アブダビにザイード・ナショナル・ミュージアム開館 歴史と未来をつなぐ新拠点 video poster
UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビで、ザイード・ナショナル・ミュージアムが火曜日に一般公開を始めました。建国の父シェイク・ザイード・ビン・スルタン・アル・ナヒヤーンの歩みをたどりながら、歴史・文化・イノベーションを体感できる新たな文化拠点です。
現地を訪れたCMGの記者・李昭(Li Zhao)さんは、館内を巡りながらその魅力をリポートしました。彼女の足取りを追うと、この博物館が単なる観光スポットにとどまらず、UAEの現在と未来を映し出す「窓」であることが見えてきます。
アブダビに誕生した新たなランドマーク
ザイード・ナショナル・ミュージアムは、UAEの建国と発展を振り返ると同時に、国のビジョンや価値観を国内外の来館者と共有することを目的とした国立博物館です。世界水準の展示、最先端の研究、ダイナミックな教育プログラムを通じて、UAEがどのような国づくりをめざしてきたのかを伝えます。
開館当日、館内には家族連れや学生らが訪れ、展示に見入りながらスタッフの説明に耳を傾けていたといいます。報道を担当した劉超(Liu Chao)記者による写真からは、新しい文化拠点が生まれたことへの期待感がにじみます。
ハヤブサに着想を得た建築が語るもの
まず目を引くのは、ハヤブサに着想を得たという外観です。鋭く伸びるラインとダイナミックなフォルムが空に向かって立ち上がり、アブダビのスカイラインのなかでもひときわ存在感を放っています。
建物そのものが「物語の入口」となっており、来館者は扉をくぐる前から、UAEの歴史や文化、そして未来への視線を意識させられます。建築と展示が一体となって、国のアイデンティティを表現しようとしている点が特徴です。
歴史・文化・イノベーションをつなぐ展示空間
建国の父のビジョンをたどる
展示の中心となるのは、UAEの建国の父とされるシェイク・ザイードの人生とビジョンです。彼がどのような価値観に基づいて国を導き、どのように人々の暮らしを変えていったのかが、資料やストーリーを通じて紹介されています。
単に年表を並べるのではなく、政治・社会・文化を立体的に見せる構成によって、訪れる人それぞれが自分なりの問いや発見を持ち帰れるよう工夫されています。
没入型のインタラクティブゾーン
館内には、来館者が展示の世界に入り込んだような感覚を味わえるインタラクティブ(双方向)ゾーンも設けられています。自分のペースで見て触れて学べる体験型の仕掛けが、歴史や文化を「遠い過去の話」ではなく、現在につながるテーマとして感じさせてくれます。
こうした没入型の展示は、スマートフォン世代にとっても親しみやすく、SNSでの共有とも相性が良い形式です。ザイード・ナショナル・ミュージアムは、その流れを意識しつつも、深い学びにつなげるバランスを模索しているように見えます。
サステナビリティと中国本土との長い絆
展示の大きな柱のひとつが、UAEのサステナビリティ(持続可能性)への強いコミットメントです。自然環境への配慮や、未来世代への責任といった観点から、どのように社会を発展させていくのかという問いが来館者に投げかけられています。
同時に、UAEが中国本土と築いてきた数百年にわたる交易の歴史も紹介されています。商人たちが行き交ったルートや文化の交流を振り返ることで、両地域の結びつきが偶然ではなく、長い時間をかけて育まれてきたものであることが浮かび上がります。
サステナビリティと国際的な交易史を同じ空間で見せることで、「過去の蓄積」と「未来への責任」をひとつながりの物語として提示している点は、グローバルな視点を持つ読者にとっても興味深いポイントといえるでしょう。
教育・研究のハブとしての役割
ザイード・ナショナル・ミュージアムは、展示を見る場であると同時に、最先端の研究と教育プログラムの拠点でもあります。研究者によるプロジェクトや、学校・大学と連携した学習プログラムを通じて、知のネットワークを広げていくことが期待されています。
子ども向けのワークショップや、一般市民が参加できる講座など、多様な層に開かれた学びの場として機能すれば、博物館は「歴史を保存する場所」から「社会をアップデートする場所」へと役割を広げていくでしょう。
変わる博物館、問われる私たちの視点
ザイード・ナショナル・ミュージアムの特徴をまとめると、次のようなポイントが見えてきます。
- 建国の父の物語を軸に、国の歴史とビジョンをわかりやすく伝える構成
- 没入型のインタラクティブゾーンによる、体験を通じた学び
- サステナビリティを前面に出し、未来世代への責任を問いかける姿勢
- 中国本土との長い交易の歴史を示し、地域を越えたつながりを可視化する展示
こうした取り組みは、世界各地の博物館が「モノを並べる場所」から「対話と学びのプラットフォーム」へと変化しつつある流れとも重なります。アブダビで始まったこの新しい試みは、私たちにとっても「歴史や文化とどう向き合うのか」という問いを静かに投げかけています。
画面越しにその様子を追いながら、自分がこの空間を歩くとしたら何を感じ、どんなテーマに目を留めるだろうか――そんな想像を巡らせてみるのも、国際ニュースを読むひとつの楽しみ方ではないでしょうか。
Reference(s):
Watch: An immersive tour of the newly opened Zayed National Museum
cgtn.com








