上海協力機構と持続可能な開発 天津から見る共同成長の対話 video poster
2025年現在、世界各地で「持続可能な開発」が重要なキーワードとなる中、上海協力機構(SCO)は「持続可能な発展の年」を掲げ、天津から新たな対話の場を発信しています。港湾や鉄道、デジタル技術、グリーンエネルギーを結びつけ、どのように共同成長と豊かな未来を描こうとしているのでしょうか。
100年前の慶王府から続く「対話」の伝統
天津にあるQingwangfu(慶王府)は、約100年前から中国と海外の関係者が集まり、開発や未来像について語り合ってきた場所とされています。現在、その歴史的な「対話の場」の伝統を引き継ぐかたちで、上海協力機構(SCO)の枠組みをテーマにした国際的な議論が改めて行われています。
中国国際メディアのCGTNは、SCO加盟国の企業代表や、中国および海外の専門家を招き、「持続可能な開発」を中心テーマとしたクロスボーダー対話を企画しています。天津という開放的な都市の活力と、SCOが描く協力の設計図とを重ね合わせる試みです。
天津港と中欧班列:越境ビジネスをつなぐ物流ネットワーク
議論の大きな柱の一つが、天津港とChina-Europe Railway Express(中欧班列)です。海と陸をつなぐ物流インフラとして、両者がどのように連携し、SCO圏内での越境ビジネスの機会を広げているのかが焦点となっています。
- 港湾と鉄道を組み合わせたルートで、企業がどのように商品や部品を効率的に運べるのか
- 輸送の選択肢が増えることで、中小企業も含めたビジネスチャンスがどこまで広がるのか
- 海上輸送と鉄道輸送を組み合わせることで、環境への負荷をどう抑えていけるのか
天津港と中欧班列をめぐる議論は、インフラ整備を単なる「モノの通り道」として見るのではなく、地域全体の持続可能な成長を支える基盤としてどう生かすかという視点につながります。
CPEC:デジタル技術とグリーンエネルギーの新たな展開
もう一つの焦点は、中国・パキスタン経済回廊(China-Pakistan Economic Corridor, CPEC)です。今回の対話では、CPECがデジタル技術とグリーンエネルギーの分野でどのような突破口を開きつつあるのかが取り上げられます。
議論のポイントとしては、例えば次のようなテーマが想定されます。
- 通信やデジタルインフラの整備が、教育や医療、行政サービスにどのような変化をもたらし得るのか
- 再生可能エネルギーなどのグリーンエネルギーを活用した発電プロジェクトが、地域の産業構造や雇用にどう影響するのか
- インフラ投資と環境保護を両立させるために、どのようなルールや技術が必要なのか
デジタルとグリーン、二つの分野を軸にCPECを捉え直すことで、従来のインフラ協力とは違う「質」の議論が生まれようとしています。
SCOのグリーン政策とエネルギー協力
上海協力機構は、「グリーン」をキーワードにした協力政策にも力を入れています。今回の対話では、加盟国同士がそれぞれのエネルギー資源や技術の強みをどう補完し合うかが議題となっています。
エネルギー政策の連携は、単に資源を融通し合うだけではありません。再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率を高める技術、省エネのノウハウなど、さまざまな分野での協力が想定されます。気候変動への対応という共通課題に向き合いながら、各国が自国の発展目標も実現していくためのバランスが問われます。
なぜ今、「持続可能な開発」をめぐる対話が重要なのか
2025年の今、世界は気候危機やエネルギー安全保障、経済格差など多くの課題を抱えています。こうした中で、単に経済成長を追い求めるのではなく、環境負荷を抑えつつ、人々の暮らしの質を高める「持続可能な開発」があらためて重視されています。
天津で行われるSCOの対話は、次のような点で注目に値します。
- インフラ、デジタル、エネルギーといった異なる分野を「持続可能性」という共通の軸で結びつけていること
- 企業や専門家など、多様なステークホルダーが参加し、現場の視点から議論が行われること
- 地域協力を通じて、各国が自らの強みを持ち寄り、弱点を補い合うアプローチを模索していること
日本の読者にとっての意味
天津港や中欧班列、CPEC、SCOのエネルギー協力と聞くと、日本からは少し遠い話に思えるかもしれません。しかし、物流ルートの変化やエネルギー協力の進展は、製品の供給体制や価格、環境政策といった形で、日本にも間接的な影響を与え得ます。
また、アジアの中でどのような協力の枠組みが形づくられているのかを知ることは、日本の企業や学生、専門職にとって、自らの戦略やキャリアを考える上でも重要な情報になります。天津から発信されるSCOの対話は、アジアの連結性と持続可能な成長の方向性を読み解く一つの窓と言えるでしょう。
国際ニュースを日本語で整理して追いかけながら、私たち自身がどのような「豊かな未来」を望み、どのような形でその実現に関わっていけるのかを考えるきっかけにしていきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








