第138回広州交易会、スマート製造と新質の生産力が集結 video poster
2025年10月15日から11月4日まで広州で開催された第138回広州交易会(Canton Fair)は、産業オートメーションやスマート製造、サービスロボットなどを前面に押し出し、「新しい質の高い生産力」を世界に示す場となりました。巨大な国際見本市で何が起きているのかを、日本語で整理してお伝えします。
史上屈指のスケールで開かれた第138回広州交易会
今回の広州交易会は、展示面積が約155万平方メートル、ブース数は7万4600に達し、参加企業は3万2000社超とされています。そのうち約3600社が初めて出展する企業で、「歴史的な規模」といえるエディションとなりました。
これだけの規模になると、単なる商品の展示会というよりも、世界の製造業やサプライチェーンの「現在地」を立体的に眺める場になってきます。新規出展企業が多いことは、新しい技術やビジネスモデルが次々と生まれていることの一つのサインとも受け取れます。
キーワードは「新しい質の高い生産力」
第138回広州交易会の中心テーマの一つが、新しい質の高い生産力(new quality productive forces)です。これは単に生産量を増やすことではなく、
- 産業オートメーション(工場の自動化)
- スマート製造(デジタル技術とデータを活用した賢いものづくり)
- サービスロボット(人と直接かかわるロボット)
といった要素を組み合わせることで、高付加価値の製品と効率的な生産プロセスを実現しようとする動きを指しています。
産業オートメーションとスマート製造の最前線
会場では、産業オートメーションやスマート製造に関する最先端の技術がまとめて展示されました。ロボットアームや自動搬送システムといった「ハード」だけでなく、それらを制御するソフトウェア、データを分析するシステム、工場全体を統合的に管理するソリューションまで、幅広いレイヤーがそろっています。
特徴的なのは、部品や機械が単独で並ぶだけでなく、ライン全体、工場全体を一つのシステムとして見せようとしている点です。これにより、世界各地から訪れるバイヤーは、単体の機械ではなく「生産の仕組み」そのものをイメージしやすくなります。
生活の現場を変えるサービスロボット
サービスロボットも、今回の広州交易会の重要な見どころの一つでした。サービスロボットとは、工場内ではなく、物流、医療、飲食、接客など、人の生活や仕事の現場で動くロボットを指します。
例えば、荷物を自動で運ぶロボット、病院での案内や簡単なサポートを行うロボット、店舗で接客をサポートするロボットなどが考えられます。世界のバイヤーは、こうしたロボットの技術的水準だけでなく、実際の現場にどこまでなじむのか、メンテナンスや安全性はどうか、といった点を見極めようとしています。
「完全なエコシステム」を一望できる展示構成
第138回広州交易会では、先端製造業の「エコシステム(生態系)」を丸ごと見せることが意識されています。すなわち、
- モーターやセンサーなどの部品
- 工作機械や産業ロボットといった装置
- それらをつなぎ制御するソフトウェアやプラットフォーム
- 工場や生産ライン全体を設計・運用する統合ソリューション
といった各階層が、ひとつながりの「仕組み」として提示されています。
世界のバイヤーにとって、これは次のような意味を持ちます。
- サプライチェーンの全体像を一つの会場で俯瞰できる
- 部品メーカーからシステムインテグレーター(統合ソリューション提供企業)まで、一気に比較・検討できる
- 自社の課題に合わせて、どの部分を外部と組むべきかを具体的にイメージしやすい
単に「新製品を見る場」から、「自社の生産やビジネスモデルを組み替えるためのヒントを得る場」へと、見本市の性格が変わりつつあることがうかがえます。
実物で確かめる「新しい生産力」の手触り
今回の広州交易会は、新しい質の高い生産力の「具体的な成果」を示すことにも力点が置かれました。カタログやオンライン会議だけでは伝わりにくい部分を、動く実機やデモンストレーションを通じて体感できることが大きな特徴です。
バイヤー側から見れば、
- 生産ラインの速度や精度、柔軟性を目で見て確認できる
- ソフトウェアの操作性やインターフェースを実際に触って試せる
- 複数の企業の製品を組み合わせた時の相性を、その場で検討できる
といったメリットがあります。こうした「手触り」を伴う検証の積み重ねが、新しい生産力の信頼性を高め、導入のハードルを下げていきます。
日本の読者が押さえたい視点
今回の第138回広州交易会は、日本のビジネスや技術者にとっても、いくつか考える材料を提供しています。
- 自動化・スマート製造の技術そのものだけでなく、部品から統合ソリューションまでを一体で考える発想
- サービスロボットのように、人とロボットが共に働く前提で設計された製品やサービスの広がり
- 世界のバイヤーが求めるのは「安い製品」ではなく、「信頼できる仕組み」であるという視点
生産拠点をどこに置くか、どの工程をどこまで自動化するか、人と機械の役割分担をどう設計するかといった問いは、日本企業にとっても避けて通れません。広州で示された新しい生産力のあり方は、その問いに向き合うための一つの参照点になりそうです。
おわりに:イノベーションと知能化が交わる場所としての広州交易会
第138回広州交易会は、イノベーションとインテリジェント製造が交差する場として、世界のバイヤーを引きつけました。産業オートメーション、スマート製造、サービスロボットがつくり出す新しい質の高い生産力は、単なる技術トレンドではなく、ものづくりとビジネスの基盤を静かに書き換えつつあります。
国際ニュースとしての動きをフォローしつつ、自分の仕事や生活にとってこの変化は何を意味するのか。そんな問いを持ちながら、今後の広州交易会や関連する国際見本市の動きも追いかけていきたいところです。
Reference(s):
Live: 138th Canton Fair – A showcase of new quality productive forces
cgtn.com








