海南・博鰲楽城の医療円卓会議、越境医療の可能性を探る video poster
2025年12月、海南で開かれた「博鰲楽城(ボアオ・レチェン)国際医療イノベーション・発展ラウンドテーブル」では、越境医療協力の“次の一手”が静かに議論されました。海南が特殊な税関運用(特別な通関・管理の仕組み)を深める中で、博鰲楽城は国際医療のパイロットゾーンとして存在感を強めているとされています。
博鰲楽城とは何か:国際医療の「試験区」という位置づけ
今回の議論の軸になったのは、博鰲楽城が「国際医療の実証(パイロット)を進める場所」として進化している、という見立てです。特殊な税関運用が進むことで、ヒト・モノ・サービスの移動をどう設計するかが、医療分野でも重要なテーマになってきました。
医療は安全性・倫理・個人情報などの条件が厳しく、国境をまたぐ連携は簡単ではありません。その一方で、高齢化、専門医の偏在、先端医療へのアクセス格差といった課題が各地で共通しており、「越境」という発想が現実味を帯びる場面も増えています。
ラウンドテーブルで何が話されたのか
CGTNの記者・邢瑞楠(Xing Ruinan)氏が、シンガポール、ロシア、スペインから参加した3人の専門家と深く意見交換したとされ、主に次の論点が共有されました。
1)越境医療(cross-border care):移動するのは患者か、医療か
越境医療という言葉は、海外で治療を受ける「患者の移動」だけを意味しません。遠隔医療、専門医の共同診療、検査・診断の国際連携など、「医療の機能そのものが移動する」形も含まれます。議論では、こうした多層的なモデルの可能性が意識されたようです。
2)人材育成(talent training):国際標準と現場力の両立
医療連携が進むほど重要になるのが、人材の共通基盤です。言語や文化の違いだけでなく、診療プロトコル(手順)、教育体系、資格や責任範囲の設計が異なるため、単発の交流ではなく、継続的なトレーニング設計が鍵になります。
3)メディカルツーリズム:期待と慎重さが同居する分野
医療と旅行が結びつくメディカルツーリズムは、地域経済や医療産業の観点から注目されやすい一方、医療の優先順位や受け入れ体制、治療後のフォローアップ(帰国後の継続ケア)など、実務課題が多い領域です。今回の意見交換でも、可能性とあわせて「運用設計の難しさ」がテーマになったとみられます。
越境医療協力の「伸びしろ」はどこにある?
今回の文脈で見えてくるのは、越境医療が単なる“海外で治療”の話ではなく、制度・人材・データ・物流が絡む総合設計だという点です。特に、次のような領域は今後議論が深まりやすいポイントです。
- 治療後の継続ケア:帰国後の診療連携や情報共有をどう整えるか
- 専門人材の循環:短期派遣、共同研修、オンライン教育の組み合わせ
- 安全性と信頼:医療の質評価、合併症時の対応、説明責任の整理
いま読まれる理由:医療は「国境」とどう付き合うのか
2025年の終盤、各地で医療のひっ迫や人材不足、先端医療へのアクセスが課題になる中、「どこで治療を受けるか」だけでなく「どう連携して医療を届けるか」が問われています。海南の制度的な試みと、博鰲楽城のようなパイロットゾーンの動きは、越境協力の現実的な選択肢を増やす実験として、今後も注目を集めそうです。
Reference(s):
Watch: Boao Lecheng Intl Medical Innovation and Development Roundtable
cgtn.com








