中国・深圳の梧桐山 第15回全国運動会マラソンと大湾区を見渡す山 video poster
中国・広東省深圳市の梧桐山(Wutong Mountain)は、第15回全国運動会のマラソン競技の開催地となる都市を見下ろす「緑の要所」です。急速に発展する大都市の中で、森林率88.6%の山がどのように環境とスポーツをつなげているのかを見ていきます。
深圳の都市を見守る梧桐山
梧桐山は、中国南部のテック都市として知られる深圳の東部に位置し、南西から北東にかけて標高を上げていく山並みが特徴です。山全体は、小さな峰から大きな峰へと連なる稜線がつくるダイナミックなシルエットで、古くからその姿は「三つの峰が競い合う」Three Competing Peaksとして知られてきました。
この山並みを形づくる主な3つの峰は次の通りです。
- Xiao Wutong
- Doufutou
- Da Wutong(標高943.7メートルで、深圳で最も高い地点)
頂上付近からは、都市と海、そして周囲の山々を見渡すパノラマが広がります。高層ビルが立ち並ぶ市街地の背景に、濃い緑の山並みが連なる景色は、急成長する大都市と自然が共存する姿を象徴しています。
森林率88.6%が生む「都市のクーラー」
梧桐山の森林被覆率は88.6%とされ、山全体が豊かな森に包まれています。この森には1,800種を超える植物が生息しており、都市のすぐそばにありながら、多様な生態系を抱え込む貴重な空間となっています。
濃い緑は景観として美しいだけでなく、環境面でも重要な役割を担います。梧桐山は、大気中の二酸化炭素を吸収するカーボンシンクとして機能し、地球温暖化対策の一端を担っています。また、コンクリートやアスファルトが多い都市部が高温になりやすいヒートアイランド現象を和らげる「天然のクーラー」としても働きます。
都市の真ん中に近い場所に、これほどの森林と生物多様性が維持されていることは、深圳の住民にとって、日常的に自然と触れ合える貴重な機会にもつながっています。
全国運動会マラソンと大湾区のスポーツ交流
梧桐山が位置する深圳は、中国の第15回全国運動会のマラソン競技の開催都市となっています。広東・香港・マカオ大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)の一角として、深圳はスポーツを通じた越境交流の新しい章を書き始めています。
全国運動会は、中国各地の代表選手が集まる大規模な総合スポーツ大会です。そのマラソン競技が深圳で行われることで、広東省だけでなく、香港やマカオといった周辺地域からも注目が集まり、大湾区全体でスポーツを軸にした交流が進みつつあります。
こうしたスポーツイベントの熱気と、梧桐山の静かな緑は、同じ都市空間の中で共存しています。訪れる人びとは、スタジアムや沿道で感じる高揚感と、山の上で味わう静けさと涼しさという、対照的な空気を一度に体験することができます。
都市の成長と自然をどう両立させるか
梧桐山のパノラマは、単なる観光名所というだけでなく、巨大都市がどのように自然と付き合うかを考えさせる風景でもあります。急速な経済成長の中で、山と森を大規模に残し、カーボンシンクやヒートアイランド対策として位置づけている点は、都市政策の一つの方向性を示していると言えます。
アジアの多くの大都市と同じように、深圳も人口と経済活動が集中する一方で、環境負荷の軽減が課題になっています。その中で、梧桐山のような大規模な緑地を活かしながら、スポーツイベントや市民のレクリエーションの場として開いていく取り組みは、都市の持続可能性を探る上で注目に値します。
日本を含む他の都市にとっても、梧桐山と深圳の関係性は、開発と環境保全、健康づくりと地域交流をどのように結びつけるかを考えるヒントになりそうです。国際ニュースとしての視点からも、広東・香港・マカオ大湾区の動きと合わせて、今後の展開を追っていきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com








