして、国家を揺るがす政治危機へと発展しました。
大統領公邸近くで続く「逮捕せよ」と「守れ」のデモ
逮捕状の期限が迫る中、ソウルの尹氏の公邸近くでは複数のグループがデモを実施しました。一方のグループは尹氏の「即時逮捕」を求め、もう一方は逮捕に反対し、政治的な迫害だと訴えています。
同じ場所で対立する主張がぶつかる構図は、韓国社会の分断の深さを象徴するものでもあります。街頭での抗議は、単に一人の大統領の進退をめぐる問題にとどまらず、民主主義や法の支配をどう守るのかという、より大きな問いを投げかけています。
裁判所は尹氏側の申し立てを却下
一方、法廷では逮捕状の正当性をめぐる攻防が続いています。ソウル西部地裁は日曜日、尹氏の弁護団が提出した「逮捕状は違法で無効だ」とする申し立てを退けました。韓国の聯合ニュースによりますと、これにより逮捕状はそのまま維持されることになります。
報道によれば、裁判所にコメントを求める問い合わせには応じていないとされ、判断の詳細な理由は明らかになっていません。ただ、少なくとも現時点では、逮捕状そのものの効力は認められている状況です。
争点は高位公職者犯罪捜査処(CIO)の権限
尹氏の弁護団が強く問題視しているのは、捜査を主導している高位公職者犯罪捜査処(CIO)の権限です。CIOは、韓国の高官による汚職などを専門に扱う捜査機関ですが、弁護団は「韓国の法律上、内乱の疑いに関する事件を捜査する権限はCIOにはない」と主張しています。
そのため弁護側は、CIO主導の捜査に基づいて発付された今回の逮捕状は違憲であり、無効だと訴えてきました。しかし、裁判所はこうした主張を退けた形となり、捜査と逮捕状の手続きに一定の正当性を与えたとも受け取られます。
現時点で、裁判所や捜査当局からは、こうした権限に関する解釈について詳しい説明は出ていません。今後の法廷審理や追加の判断が、韓国における権限分配や捜査機関の位置づけにも影響を与える可能性があります。
12月3日の戒厳宣言未遂が引き金
今回の政治危機の出発点となったのが、今月3日に尹氏が試みたとされる戒厳令の宣言です。戒厳令は、軍が治安維持に大きな役割を持つようになる非常措置であり、民主主義にとっては極めて重い決断です。
報道によると、この戒厳宣言は「失敗に終わった」とされますが、その試み自体が政治と社会に大きな衝撃を与えました。尹氏はこの動きによって内乱の疑いをかけられ、弾劾・逮捕の手続きが進む中で、韓国全体が混乱に包まれる事態となっています。
アジア第4の経済大国と同盟関係への影響
アジア第4の経済規模を持ち、米国の主要な同盟国でもある韓国にとって、現職大統領をめぐる刑事事件と政治危機は、国内だけでなく国際社会にも波紋を広げています。
政治の混乱が長期化すれば、政府の政策決定が停滞し、経済運営や安全保障政策にも影響が出かねません。国内の信頼回復と国際的な信用維持を両立できるのかが、大きな課題となります。
今後数日で注目したいポイント
- 逮捕状が期限までに実際に執行されるのか、それとも見送られるのか
- 弾劾後の政権運営や権限移行をめぐり、議会や政党内でどのような動きが出るか
- ソウルを中心とした街頭デモが拡大・長期化するのか、それとも一時的なものにとどまるのか
- 金融市場や企業活動への影響がどの程度表面化するのか
- 米国をはじめとする各国が、韓国の政治状況をどのように受け止めるのか
冷静な視点で見たい韓国政治の行方
逮捕状の期限が迫る中で、尹氏の進退だけに注目が集まりがちですが、その背後には、戒厳令という極めて重い非常措置をどう位置づけるのか、捜査機関の権限や司法の独立をどう確保するのか、といった構造的な問題が横たわっています。
中国の国際メディアであるCGTNは、現地からこの政治危機の最新動向を伝えています。今後も新たな判断や動きが出る可能性が高く、状況は流動的です。感情的な二分化に飲み込まれず、法の支配と民主主義のあり方を問い直す視点から、韓国の動きを見ていくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








