イスラエルとヒズボラ停戦継続 レバノン南部で避難民が帰還開始
米国とフランスが仲介したイスラエルとレバノンの武装組織ヒズボラの停戦が維持されるなか、約14か月に及んだ国境地帯での戦闘で家を追われたレバノンの人びとが、南部の故郷へ帰り始めています。 イスラエルとヒズボラの間で続いてきた国境地帯での戦闘は、昨年に始まったガザ地区での戦争をきっかけに激化し、約14か月にわたって両国の国境一帯に深刻な被害をもたらしました。今回の停戦合意は、その最も激しい対立に終止符を打つことを目指しています。 合意は米国とフランスが仲介したもので、この地域で続く一連の紛争の中では、まれな外交的成果とされています。一方でイスラエルは、ガザ地区でハマスとの戦闘を続けており、全面的な停戦には至っていません。 停戦の成立を受け、レバノン南部では帰還の動きが広がり始めています。激しい爆撃を受けた港湾都市タイールの街を、マットレスやスーツケース、家具を積み込んだ車やバンが次々と南へ向かって走りました。戦闘によって家を追われた人びとの数は、およそ140万人にのぼるとみられています。 レバノン保健省によると、ガザ地区での戦争に端を発する今回の衝突で、レバノン側では少なくとも3768人が死亡したとされています。破壊された住宅やインフラの復旧には時間がかかる見通しで、多くの帰還者が、不安と希望の入り混じった思いで故郷へと戻っています。 帰還する車の中にはレバノン国旗を掲げる人もいれば、クラクションを鳴らして喜びを表す人の姿もありました。中には、勝利のポーズをしながら帰路につく女性の姿も見られ、長い避難生活の終わりを象徴する光景となっています。 一方、停戦発表後に出されたヒズボラ作戦司令部の初めての声明は、停戦そのものには直接言及しませんでした。ヒズボラは、自らの戦闘員が「イスラエルの攻撃や野心に対処するため、完全に備えている」と主張し、イスラエル軍のレバノンからの撤収を「指に引き金をかけたまま」監視すると強調しました。 この表現は、停戦が成立しても、ヒズボラが軍事的な備えを緩めていないことを示すものと受け止められています。組織は、戦闘員の損失に加え、指導者であったサイイド・ハサン・ナスララ氏がイスラエルによって殺害されるなど重大な打撃を受けたとされていますが、それでも「抵抗」を続ける姿勢を崩していません。 今回の停戦は、イスラエルとヒズボラの間で続いてきたイスラエルとレバノンの国境沿いの戦闘を対象としたものです。イスラエルは依然としてガザ地区でハマスとの戦闘を続けており、紛争の火種はなお残ったままです。 イスラエルにとってヒズボラとハマスは、いずれも長年の宿敵とされる存在です。国境地帯での戦闘がいったん止まったことで、軍事的な圧力の一部は和らぐ可能性がありますが、ガザでの戦闘が続く限り、地域全体の緊張が大きく改善したとは言い難い状況です。 国連のグテーレス事務総長は今回の停戦について、「中東で続いてきた紛争の中で、ここ数か月で初めての希望の光だ」と評価しました。長期化する中東情勢の中で、実際に戦闘が止まった事例は少なく、停戦は象徴的な意味合いも持ちます。 イランのアッバス・アラクチ外相も、今回の停戦を歓迎すると述べたうえで、これが恒久的なものとなることを望むと表明しました。ヒズボラを支援してきたとされるイランが停戦を支持する姿勢を見せたことで、今回の合意がより長く持続するとの期待も高まっています。 停戦を受けて、レバノン南部ではようやく人びとの帰還が始まりましたが、14か月に及ぶ戦闘で傷ついた地域社会が元の暮らしを取り戻すには、時間も支援も必要です。家や仕事を失った人びとが、新たな生活の基盤を築けるかどうかも大きな課題となります。 今回の停戦が、一時的な「休止」にとどまるのか、それとも本格的な緊張緩和につながるのかは、今後の各当事者の行動にかかっています。イスラエルとヒズボラの双方が武力による応酬を控え、ガザ地区を含むより広い枠組みでの政治的解決を模索できるかどうかが、中東情勢の行方を左右しそうです。 国境を挟んだ双方の住民が安心して暮らせる日常を取り戻せるかどうかを占う意味でも、今回の停戦がどこまで持続するのか、国際社会は注意深く見守っています。この記事のポイント
14か月続いた国境衝突に区切り
タイールを抜けて南へ 戻り始める避難民
ヒズボラは「抵抗継続」を強調 停戦への距離感も
ガザでは戦闘継続 停戦の範囲は限定的
国連とイランが停戦を歓迎 「最初の希望の光」
「日常」を取り戻せるか 試される停戦の持続性
Reference(s):
Israel-Hezbollah truce holds, displaced Lebanese begin to journey home
cgtn.com








