12回烏鎮演劇祭「扶揺」古鎮カーニバルが映す世界の舞台芸術 video poster
中国本土・浙江省烏鎮で今年10月16日から26日まで開かれた第12回「烏鎮演劇祭」は、古い水郷の町全体を舞台に変える国際的な演劇イベントです。本稿では、テーマ「扶揺」と2,000件を超える古鎮カーニバルから見える世界の舞台芸術のいまを、日本語でコンパクトに整理します。
古い水郷の町が「巨大な劇場」に
今年の烏鎮演劇祭は、11日間にわたり開催されました。会場となった烏鎮は、運河と石橋が残る古い町並みが特徴で、その路地や広場、川沿いの空間までが「舞台」として使われます。
第12回となる今回は、7つのセクションで構成され、その中心となるのが次の3つです。
- 招待公演
- 若手によるコンペティション(競演)
- シアターマーケット(演劇関係者の交流・取引の場)
国際ニュースとしても注目されるのは、招待公演の規模です。10か国から25作品が参加し、11日間で計71ステージが行われました。限られた時間の中でこれだけの作品が並ぶことで、観客は世界の舞台表現を「まとめて体験」できる構成になっていました。
テーマ「扶揺」が示す、動き続ける舞台芸術
今回のテーマは「扶揺(Fu Yao)」でした。「乗り風に乗って空高く舞い上がる」という意味を持ち、「雲のように渦巻き、止まることなく動き続ける演劇」を象徴する言葉とされています。
このイメージは、国やジャンルの境界を超えて出会い、混ざり合う現代の舞台芸術の姿とも重なります。ひとつのスタイルにとどまらず、既存の枠を乗り越えようとする試みが、今年のプログラム全体を通じて強く打ち出されたと言えるでしょう。
招待公演・若手競演・シアターマーケットの役割
10か国・25作品・71ステージの招待公演
招待公演には、10か国から集まった25作品が参加し、71回の上演が行われました。多様な作品が集まることで、観客にとっては次のような体験が生まれます。
- 自国の演劇だけでは触れにくい表現に出会える
- 同じテーマでも国や文化によって見せ方が違うことがわかる
- 演劇を通じて他地域の社会や価値観を感じ取れる
こうした点で、烏鎮演劇祭は「舞台芸術の見本市」であると同時に、世界の動きを感じ取る国際ニュースの現場でもあります。
若手競演:次の世代が試す「新しいかたち」
若手によるコンペティションでは、新しい演劇の形を探る挑戦的な作品が並びます。完成度だけでなく、「どこまで演劇の可能性を広げられるか」という視点も重視される場です。
こうした場があることで、若いクリエイターは国際的なフェスティバルの空気を肌で感じ、自作へのフィードバックを得ることができます。観客にとっても、「数年後に世界の舞台で活躍しているかもしれない」才能を早い段階で見つけるきっかけになります。
シアターマーケット:つくる人と届ける人をつなぐ
シアターマーケットは、演劇関係者が出会い、企画や上演の機会を広げるための場です。ここでの出会いをきっかけに、別の都市や国での再演や共同制作が生まれることもあります。
観客からは見えにくい部分ですが、こうした「裏側のネットワークづくり」があるからこそ、作品が国境を越えて旅をし、多様な国や地域の観客に届いていきます。
約2,000件の古鎮カーニバルが生む「まちと演劇」の距離感
烏鎮演劇祭の大きな特徴が、「古鎮カーニバル」と呼ばれるプログラムです。11日間で2,000件を超えるイベントが古い町並みのあちこちで行われました。
古鎮カーニバルでは、劇場の中だけでなく、町の路地や広場などを使って多様な表現が展開されます。時間の感覚や文化的な背景をまたいだ試みが並び、例えば次のような組み合わせが町全体を「生きた舞台」に変えていきます。
- 古典的な雰囲気の空間で現代的な表現を行う
- 伝統を思わせる場所で、新しい演劇言語に挑戦する
また、一部のプログラムは国際メディアによってライブ配信も行われ、現地に行けない人々にも臨場感を共有する機会が提供されました。スマートフォンやPCから参加できる形は、観劇のスタイルの多様化にもつながっています。
日本の読者へのヒント:地方と演劇、観光と文化政策
日本にも歴史的な街並みや温泉地、港町など、「舞台」となりうる場所は各地にあります。烏鎮演劇祭のように、町全体を使ったフェスティバルは、次のようなヒントを与えてくれます。
- 観光と文化を切り離さず、「まちの物語」を軸にしたイベント設計
- 若手や海外のアーティストを巻き込んだ継続的なプラットフォームづくり
- オンライン配信を組み合わせた「現地+デジタル」の体験設計
国際ニュースを日本語でフォローすることは、単に海外の出来事を知るだけでなく、自分たちの地域や文化の可能性を考え直すきっかけにもなります。烏鎮演劇祭の試みは、その好例のひとつだと言えるでしょう。
Reference(s):
Live: Experience the Wuzhen Theatre Festival's Ancient Town Carnival
cgtn.com








