中国・都江堰の「魚の口」ユズイとは?2千年続く水を分ける知恵 video poster
中国南西部・四川省の都江堰市にある水利施設「ユズイ(魚嘴)」が、いまも成都平原の洪水対策と農業を支える存在として注目されています。全長500メートル超のこの構造物は、2千年以上にわたって川の流れをコントロールし、地域の繁栄を守ってきました。
ユズイ(魚嘴)はどこにある?
ユズイ(Yuzui, Fish Mouth)は、中国南西部の四川省・都江堰市に位置する都江堰灌漑システムの一部です。ミンジャン川(Minjiang River)を横切るように伸びる先端の形が魚の口に似ていることから、この名が付いたとされています。
川の中に突き出したユズイは、ミンジャン川の流れを左右に振り分ける分岐点として機能しています。
都江堰灌漑システムを支える三つの要のひとつ
ユズイは、都江堰灌漑システムを構成する三つの主要な部分のひとつです。この灌漑システムは、ミンジャン川の水を巧みに扱うことで、洪水を抑えつつ農地に水を届けるために設計されました。
なかでもユズイは、川をInner RiverとOuter Riverという二つの流れに分ける重要な構造物です。水量を振り分けることで、他の構造物と連携しながら全体のバランスを保ち、地域一帯の水管理を支えてきました。
洪水対策と灌漑をどう両立させるのか
ユズイが担うのは、単に水を二つに分けることではありません。洪水シーズンには川の水量が急増しますが、ユズイが流れを分散させることで一カ所への負荷を和らげ、周辺地域の被害を抑える役割を果たしてきました。
一方で、農業や暮らしに必要な水を安定して供給することも欠かせません。ユズイによって調整された水は、灌漑用として利用され、長い時間をかけて成都平原一帯の農地を潤してきたとされています。
古代の設計と現代の技術が共存
ユズイは、2千年以上にわたり大切に維持されてきました。歴史の中で繰り返し修理や改良が行われてきましたが、その基本的な仕組みは古代から受け継がれているとされます。
現代では、ミンジャン川の流れや気象条件の変化にも対応するため、丸石(コブルストーン)に加え、コンクリートや鋼鉄といった現代的な素材で補強されています。古代の設計思想と現代の土木技術が組み合わさることで、ユズイは今も実用的な水利施設として機能し続けています。
成都平原の繁栄を守る見えないインフラ
ユズイは、Inner RiverとOuter Riverを分けることで、成都平原の繁栄を守ってきました。洪水から地域を守りつつ、農地や都市に必要な水を届けることで、社会と経済の土台を静かに支えてきた存在だと言えます。
2025年の今も、ユズイは都江堰灌漑システムの一部として生き続けています。古代の水利技術が現代まで継承され、地域の暮らしと結びついている例として、考える価値のある水利施設です。
ユズイから私たちが学べること
ユズイの歴史は、次のような問いを私たちに投げかけているように見えます。
- 自然の力を一方的に制御しようとするのではなく、その特性を生かしながら付き合う発想を、これからの水管理にどう生かせるか。
- 数十年ではなく、数百年、さらには千年単位で維持されるインフラを前提にした地域づくりとはどのようなものか。
- 地域の暮らしと密接に結びついた技術や知恵を、次の世代へどう受け継いでいくべきか。
2千年以上にわたって働き続けるユズイは、単なる古い水利施設ではなく、持続可能な社会やインフラのあり方を考えるきっかけを与えてくれる存在でもあります。国際ニュースを日本語で読む私たちにとっても、古代の知恵と現代の課題をつなぐヒントとして、静かに問いかけているようです。
Reference(s):
Live: Discovering Yuzui – the water-dividing wonder of Dujiangyan
cgtn.com








