ブラジル人研究者「気候変動の被害は最貧困層に集中」環境正義を語る video poster
気候変動の負担は、本当に「みんなで等しく」分け合っているのでしょうか。ブラジルの研究者カヨ・モウラ氏は、CGTNのリー・ジンジン記者とのインタビューで「最も貧しい人々が、気候変動の被害を最も強く受けている」と警鐘を鳴らしました。
モウラ氏はブラジルのシンクタンク、Decodifica Institute(デコジフィカ研究所)の研究コーディネーターとして、環境正義=環境と社会の不平等を一緒に考える視点の重要性を強調しました。
洪水や地滑りが直撃するのは誰か
インタビューのなかでモウラ氏は、洪水や地滑りなど気候変動に関連した災害の被害を、最も貧しく周縁化されたコミュニティが受けていると指摘しました。
こうした人々は、安全な住宅や十分なインフラが整っていない地域に暮らしている場合が多く、ひとたび災害が起きると、命や住まい、仕事を同時に失いやすい立場に置かれがちです。避難や復旧に使えるお金や社会的なつながりも限られ、被害から立ち直るのに時間がかかります。
「世界の1%」と「66%」が出すCO2が同じという現実
モウラ氏が示した数字は、多くの人にショックを与えるものです。世界で最も豊かな1%の人々が排出する二酸化炭素の量は、最も貧しい66%の人々の排出量とほぼ同じだといいます。
つまり、地球温暖化を加速させている責任は、ごく一部の豊かな層に集中している一方で、その影響である洪水や地滑り、極端な気象の被害は、排出量が少ない人々に重くのしかかっている構図です。
- 多く排出しているのは、世界のトップ1%の富裕層
- 被害を強く受けているのは、排出量の少ない最貧困層
- 「出している人」と「苦しんでいる人」が一致していない
このギャップこそが、モウラ氏が訴える「環境正義」の出発点です。
環境正義という考え方
環境正義とは、環境問題を単なる科学や技術の話としてではなく、「誰が恩恵を受け、誰が負担を強いられているのか」という公平性の問題として捉える考え方です。
モウラ氏は、気候変動対策を議論するときこそ、貧困層や周縁化された人々の視点を中心に据えるべきだと強調しました。排出量が少ない人々の暮らしを犠牲にして進む「グリーン転換」ではなく、彼らの安全と尊厳を守る形での移行が必要だというメッセージです。
2025年の今、私たちが考えたいこと
気候変動と格差の問題は、ブラジルや特定の地域だけの話ではありません。2025年の今も、世界各地で洪水や土砂災害、熱波などが暮らしを揺さぶり、最も弱い立場にある人々を追い詰めています。
日本でニュースを見ている私たちにとっても、「誰がどれだけ排出し、誰がどんな被害を受けているのか」という視点を持つことは、気候変動を自分ごととして考える第一歩になるはずです。
- 災害ニュースを見るときに、被害を受けた人々の背景に目を向ける
- 気候変動対策やエネルギー政策の議論で、「公平さ」を一つの基準として考える
- SNSなどで、環境と格差をつなげて語る情報をシェアし、対話のきっかけをつくる
「最も苦しんでいる人は誰か」という問いを忘れないこと。それが、モウラ氏の語る環境正義を、私たちの日常の議論につなげる鍵になりそうです。
Reference(s):
Brazilian researcher: The poorest suffer the most from climate change
cgtn.com








