北京CISCEで見る新質生産力とサプライチェーンの未来 video poster
2025年7月16〜20日に北京の中国国際展覧センターで開催された第3回中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンをテーマにした世界初の国際展示会として、イノベーションが生み出す新質生産力と製造業の未来に焦点を当てました。本記事では、先進製造イベントの議論を手がかりに、グローバルな製造・供給網がどこへ向かおうとしているのかを整理します。
CISCEの先進製造イベントでは、「イノベーションで新質生産力を育てる」というコンセプトのもと、製造チェーンの変革やデジタル・知能化技術の活用、国境を越えた協調的イノベーションの可能性が、多角的に議論されました。
サプライチェーンをテーマにした世界初の博覧会
中国国際サプライチェーン博覧会(CISCE)は、サプライチェーンそのものをテーマに掲げた世界初の展示会です。製品や技術だけでなく、その背後にある調達、生産、物流、販売までを一体として捉え、国際的な対話の場をつくることを目的としています。
この博覧会には、次の4つの役割があります。
- 貿易の促進
- 投資協力の促進
- イノベーションの集約
- 学びと交流の推進
企業や研究機関、各種団体が一堂に会することで、新しいビジネス機会だけでなく、リスク管理や標準づくりに関する議論も深まります。サプライチェーンをめぐる課題と可能性が、立体的に見えてくる場だといえます。
キーワードは新質生産力とイノベーション
今年のCISCEのキーワードのひとつが、新質生産力です。新質生産力とは、デジタル技術や知能化技術などの新しい要素を取り込むことで、従来とは質の異なる生産性や付加価値を生み出す力を指します。
単に設備を増やすのではなく、データやソフトウェア、人材のスキルを組み合わせて、より柔軟で持続可能な生産システムをつくることが重視されています。イノベーションは、工場の中だけで完結するものではなく、サプライチェーン全体をどう設計し直すかという発想と結びつき始めています。
先進製造イベントが見た製造チェーンの変化
CISCEの先進製造イベントは、製造業の変化を読み解くうえで、次の3つの論点に焦点を当てました。
1. 新質生産力が変える製造チェーン
新質生産力の台頭により、製造の現場とサプライチェーンの構造は大きく変わろうとしています。部品調達から組み立て、出荷後のサービスに至るまで、デジタル技術によって情報がつながることで、需要の変化に素早く対応できる体制づくりが求められています。
製造拠点をどこに置くかだけでなく、どの工程をどの地域と連携して行うのかといった設計の柔軟性も、競争力の源泉になりつつあります。サプライチェーンを固定的なものではなく、状況に応じて組み替えられるネットワークとして捉える視点が重要です。
2. デジタル・知能化技術の活用と課題
イベントでは、デジタル技術やインテリジェント技術の活用と、その課題も取り上げられました。生産ラインの自動化やロボット化だけでなく、センサーによるリアルタイム監視、クラウドや人工知能を活用した需要予測など、製造チェーン全体での応用が進んでいます。
一方で、データを安全に共有するルールづくり、人材育成、複数の国や地域にまたがる標準の整合性など、解決すべき課題も少なくありません。技術導入を単発のプロジェクトで終わらせず、長期的な投資として位置づける視点が欠かせません。
3. グローバル製造チェーンの統合と協調的イノベーション
先進製造イベントのもうひとつの柱が、グローバルな製造チェーンの統合と協調的イノベーションです。原材料の供給から最終製品の販売まで、多くの企業や地域が複雑に関わる現在のサプライチェーンでは、特定のプレーヤーだけで完結するイノベーションには限界があります。
各国・各地域の企業や機関が、それぞれの強みを生かしながら協力することで、新しい製造モデルやサービスを生み出す動きが加速しています。CISCEのような場は、その方向性を具体的に示し、対話を深める機会になっています。
日本の読者・企業にとっての意味
国際ニュースとしてのCISCEは、日本の読者や企業にとっても無関係ではありません。製造業や物流、商社はもちろん、サービス産業にとっても、サプライチェーンの変化は事業戦略に直結します。
- どの地域とどのような形で連携するのか
- 自社の強みをどの工程で発揮するのか
- デジタル化・知能化にどの段階から取り組むのか
こうした問いに向き合ううえで、供給網をテーマにした国際博覧会の議論は、世界の潮流を読み解くヒントになります。日本からは見えにくい他地域の動きも、サプライチェーンという共通の枠組みを通じて俯瞰しやすくなります。
これからのサプライチェーンを考えるために
CISCEでの議論は、サプライチェーンを単なるコスト要因ではなく、競争力とイノベーションの源泉として捉え直す動きを映し出しています。最後に、読者が自分ごととして考えるための視点を3つ挙げます。
- サプライチェーンを「守る」だけでなく、「つくり変える」対象として見る
- デジタル化や知能化を、一部の現場だけでなく全体設計のなかで位置づける
- 一国・一社完結ではなく、オープンな連携のあり方を考える
新質生産力をめぐる動きは、2025年以降の製造業と国際経済の姿を左右していきます。ニュースとして追うだけでなく、自分や自社の戦略とどう接続するかを考えてみることで、CISCEのような国際イベントは、より具体的な意味を持ち始めます。
Reference(s):
Live: Developing new quality productive forces through innovation
cgtn.com








