ラテンアメリカ国際ニュース 本のカートで街に読み書きを届けるムリージョさん video poster
CGTN Americaのドキュメンタリーシリーズ「Portraits of Latin America」に登場する、コロンビアのマルティン・ムリージョさん。本のカート一台から、街に読み書きの機会を広げてきました。
ラテンアメリカを映す「Portraits of Latin America」
国際ニュースを英語中心で追っていると、ラテンアメリカの人々の「顔」が見えにくくなることがあります。CGTN Americaのシリーズ「Portraits of Latin America」は、ラテンアメリカの優れた人物たちを、丁寧なインタビューを通じて紹介する企画です。
ニュースで見落としがちな、地域の課題や希望を「ひと」の物語から捉え直す試みだと言えます。
コロンビア・カルタヘナの本のカート
シリーズの一編では、コロンビア出身のマルティン・ムリージョさんが取り上げられています。ムリージョさんは、人生をかけて自国の識字率向上に取り組んできた人物です。
彼が選んだ手段は、とてもシンプルです。誰もが自由に使える本を積んだカートを押して、コロンビア北部の港町カルタヘナの街中を回ること。道ゆく人が立ち止まり、本を手に取れるようにすることで、読み書きへの入り口を開いてきました。
なぜ「読み書き」なのか
2025年の今も、読み書きの力は社会参加の基盤であり続けています。文字が読めるかどうかは、仕事の選択肢や、社会保障、政治参加、そして日常の情報収集に直結します。
- 本を読むことで、自分の暮らす街や世界の出来事を理解できる
- 契約書や公的な書類を自分で確認できる
- インターネットやSNSの情報にも、自分の判断でアクセスできる
ムリージョさんの本のカートは、こうした力への入口を、カルタヘナの路上にそのまま持ち込む試みだと言えます。
一人の試みが社会にもたらすもの
国家レベルの教育政策とは別に、現場で静かに続けられている市民の取り組みがあります。本のカートのような草の根の活動は、次のような変化を生みやすいと考えられます。
- 本に触れる機会が少ない子どもや大人に、偶然の出会いをつくる
- 「本を読む人」が街の風景として見えることで、読書への心理的ハードルが下がる
- 同じ街に暮らす人どうしの会話やつながりが生まれる
大きな予算や派手なキャンペーンがなくても、一人の継続的な行動が、地域の雰囲気や価値観をゆっくり変えていく可能性があります。
日本の読者への問いかけ
国際ニュースとしてマルティン・ムリージョさんの活動を知ることは、日本の私たち自身の「読み書き」と情報への向き合い方を考えるきっかけにもなります。
スマートフォンでいつでも大量の情報に触れられる一方で、本をゆっくり読む時間をどう確保するか、本を持たない人にどう届けるか。コロンビア・カルタヘナの本のカートの物語は、遠い国の話でありながら、日本の街やコミュニティでも応用できるヒントを含んでいるのかもしれません。
ラテンアメリカの一人の市民の歩みを追うこのポートレートは、グローバルなニュースの中から、人間らしいスケールで世界を捉え直すことの大切さを静かに教えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








