G20南アフリカ議長国とグローバルサウス サステナブル農業はどこへ向かうのか video poster
気候変動が深刻さを増すなか、サステナブル(持続可能)な農業は、世界の食料安全保障を左右する重要テーマになっています。今年、南アフリカが議長国を務めるG20では「農業技術の包摂性」が掲げられ、グローバルサウスの役割に改めて注目が集まっています。
中国の国際ニュース専門チャンネルCGTNは、2025年11月22日19時(北京時間)から特別番組 The Hype – G20 Special: Sustainability and beyond をライブ配信し、人工知能(AI)、農業、工学の専門家を招いて、グリーン技術がいかに農業転換を後押しするかを議論しました。本稿では、その番組が示す論点を手がかりに、グローバルサウスとサステナブル農業の現在地を整理します。
G20南アフリカ議長国が掲げる「包摂的な農業技術」とは
今年のG20を主導する南アフリカは、「農業技術の包摂性(インクルーシブネス)」を重要なテーマの一つに据えています。ここでいう包摂性とは、先進的な農業技術が一部の大規模農家や先進国だけにとどまらず、途上国の小規模農家や農村地域にも届くようにするという考え方です。
具体的には、次のような課題意識が含まれます。
- 気候変動で干ばつや洪水が増える中、誰もが適応策にアクセスできること
- デジタル技術やAIによる効率化の恩恵が、大規模農業だけで独占されないこと
- 技術導入のコストやノウハウ不足で、格差がさらに広がらないようにすること
G20という枠組みで議論されることで、資金や知識の共有、国際協力の枠組みづくりが進むかどうかが注目されています。
グローバルサウスが支える世界の食卓
番組が焦点を当てたグローバルサウスとは、アジア、アフリカ、中南米などを中心とする新興国・途上国を指す言葉です。グローバルサウスは、コーヒー、カカオ、大豆、トウモロコシなど、多くの農産物を世界に供給しており、日本の食卓とも深くつながっています。
一方で、こうした地域は気候変動の影響をより強く受けやすく、
- 気温上昇による収量低下
- 異常気象による収穫の不安定化
- インフラ不足による物流の脆弱性
といったリスクに直面しています。持続可能な農業への転換は、単に環境保護のためだけでなく、グローバルサウスの農家が安定した生活を続けるためにも欠かせない課題です。
AI・農業・工学の専門家が示す「グリーン技術」の可能性
CGTNの特別番組には、人工知能、農業、工学の専門家が登場し、新しいグリーン技術がどのように農業の転換を後押ししうるかを紹介しました。番組のテーマからは、次のようなポイントが見えてきます。
- AIによる「見えないムダ」の削減
衛星データやセンサーを活用して土壌の状態や水分量を分析し、必要なところにだけ水や肥料を与える「精密農業」をAIが支えることで、資源のムダを減らしつつ収量を高める可能性があります。 - 再生可能エネルギーと組み合わせた農業
太陽光や風力などの再生可能エネルギーと、灌漑(かんがい)や冷蔵保管といった農業インフラを組み合わせることで、化石燃料への依存を減らしながら生産性を維持する取り組みが広がりつつあります。 - グローバルサウスに適した「小さな技術」の重要性
最新の大型機械だけでなく、小型センサー、スマートフォンアプリ、低コストの灌漑装置など、小規模農家でも導入しやすい技術をどう広げるかが鍵となります。
番組は、こうした技術を「共有された未来」のためにどう活用していくのか、特にグローバルサウスを念頭においた議論の場となりました。
日本の私たちにとっての意味
一見すると遠い話に思えるかもしれませんが、グローバルサウスのサステナブル農業は、日本の生活とも密接に関わっています。日本は多くの農産物や飼料を輸入に頼っており、
- 輸入先の気候リスクが高まれば、価格の乱高下や供給不安につながる
- 環境負荷の高い農業が続けば、脱炭素の国際ルールの中でコスト増になる可能性がある
といった影響が考えられます。どの国・地域で、どのような形で食料が生産されているのかを知ることは、消費者としての選択や、日本の農業政策、企業の調達戦略を考えるうえでも重要になってきます。
メディアを通じて議論を「自分ごと」に
今回のCGTNの特別番組は、G20議長国となった南アフリカ、グローバルサウス、そしてサステナブル農業というテーマをつなぎ合わせ、専門家の視点から整理する試みでした。
国際ニュースを日本語で追う私たちにとっては、
- G20などの国際会議でどのような議題設定がなされているのか
- グローバルサウスの現場からどのような課題と解決策が語られているのか
- AIやグリーン技術が、誰のためのテクノロジーになっているのか
といった問いを持ちながら、番組やニュースをフォローしていくことが、サステナブルな未来を「自分ごと」として考える第一歩になるのではないでしょうか。
気候変動と食料安全保障、グローバルサウスと技術革新。これらをどう結びつけていくのかは、2025年以降の国際秩序を占う大きなテーマです。G20の議論や各国メディアの発信を通じて、その動きを引き続き注視したいところです。
Reference(s):
cgtn.com








