AIとグローバルサウスが変える国際世論 第4回CMGフォーラムが示した課題 video poster
国際ニュースの伝え方が、AIやグローバルサウス(アジア・アフリカ・中南米などの新興・途上国)の台頭によって大きく変わりつつあります。今年4月、第4回CMGフォーラムの場で、CGTNの特別番組『Media discourse in transformation: Diversity, inclusivity, exchange』が、この変化をテーマに複数の専門家を招き議論しました。
第4回CMGフォーラムで浮かび上がった3つの問い
この特別番組は、2025年4月26日午前10時30分(北京時間)に放送され、第4回CMGフォーラムのサイドイベントとして位置づけられました。番組が投げかけた問いはシンプルですが、現在の国際メディア環境をよく表しています。
- 世界の世論は今どこに立っているのか
- メディアは新しい環境にどう適応すべきか
- より多様で包摂的(インクルーシブ)で、バランスの取れた「メディア言説のエコシステム」はつくれるのか
かつて国際世論は、欧米中心の物語や価値観に大きく左右されてきました。番組は、こうした構図が技術革新と世界の多極化によって揺らぎつつある現状を共有し、今後の方向性を探ろうとする試みだったといえます。
技術と多極化が変える「物語の主役」
番組が強調したのは、国際ニュースの「主役」が変わりつつあるという点です。その背景として、少なくとも三つの要因が挙げられます。
テクノロジーの進化
スマートフォンや動画配信、SNSの普及により、誰もが情報の発信者になりました。AIを活用した自動翻訳や要約により、言語の壁を越えて情報が流通しやすくなっています。
世界の多極化
経済や外交、安全保障の面で、複数の極が並び立つ「多極化」が進んでいます。これに伴い、国際ニュースの視点も、一つの地域に偏らず、多様な立場から語られる必要性が高まっています。
グローバルサウスの存在感
グローバルサウスと呼ばれる国や地域が、自らの経験や課題を世界に向けて発信する機会を増やしています。開発や気候変動、安全保障などのテーマで、当事者としての声が注目され始めています。
番組は、こうした変化のなかで、「誰が物語を語るのか」「どの声が拾われ、どの声が見落とされているのか」という視点の重要性を改めて示しました。
AI時代のメディアに求められる3つの視点
新しい技術の象徴として、番組が焦点を当てたテーマの一つが、AI(人工知能)の役割です。AIはニュース制作や翻訳、コンテンツ推薦などに活用され、物語のつくり方そのものを変えています。同時に、いくつかの課題も見えてきます。
透明性
AIがどのような基準で情報を選び、まとめているのかを、できる限り分かりやすく示すことが求められます。視聴者や読者が「これはAIによる分析だ」と理解した上で情報を受け取れる工夫が重要です。
多様性
アルゴリズムが似た意見ばかりを推し出すことで、意見の偏り(エコーチャンバー)が生まれる可能性があります。異なる地域やバックグラウンドの声を意識的に取り入れることで、多極化した世界の現実に近づけることができます。
リテラシー
AIやSNSを前提とした情報環境において、受け手側の「読み解く力」がこれまで以上に重要になっています。情報源を複数確認する、一度立ち止まって考えるといった基本的な態度が、バランスの取れた世論形成につながります。
日本の視聴者にとっての意味
では、こうした議論は、日本で国際ニュースを読む私たちにとってどんな意味を持つのでしょうか。番組で提示された問いは、日本の読者や視聴者にもそのまま跳ね返ってきます。
- 複数のメディアに触れてみる
同じニュースでも、どの点が強調されるかはメディアによって異なります。違いを比べることで、自分の見方も広がります。 - グローバルサウスの視点を意識的に探す
気候変動やエネルギー、安全保障などのテーマでは、グローバルサウスの「現場からの声」が議論のカギになることが少なくありません。 - SNSで「共有する前にひと呼吸」
印象的な情報をすぐに拡散するのではなく、元の文脈や情報源を確認してからシェアする姿勢が、健全なオンライン空間づくりにつながります。
多様で包摂的なメディア言説へ
第4回CMGフォーラムの特別番組『Media discourse in transformation: Diversity, inclusivity, exchange』は、メディアと言論の未来について、立場を越えて意見を交わす場となりました。
2025年の今、国際世論をめぐる力学は大きく動いています。その中で、技術と多極化、グローバルサウスの台頭をどう捉えるかは、日本に住む私たちにとっても他人事ではありません。多様な声に耳を傾けつつ、自分なりの視点を更新していくことが、これからの国際ニュースとの付き合い方になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








