国連がハイチ人道航空便を再開へ 激化する暴力と2万人超の避難
暴力が続くハイチで、国連人道航空便が再開へ
暴力が激化するハイチで一時停止していた国連の人道航空サービスが、今週水曜日に限定的ながら運航を再開する予定です。国際ニュースとしても注目されるこの動きは、現地で活動する人道支援団体にとって重要な「命綱」となります。
FAAの飛行禁止と「特別な例外」
国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官を務めるステファン・ドゥジャリック氏によりますと、国連世界食糧計画(WFP)が運営する国連人道航空サービス(UNHAS)は、米連邦航空局(FAA)から特別な承認(ウェーバー)を受け、米国登録のヘリコプターと小型固定翼機をハイチ上空で運航できるようになりました。
FAAは先月12日、ハイチの空域を飛行するすべての米国登録機に対し、30日間の飛行禁止措置を出していました。これは、米スピリット航空の旅客機がポルトープランス国際空港への着陸進入中に銃撃を受けたことがきっかけでした。機体はドミニカ共和国へと目的地を変更し、安全に着陸しています。
別の米航空会社ジェットブルーの機体も、首都の空港に着陸する際に被弾したと報告されています。こうした事態を受けて、安全確保のための厳しい制限が設けられてきました。
ドゥジャリック氏は、UNHASが使用する飛行機やヘリコプターについて「どちらも大きな機体ではない」とした上で、「一部の人道物資も運ぶが、主には人道支援関係者などの人の移動に使われる」と説明しています。
わずか4日で2万人超が避難 昨年8月以来の規模
この間にも、ハイチでは暴力のエスカレーションが続いています。国際移住機関(IOM)によると、首都ポルトープランス周辺では、わずか4日間で2万人を超える人々が新たに避難を余儀なくされました。そのうち約1万7000人の男女と子どもたちは、現在15カ所の避難施設で生活しているといいます。
ドゥジャリック氏は、多くの避難民がこれまでにも何度も住まいを追われてきたと指摘し、「昨年8月以来、これほどの規模の避難は見られなかった」と述べました。暴力の長期化が、人々の生活基盤を繰り返し奪っている実態が浮かび上がります。
IOMとWFPが続ける支援 家賃補助から温かい食事まで
IOMは、避難を強いられた人々に対し、家賃補助を通じた住居支援や、移動式診療所による医療サービスを提供しています。また、心理社会的支援(心のケア)や、家族が離れ離れになった人たちの再会支援、性暴力の被害者への支援など、保護サービスも行っています。
さらにIOMは、国境で送還されてくる移民に対する支援も続けています。同機関はすべての関係者に対し、人道支援に従事する職員と民間人の安全確保を徹底すること、そして支援を必要とする人々への妨げのないアクセスを保証することの重要性を強く訴えています。
一方、WFPは今後数日間で、1万6000人を超える避難民に温かい食事を提供する計画です。すでに水曜日には、クロワ・デ・ブーケ地区で5万人以上の脆弱な人々に食料配給を行っており、今月末までに首都の13万5000人以上に食料を届けることを目標としています。
子どもたちの給食が守る「日常」
ポルトープランスの外では、WFPとそのパートナー団体が学校給食プログラムを続けています。現在、43万人を超える児童が給食を受けており、その約7割は地元で生産・調達された食材を使って調理されているといいます。
不安定な治安と経済状況のもとで、学校に行けば温かい食事があるという事実は、子どもたちにとって貴重な「日常のよりどころ」です。同時に、地元産食材の活用は、地域経済の支えにもなっています。
なぜ今、このニュースを追うのか
日本から見ると遠いハイチのニュースですが、国連の人道航空便の再開は、国際社会が危機下の地域にどう関わるのかを考えるうえで示唆に富んでいます。飛行制限と安全確保、しかし同時に現地で支援を待つ人々がいる――そのバランスをどのように取るのかは、今後ほかの紛争地や災害時にも問われる課題です。
暴力の連鎖と繰り返される避難、そこで支えを続ける人道機関の存在。こうした国際ニュースに触れることは、自分とは遠い世界だと線を引くのではなく、「もし自分が同じ立場なら何を望むだろうか」という問いを持つきっかけになるはずです。
Reference(s):
UN aims to resume humanitarian flights in Haiti on Wednesday
cgtn.com








