COP29気候合意に途上国から不満 年3000億ドルは「侮辱」とNGO video poster
2025年の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、新たな気候合意が承認されました。しかし、気候危機の影響を最も受けやすい貧しい国々からは、先進国が約束した年間3000億ドルの気候資金について「侮辱的なほど少ない」という強い不満の声が上がっています。この国際ニュースは、気候変動対策の「お金」をめぐる世界の溝を浮き彫りにしています。
- COP29で新たな気候合意が採択
- 先進国は年3000億ドルの資金拠出を約束
- 途上国やNGOは「不十分で侮辱的」と批判
- 資金の多くが融資になりかねないとの懸念も
COP29合意は「不十分で侮辱的」 NGO責任者が強く批判
英NGO『War on Want』のエグゼクティブ・ディレクター(責任者)、アサド・レーマン氏は、中国の国際メディアCGTNのインタビューで、今回のCOP29気候合意を「不十分で、的外れで、そして侮辱的だ」と厳しく批判しました。
レーマン氏は、先進国による年3000億ドルの資金約束について、「これはジョークだ。ただし、人々の命がかかった致命的なジョークだ。まったく足りていない」と述べ、危機感をあらわにしています。
同氏によれば、国連は以前から、気候変動への対処には「数兆ドル」規模の資金が必要だと警告してきました。それにもかかわらず、今回の合意で示された金額は、その必要額には遠く及ばないという指摘です。
1.5度をすでに上回る気温上昇 3度上昇のリスクも
科学者たちによると、地球の平均気温は、直近12か月連続で産業革命前よりすでに1.5度以上高い状態が続いているとされます。現在のまま温室効果ガスの排出と対策のギャップが埋まらなければ、今世紀末には約3度の気温上昇に向かう恐れがあると警鐘が鳴らされています。
レーマン氏は、こうした科学的な警告と比べても、今回のCOP29合意が示す資金規模はあまりに小さく、「危機の深刻さと釣り合っていない」と強調しました。
なぜCOP29は「ファイナンスCOP」と呼ばれたのか
2025年のCOP29は、「ファイナンスCOP(資金のCOP)」と呼ばれるほど、気候資金が最大の争点でした。とくに、温室効果ガスの排出では歴史的に最も少ないにもかかわらず、気候災害の被害を大きく受けている開発途上国にとっては、次の3つの目的のための資金が欠かせません。
- 自国の排出を減らすための再生可能エネルギーなどへの投資
- 洪水や干ばつなど、すでに起きている影響への適応策
- 家やインフラの破壊など「損失と被害」への補償
これらの国々は、異常気象、海面上昇、干ばつ、豪雨といった気候災害のリスクが高く、すでに生活や経済が深刻な打撃を受けています。そのため、十分で予測可能な気候資金は、生き残りに直結する問題です。
しかしレーマン氏によると、COP29の交渉は難航し、「2週間にわたる交渉の間、先進国は具体的な金額をテーブルに載せることを拒み続けた」といいます。そして最終局面になってようやく示されたのが、今回の「年3000億ドル」という数字でしたが、途上国側の期待には到底届かなかったと指摘しています。
「本当の約束ではない」 融資中心の資金スキームへの懸念
レーマン氏がとくに問題視しているのは、約束された年3000億ドルの中身です。同氏は、「これは本当の意味でのコミットメント(約束)ではない」と述べ、その多くが無償の支援(助成金)ではなく、新たな借金を生む融資の形で提供される可能性が高いと懸念を示しました。
「公的な助成金として支払われることは保証されていない。実際には、その多くが債務を増やす融資や複雑な金融商品になるだろう」と語り、すでに重い債務を抱える国々をさらに追い詰めかねない仕組みだと批判しています。
同氏は、気候危機の責任が最も少ない国々が、対策のために新たな債務を負わされる構図を、「途上国に対する現実的な『平手打ち』だ」と表現しました。
問われる「公正さ」と長期的な資金のあり方
今回のCOP29合意をめぐる議論は、単に金額の多い・少ないという問題にとどまらず、「誰が、どのような形で、どれだけ負担するのか」という公正さの問題でもあります。
- 歴史的に多く排出してきた国が、どこまで責任を負うのか
- 途上国が債務ではなく助成金として資金を得られるのか
- 短期的な約束ではなく、長期的で予測可能な資金メカニズムをどう設計するか
レーマン氏の厳しい言葉は、こうした論点が十分に解決されていない現状へのいらだちの表れとも言えます。気候危機が加速する中、今後の国際交渉では、単なる数字合わせではなく、最も脆弱な立場にある人々の視点に立った気候資金のあり方が一層問われることになりそうです。
Reference(s):
COP29 deal 'insufficient, inadequate and an insult' says charity head
cgtn.com








