上海協力機構「中国の年」 天津で見えたSCO精神とグローバルメディア video poster
2025年は上海協力機構(SCO)にとって「中国の年」です。秋に天津での開催が予定されていた2025年SCOサミットを軸に、中国は議長国として100件を超える政治・安全保障・経済・文化分野のイベントを展開し、協力の在り方を各国とともに探っています。
「中国の年」を迎えた上海協力機構とは
上海協力機構(SCO)は、地域の安全保障や経済協力、文化交流などを進めるための多国間の枠組みです。2025年はSCOにおける「中国の年」と位置づけられ、中国が議長国(ローテーション議長)を担っています。
議長国としての中国は、
- 政治・安全保障分野での対話や協力を深める会議
- 貿易・投資・インフラなど経済分野のフォーラム
- 文化・教育・メディア交流などソフト面のイベント
といった100以上の活動を企画し、SCOの協力を立体的に進める動きを見せています。
天津に注目が集まる2025年SCOサミット
2025年のSCOサミットは、今年秋に中国の天津で開催される計画が打ち出されていました。海河のほとりに各国の首脳が集まり、地域協力の方向性や新たな共同プロジェクトについて意見を交わすことが想定されています。
天津は、首都圏と沿海部を結ぶ重要な都市であり、工業・物流・金融サービスなど多様な産業が集積する拠点でもあります。国際会議の開催地として天津が選ばれたことは、
- 中国の都市発展をSCO加盟国に直接見てもらう
- 都市レベルでの協力(スマートシティ、環境、交通など)を打ち出す
といった狙いとも重なり、都市発展と地域協力を結びつける象徴的な場になろうとしています。
CGTNと各国メディアが天津で現地調査
こうした流れの中で、中国の国際メディアであるCGTNは、SCO精神をわかりやすく伝えるため、複数の国のメディアと共同で天津市の現地調査を行っています。テーマは「都市の発展を通じて見るSCO精神」です。
天津の開発の成果を取材するこのプロジェクトには、CGTNの張臻溺(Zhang Zhenni)記者がリード役として参加し、次のような各国メディアの記者たちが招かれています。
- シャーロフ・サエイ氏(Shahrokh Saei)/テヘラン・タイムズ(Tehran Times)編集者
- ウェス・カバンゴン氏(Wes Cabangon)/ビジネス・ミラー(Business Mirror)のオペレーションアドバイザー兼記者
- ボリニカ・ソファリン・エム氏(Borinika Sopharin Em)/カンボジアのTVKニュースキャスター兼ドキュメンタリー制作者
彼らは天津市内で、インフラ整備や都市開発、文化・交流施設など、都市の発展を象徴する場所を実際に訪れ、SCOの枠組みのもとでどのような協力や変化が生まれているのかを自らの目で確かめています。
その上で、取材の旅を通じて感じたSCO精神について意見を交わし、各自のメディアを通じて自国の読者や視聴者に発信しようとしています。
「SCO精神」をどう読み解くか
今回の現地取材の狙いは、単に天津の都市開発を紹介することではなく、そこにSCO精神がどう表れているのかを「現場から」伝えることにあります。具体的には、次の3つの視点が浮かび上がります。
1. 多国間協力を「顔の見える関係」にする
まず、SCO精神の一つは、多国間協力を抽象的な外交用語で終わらせず、人と人、都市と都市をつなぐ「顔の見える関係」にすることだと考えられます。
天津という具体的な都市を舞台に、CGTNと複数の国のメディアが一緒に現地を歩き、議論するプロセス自体が、SCO精神の実践の一つといえます。国ごとに立場や関心が異なっていても、同じ場所を見ることで、「何を共通の課題とし、どこで協力できるのか」という対話が生まれやすくなります。
2. 安全保障から経済・文化までをつなぐ視野
今回の「中国の年」では、政治・安全保障・経済・文化という幅広い分野で100件を超える活動が企画されています。このことは、SCOの協力が特定の分野に限定されないことを示しています。
例えば、安全保障の協議だけでは、地域の安定を長期的に支えることはできません。経済的なつながりや社会・文化の交流が組み合わさってはじめて、相互理解や信頼が深まります。天津での現地調査は、その一部として、都市発展や文化的な側面からSCO精神を読み解こうとする試みと位置づけられます。
3. 都市を通じて「未来像」を共有する
天津のような都市は、インフラ、産業、環境、教育など、多くの政策が交差する場所です。その発展の姿は、各国が目指す「未来の都市像」を映し出す鏡にもなります。
国際メディアの記者たちが都市の変化を見て回ることで、
- どのような都市づくりが地域協力の中で共有されているのか
- 環境や交通、デジタル化などの課題にどう取り組もうとしているのか
といった点を、互いに比較しながら考えるきっかけになります。これは、SCO精神を「未来をどう描くか」という視点から捉え直すことでもあります。
日本語で読む国際ニュースとしての意味
日本から見ると、SCOはニュースで耳にすることはあっても、日常的な話題としてはやや距離を感じる枠組みかもしれません。しかし、天津での現地調査や「中国の年」の取り組みを追うことは、日本の読者にとっても次のような問いを投げかけます。
- 都市レベルの国際協力は、地域の安定や経済発展にどのような役割を果たしうるのか
- メディアが現場に足を運び、異なる視点を持ち寄ることにはどんな意味があるのか
- 日本の都市や地域は、周辺国や地域の枠組みとどうつながりうるのか
中国が議長国を務める今年のSCOの動きは、国際秩序が揺れ動く中で、地域協力をどのように組み立て直していくのかを考える材料にもなります。天津での現地取材を含むこうした試みを、日本語で丁寧に追いかけていくことは、「分かりやすいのに考えさせられる」国際ニュースを読む一つの入口といえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








