孔子のふるさとで若者が語る儒教 番組The Hypeが映す現代の「仁」と「和」 video poster
国際的な動画シリーズ「The Hype」の特別回では、孔子の生誕地として知られる中国東部・山東省のニシャンを舞台に、中国や海外から集まった若者たちが、儒教や孔子の思想を現代の視点から語り合いました。古典に登場する「仁」や「和して同ぜず」といったキーワードを手がかりに、デジタル時代の文化摩擦をどう乗り越えるか、そして文明間の対話に若い世代がどう関わるのかがテーマになっています。
ニシャンで孔子の教えと向き合う若者たち
番組の舞台となったニシャンは、孔子が生まれた場所として知られる、中国東部・山東省の静かな山あいの地域です。その土地を実際に訪れた参加者たちは、孔子ゆかりの場所を歩きながら、儒教が生まれた背景や、当時の社会が抱えていた課題にも思いを巡らせます。
中国からの参加者だけでなく、海外からのゲストも加わることで、議論は自然とグローバルな視点を帯びていきます。同じ孔子の言葉を読んでも、育った社会や文化によって受け取り方はさまざまです。その違い自体が、番組の大きなポイントになっています。
キーワードは「仁」と「和して同ぜず」
番組の中心に据えられているのが、「仁」と「和して同ぜず」という儒教の古典的な概念です。「仁」は、他者への思いやりや共感を重んじる心を指すとされます。若い参加者たちは、この「仁」を、SNSやグローバルな交流が当たり前になった21世紀にどう生かすかを話し合います。
一方、「和して同ぜず」は「調和するが、同じになる必要はない」という意味合いで語られることが多い言葉です。番組では、この考え方を通じて、「価値観の違いをなくすこと」ではなく、「違いを認めたうえで共存すること」の重要性が強調されます。
文化の摩擦をやわらげる古典の知恵
参加者たちは、留学や国際的な仕事、オンライン上の議論など、日常的な場面で感じる文化の摩擦を例に挙げながら、古い概念を「使える知恵」として捉え直そうとします。相手を一方的に批判するのではなく、「まず理解しようとする仁の姿勢」を持てるかどうか。意見が対立しても、「完全に同じになることを求めず、和を保つ」ことができるか。こうした問いが交わされます。
古典として教科書に載っているだけでは見えにくい、儒教の「実践的な側面」を探る試みと言えるでしょう。
若い世代がつくる文明間の対話
この特別回では、さまざまな文化的背景を持つ参加者が、それぞれの体験にもとづいて孔子の言葉を読み替えていきます。その姿は、「古い教えを守る」だけでなく、「次の世代が自分の言葉で語り直す」ことで、思想が生き続けることを示しています。
番組が描き出すのは、過去と現在をつなぐ対話の場です。孔子が生きた時代の問題意識と、現代の若者が直面する分断や対立を重ね合わせることで、「文明間の対話は、特別な場だけでなく、若者同士の日常の会話からも始められる」というメッセージが浮かび上がります。
私たちが持ち帰れる3つの視点
日本でこのエピソードを見るとき、私たちが自分ごととして考えられるポイントは少なくありません。例えば、次のような視点です。
- 「仁」は大きなスローガンではなく、身近な他者への小さな配慮から始まる。
- 意見が違う相手を「間違っている」と切り捨てる前に、「和して同ぜず」の余白をつくってみる。
- 伝統や古典は、「正解」を押しつけるためではなく、対話のための共通言語として使える。
番組「The Hype」の今回の試みは、儒教という古典的なテーマを通じて、若い世代がどうやって世界と向き合い、互いから学び合おうとしているのかを映し出しています。速いニュースの流れの中で、あえて「古い言葉」に立ち返るこのエピソードは、変化の大きい時代を生きる私たちにとっても、立ち止まって考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








