香港・珠海・マカオ大橋が見せた大湾区の今 第15回全国運動会レポート video poster
香港・珠海・マカオ大橋が、第15回全国運動会の舞台として改めて注目を集めています。スポーツイベントを通じて、広東・香港・マカオ大湾区の一体化がどこまで進んでいるのかが、分かりやすく可視化されたからです。
橋の上を走る231.8キロ 3地域を結んだロードレース
今回の全国運動会では、男子個人ロードレースが香港・珠海・マカオ大橋を舞台に行われました。コース全長は231.8キロに及び、香港・珠海・マカオの3地域をつなぐルートが設定されました。
選手たちは、通常であれば国境をまたぐ際に必要となる税関手続きで速度を落とすことなく、橋の上を一気に駆け抜けるレースを体験しました。いわば、ブレーキを踏まずに3地域を行き来できる広域コースが実現した形です。
高速通関が示す大湾区の「ソフトな連結」
今回の大会では、単に橋を使ったルートが設定されたというだけでなく、車両と人の往来を支える制度面でも新しい試みが行われました。車両や大会関係者の資格要件、通関手続きの面で、新たな突破があったとされています。
具体的には、次のような点が注目されます。
- 3地域をまたいで走行できる越境ナンバープレートを付けた医療支援車両の投入
- 香港・珠海・マカオの3地域が共同で運用する指令車両の導入
- 車両と人の資格確認や税関手続きの簡素化・迅速化による、スムーズな往来の実現
こうした取り組みは、大湾区でよく使われる「ハードなインフラ」だけでなく、制度や運営の面で地域をつなぐ「ソフトな連結」を象徴するものだといえます。
RFIDと共同ラボが支える橋のテクノロジー
香港・珠海・マカオ大橋の運用を支える裏側の技術も、今回の大会を通じて改めて浮き彫りになりました。広東・香港および広東・マカオの境界には、RFIDと呼ばれる無線の自動認識システムが導入されています。
RFIDは、専用のタグと読み取り機を使って、非接触で情報を読み書きできる技術です。料金所や物流、入退管理などにも使われるこの仕組みによって、橋を通過する車両の識別や通過管理が効率的に行われています。
さらに、海洋インフラをテーマとする広東・香港の共同ラボが積み重ねてきた運営・保守の成果も、今回の橋の運用で生かされました。橋の安全性や耐久性を高める研究や、過酷な海洋環境でのメンテナンス技術の蓄積が、大規模イベント時の安定した運用を支えています。
2018年の開通以来続く、大湾区一体化の象徴
香港・珠海・マカオ大橋は、2018年の開通以来、広東・香港・マカオ大湾区の一体化を象徴するインフラとして位置づけられてきました。今回の全国運動会では、その役割がさらに一歩進んだ形で示されたといえます。
スポーツだけでなく、文化や経済などさまざまな分野で3地域の交流を促進するハブとして、大橋の存在感は増しています。橋を通じた往来が日常化することで、人やモノ、サービスの移動が、より直感的に分かる形で広がりつつあることが、今回の大会を通じて可視化されました。
日本の都市圏にもつながる示唆
広域の都市を橋やトンネルなどで結び、同時に制度面の調整によって往来をなめらかにするという取り組みは、東京圏や関西圏など、日本の大都市圏が直面する課題とも重なります。
巨大インフラを単なる交通手段としてだけでなく、スポーツや観光イベントの舞台として活用し、地域全体のブランド力を高めるという発想は、日本にとっても参考になる点が多いはずです。
また、大規模イベントのために導入した仕組みを、その後の平時の往来にもどう生かすかは、各国・各地域に共通するテーマです。香港・珠海・マカオ大橋での試みは、今後の国際的なスポーツ大会や広域経済圏づくりを考えるうえで、一つの具体例として注目しておきたい動きだといえるでしょう。
Reference(s):
Live: Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge, hub linking the Greater Bay Area
cgtn.com








