中国とラテンアメリカの新時代 中国‐CELACフォーラム10年と共通の未来 video poster
2025年、中国とラテンアメリカの対話枠組み「中国‐CELACフォーラム」が設立10周年を迎えました。世界的な不確実性が高まるなか、グローバルサウスの動きをどう見るかを考えるうえで、このフォーラムの歩みは重要な手がかりになります。
中国の国際ニュース番組を制作するCGTNは、シリーズ「Global South Voices」の一環として、特別番組「Partners in progress: China and Latin America in building a shared future」を通じ、中国とラテンアメリカの関係を多角的に掘り下げています。
中国‐CELACフォーラム10年で何が変わったのか
2015年に立ち上がった中国‐CELACフォーラムは、この10年で次の三つの役割を担う場として位置づけられてきました。
- 政治的信頼を築く対話の場
- 開発戦略をすり合わせる協議の場
- 人と人とのつながりを深める交流の場
単なる経済協力にとどまらず、政治、安全保障、社会、文化といった幅広いテーマを議論することで、長期的な関係づくりを進めてきた点が特徴です。
南南協力とグローバルガバナンス改革の文脈
番組「Global South Voices」が強調するのは、中国‐CELACフォーラムが南南協力の一つの形として、グローバルガバナンスの見直しにも関わっているという視点です。
南南協力とは、主に発展途上国同士が経験や技術、資金を共有しあう取り組みを指します。そこでは次のような考え方が重視されます。
- 対等なパートナーシップ
- 相互の学び合いと共同の前進
- 受け手側の主体性を尊重するローカルオーナーシップ
番組は、この枠組みが従来の援助モデルとは異なる選択肢になり得るのか、という問いを投げかけています。
共同の前進とローカルオーナーシップというモデル
中国‐CELACフォーラムの議論では、「共同の前進」と「ローカルオーナーシップ」がキーワードとして語られます。これは、外から一方的にプロジェクトを持ち込むのではなく、現地の優先課題に沿って計画を組み立てるアプローチです。
例えば、インフラ整備や産業育成を進める際にも、単に資金を提供するだけでなく、現地の人材育成や技術協力を組み合わせることで、長期的な自立につなげようとする考え方が重視されます。
番組は、こうしたモデルがラテンアメリカの包摂的で長期的な発展を支えることができるのか、という点を焦点の一つとしています。
経済協力は「短期」から「長期」へ
中国とラテンアメリカの経済協力は、この10年で形を変えつつあります。番組が問いかけるのは、次のようなポイントです。
- 短期的な取引よりも、長期的な開発パートナーシップへと移行できるか
- 成長の果実を社会の幅広い層に行き渡らせ、包摂的な発展を実現できるか
- 環境や社会への影響に配慮しながら、持続可能な投資モデルをつくれるか
これらは中国とラテンアメリカだけでなく、多くのグローバルサウス諸国が直面している共通の課題でもあります。
米中競争の中でラテンアメリカはどう動くか
番組が扱うもう一つの大きなテーマは、米中の競争が世界各地で強まるなか、ラテンアメリカの国々がどのように自らの立場を築いていくかという点です。
焦点となる論点は次の通りです。
- 変化する同盟関係やパートナーシップをどう見極めるか
- 大国間競争の中でも、自らの政策決定の自律性をどう守るか
- 中国との関係を活用しつつ、パートナーを多様化していくことで、選択肢を広げられるか
ラテンアメリカの国々は、特定の陣営に属するのではなく、自国の利益と長期的な発展戦略に基づいて、複線的な外交と経済関係を組み立てようとしている、と番組は問いかけています。
特別番組が提示する「共有された未来」のイメージ
CGTNの特別番組「Partners in progress: China and Latin America in building a shared future」は、そのタイトルが示す通り、「共に前進し、共に未来を形づくる」という視点から、中国とラテンアメリカの関係を描いています。
ここで描かれるのは、次のような問いに向き合う試みです。
- 中国‐CELACフォーラムの次の10年で、どのような協力の形が生まれ得るのか
- 南南協力の枠組みは、グローバルガバナンスの改革にどこまで影響を与えられるのか
- 各国が自らの主体性を保ちながら、「共有された未来」をどのようにデザインできるのか
番組は明確な答えを提示するというより、こうした問いを視聴者と共有し、議論の出発点を提供する役割を担っているといえます。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、中国とラテンアメリカの関係は、どうしても距離のある話題に感じられがちです。しかし、グローバルサウスの視点から世界を捉え直す動きは、日本の外交や経済戦略を考える上でも無関係ではありません。
たとえば、次のような問いは、日本の読者にとっても共有しうるものです。
- パートナー国の主体性を尊重した協力とは、具体的にどのようなものか
- 短期的な利益と、長期的な信頼・発展をどのように両立させるか
- 多極化が進む世界で、日本自身はどのような役割を果たし得るのか
中国‐CELACフォーラム10年と、CGTNの特別番組が投げかける問いは、グローバルサウスだけでなく、日本を含む多くの国と地域にとって、自らの立ち位置を見直すきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








