中国両会が示す新しい質の生産性とグローバルサウスの南南協力 video poster
世界経済が揺れる中、中国の「両会」は、新しい質の生産性、高水準の対外開放、そしてグローバルサウスとの南南協力という三つのメッセージを打ち出しました。
中国の国際ニュースチャンネルCGTNの討論番組「Dialogue」では、ホストのXu Qinduo氏と、グローバルサウス諸国のシンクタンク代表6人が、中国経済の新たな成長モメンタムと南南協力の将来像について議論しました。本記事では、その論点を手がかりに、中国の経済戦略とグローバルサウスとの関係を整理します。
両会が示した三つのキーメッセージ
今回の中国の両会から発信されたメッセージは、次の三つに集約できます。
- 新しい質の生産性で成長パラダイムを再構築する
- 高水準の対外開放で保護主義に対応する
- グローバルサウスの発展能力を高め、共通のコンセンサスを築く
いずれも、経済の量的拡大だけでなく、質・制度・パートナーシップを重視する方向性を示している点が共通しています。
新しい質の生産性とは何か
キーワードの一つが、新しい質の生産性(new quality productivity)です。これは、単に生産量を増やすのではなく、技術や効率、付加価値を高めることで、成長の質そのものを変えていこうとする発想と理解できます。
背景には、従来型の投資と大量生産だけに頼る成長モデルが限界に近づきつつあるという認識があります。新しい質の生産性を高めるというメッセージには、次のような含意があると考えられます。
- 研究開発やイノベーションを通じた競争力の強化
- デジタル化・サービス化など、産業構造の高度化
- 資源やエネルギーの効率的な利用を重視する持続可能な成長
中国が成長パラダイムを再構築しようとしているという両会からのシグナルは、世界のサプライチェーンや投資の流れにも影響を与える可能性があります。
保護主義と「高水準の対外開放」
二つ目のメッセージは、高水準の対外開放で保護主義に対応するというものです。世界各地で、自国市場を守る動きや、貿易や投資に新たな障壁を設ける動きが見られる中、「開くことで応える」というスタンスを明確にした形です。
高水準の対外開放という表現には、単に市場を開くだけでなく、制度やルールの面でも質を高めるという意味合いが込められていると読めます。
- 透明性の高いルールに基づく市場アクセス
- より高度な分野での国際協力や投資の受け入れ
- グローバルスタンダードを意識したビジネス環境づくり
保護主義が強まる局面で、開放路線を掲げることは、世界経済に安定した需要と投資の場を提供するというメッセージにもなります。
グローバルサウスと南南協力の意味
三つ目の柱が、グローバルサウスとの連携強化です。グローバルサウスとは、おおむねアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの新興・途上国を指す言葉で、世界経済における存在感を増しています。
両会のメッセージは、発展のための能力を高めることを通じて、グローバルサウスの間でコンセンサスを築こうとするものです。ここで重要になるのが、南南協力と呼ばれる枠組みです。
- インフラ整備や産業育成など、実務的な協力
- 教育・人材交流を通じた長期的な関係づくり
- 国際会議や地域枠組みでの政策対話
中国がグローバルサウスの一員として、他の国々と連携しながら発展を後押しすることは、新たな成長市場を生み出すと同時に、世界経済のバランスを変えていく可能性を持ちます。
CGTN「Dialogue」が映し出す論点
CGTNの討論番組「Dialogue」では、Xu Qinduo氏とグローバルサウスのシンクタンク代表6人が、中国経済の新たなモメンタムと南南協力の明るい展望について意見を交わしました。
番組の中心にあったのは、次のような視点です。
- 中国が新しい質の生産性をどのように高め、成長のエンジンとしようとしているのか
- 高水準の対外開放が、グローバルサウスを含む各国にどのような機会をもたらし得るのか
- 南南協力を通じて、共通の課題にどう向き合い、どのようなコンセンサスを形成できるのか
グローバルサウス側の専門家が参加している点は、中国の政策を一方向からではなく、多様な視点から捉えようとする試みとも言えます。
世界経済への貢献と「共通の発展」という問い
今回提示された問いは、「世界経済の変動が続く中で、中国はいかにして世界に成長モメンタムを提供しつつ、グローバルサウスと共通の発展を実現していくのか」というものです。
そのための方向性として、次のような点が考えられます。
- 国内経済の安定成長を維持しつつ、新しい質の生産性で世界需要を喚起する
- 高水準の対外開放を通じて、貿易・投資・技術協力のプラットフォームを提供する
- グローバルサウスとの南南協力を強化し、インフラや人材育成などの分野で長期的なパートナーシップを築く
こうした取り組みが進むかどうかは、世界経済の回復力や、国際的なルールづくりにも影響していきます。
日本の読者にとっての意味
日本にとっても、中国の両会が示した方向性と、グローバルサウスとの南南協力は無関係ではありません。サプライチェーン、エネルギー、デジタル経済など、多くの分野で日中双方はグローバルサウスと関わりを持っています。
日本の読者や企業にとって、注目すべきポイントとしては次のようなものが挙げられます。
- 中国の新しい質の生産性へのシフトが、産業構造や技術競争に与える影響
- 高水準の対外開放が、アジアやその他の地域でのビジネス環境にどう反映されるか
- グローバルサウスとの南南協力が、各国の成長戦略や国際ルール形成にどのように関わっていくか
中国とグローバルサウスの動きを丁寧に追うことは、日本自身の立ち位置や戦略を考える上でも欠かせません。
「読みやすいのに考えさせられる」論点として
両会から発せられたメッセージは、中国の国内政策にとどまらず、世界全体がどのように「成長の質」を高めていくのかという問いでもあります。
新しい質の生産性、高水準の対外開放、グローバルサウスとの南南協力。この三つをどのように組み合わせ、実際の政策や協力プロジェクトに落とし込んでいくのか。そのプロセスを継続的に追うことで、国際ニュースの見え方も少しずつ変わっていくはずです。
日本語で国際ニュースを追う私たちにとって、中国の両会とグローバルサウスの議論は、「世界の成長を誰とどのように分かち合うのか」という、これからの時代を考えるための重要なヒントになっていきます。
Reference(s):
Watch: Advancing Modernization – Signals from China's Two Sessions
cgtn.com








