中国本土・浙江省湖州「月亮広場」——太湖の水辺で出会う江南の美 video poster
中国本土・浙江省湖州市で紹介されている水辺スポット「月亮広場(ムーン・スクエア)」は、江南(こうなん)らしい詩情と、現代的なデザインを同じ画面に収めたような場所です。太湖(たいこ)の南岸に広がるこの広場は、昼と夕暮れで表情が変わり、地域の伝統工芸をさりげなく織り込んだ造形が目を引きます。
“満月”を映すリング型ホテルが中心に
月亮広場の中心に据えられているのは、満月を思わせるリング状のホテルです。水辺に沿って設計されたプラットフォーム(歩ける広場空間)と組み合わさることで、「湖」と「月」を重ね合わせるような見え方が生まれます。
観光施設としての分かりやすさがある一方で、輪の形そのものが風景のフレームとなり、遠景の太湖を切り取る“窓”のようにも機能します。建築が景色を主張しすぎず、眺めを引き立てる設計思想が読み取れます。
彫刻やタイルに刻まれた、湖州のものづくり
この場所が「ただのフォトスポット」で終わらないのは、装飾の細部に湖州の手仕事が参照されているからです。広場には、湖州の伝統と結びつく意匠が点在します。
- 湖州の筆(湖筆)を思わせる彫刻的な表現
- 絹(シルク)の文様を取り入れたタイル装飾
いずれも、地域が積み重ねてきた産業や技術へのオマージュとして配置されており、「江南の美しさ=水辺」だけでなく、「江南の美しさ=暮らしと工芸」の側面も伝えます。
昼は太湖の広がり、夕刻は“漁火”のような灯り
日中は太湖のスケール感が主役になります。湖面を滑るように進む帆船を眺められる時間帯もあり、視界が開けた水辺ならではの落ち着きがあります。
そして夕暮れになると、月亮広場は光と影の演出が前面に出てきます。設置されたランプには、古い太湖の漁灯(ぎょとう)を思わせるデザインが採用されているとされ、現代の照明が「かつての湖の生活」を連想させる仕掛けになっています。
なぜ今、こうした「地域性のあるデザイン」が目を引くのか
2026年2月現在、各地で“新しい公共空間”やウォーターフロント開発が語られる中、月亮広場が象徴的なのは、現代建築の分かりやすいアイコン性(リング形状)と、ローカルな文脈(筆や絹の意匠)を同じ場所に同居させている点です。
派手さだけで押し切るのではなく、土地の記憶を「模様」や「かたち」に落とし込み、訪れる人の歩く速度に合わせて見えてくる——。江南という言葉が持つ、静けさや余白の感覚は、そうした作り方の中に宿るのかもしれません。
Reference(s):
Live: Discover Jiangnan's beauty at Moon Square in Huzhou – Ep. 2
cgtn.com








