シリア・アレッポで反政府勢力が大攻勢 ロシアがアサド政権を空爆支援
シリア北部アレッポで、イスラム主義組織ハイヤット・タハリール・アルシャーム(HTS)を中心とする反政府勢力が大規模攻勢に出て市中心部に突入し、ロシア軍がバッシャール・アル・アサド政権を支援する空爆を実施しました。長く膠着してきたシリア内戦の戦線が、二〇二〇年以降で最大級とされる規模で大きく動き始めています。
アレッポで最大級の反政府攻勢、政府軍が再配置
シリア軍は土曜日の声明で、アレッポでの大規模攻撃により自軍兵士が数十人死亡したと発表しました。攻勢を主導したのは、かつてヌスラ戦線として知られ、米国やロシア、トルコなどからテロ組織に指定されているハイヤット・タハリール・アルシャーム(HTS)です。
シリア軍司令部は、反政府勢力がアレッポ市の大部分に進入したことを認めたうえで、戦闘員が多方向から大規模に攻撃を仕掛けてきたため、防衛線を強化し攻撃を吸収するとともに市民と兵士の命を守ることを目的に部隊の再配置を行ったと説明しました。軍は反攻作戦の準備も進めているとしています。
反政府側の作戦司令室や治安関係者によると、反政府勢力はアレッポ国際空港も制圧しました。さらに、反政府側の二つの情報源は、勢力がイドリブ県の都市マアッラト・アンヌマンを掌握し、この地域一帯を支配下に置いたと述べています。
ロシア空軍が空爆支援、約三百人死亡と主張
ロシア国防省は、自国の空軍がシリア軍を支援するため、アレッポに進攻した反政府勢力に対して空爆を行ったと発表しました。今回の攻勢は、前線がおおむね固定化していたとされる二〇二〇年以降で最も大胆な反政府側の作戦と位置づけられています。
シリアの政府系紙アルワタンによると、シリア軍が反攻を準備していると表明した後、空爆がアレッポ市内の反政府勢力の集結地や車列を狙って行われました。市内バセル広場では爆撃により死傷者が出たと、現地住民が通信社に証言しています。
ロシアのシリア調停センターは、アレッポ県とイドリブ県で反政府勢力の集結地、司令部、弾薬庫、砲兵陣地などを標的としたミサイル攻撃と爆撃を行い、およそ三百人の戦闘員を殺害したと主張しました。
二〇一六年以来の牙城アレッポが揺らぐ
アレッポはかつてシリア最大の都市として経済と文化の中心地でしたが、内戦の激戦地となり、大きな被害を受けました。アサド政権側はロシアの支援を受けて二〇一六年に反政府勢力支配地域を包囲・制圧し、その後アレッポは政府側の確固とした牙城とみなされてきました。
今回の攻勢は、そのアレッポへの支配が大きく揺らいだという点で、アサド政権にとってここ数年で最大の挑戦となっています。シリア内戦は二〇一一年に始まって以降、これまでに数十万人が死亡し、数百万人が家を追われたとされますが、イランやロシアの支援によりアサド政権が国土の大部分と全ての主要都市を取り戻した後は、大規模な戦闘は次第に減少していました。
前線の多くは二〇二〇年以降ほぼ凍結状態にありましたが、今回のアレッポでの戦闘は、膠着がいつでも崩れうることを示しています。
市内の光景と住民の声
現地からの映像では、アレッポ中心部のサアダッラー・アルジャブリ広場に反政府勢力の戦闘員が集結し、その背後にはアサド大統領の大型看板がそびえ立つ様子が映し出されました。別の映像では、大統領の兄バシル・アル・アサドの倒された像の上で人々が写真を撮り、戦闘員がトラックで市内を走り回る姿も伝えられています。
アレッポ出身で二〇一六年に故郷を追われたという反政府側戦闘員のアリ・ジュマさんは、テレビ映像の中で次のように語りました。八年前に避難させられたアレッポの息子として、今こうして戻ることができたのは言葉にできない思いだという趣旨です。
市内ではシリア反体制派の旗を掲げた人物が、歴史的なアレッポ城塞の近くに立つ光景も報じられています。こうした象徴的な場面は、アレッポが再び権力争いの最前線となっていることを示しています。
ロシア・トルコ・イラン・米国、それぞれの反応
ロシアとトルコ 協調の必要性を強調
ロシア外務省によると、セルゲイ・ラブロフ外相はトルコのハカン・フィダン外相と電話会談を行い、シリア情勢を協議しました。両者は事態の危険な展開に深い懸念を表明し、シリアの状況を安定化させるため共同の行動を調整する必要があるとの認識で一致したとされています。
トルコの治安当局者は木曜日に、地域の緊張のさらなる高まりを避けるため、反政府系の集団が計画していた作戦を阻止したと述べていました。トルコはシリア北部に影響力を持つ一方で、国境地帯の安定をどのように確保するかという難しいかじ取りを迫られています。
イラン イスラエルと米国の関与を主張
イラン国営メディアによると、アッバス・アラグチ外相はラブロフ外相との電話協議で、今回の反政府勢力による攻撃はイスラエルと米国が仕組んだ地域不安定化の計画の一部だと主張しました。シリア内戦をめぐり、イランは一貫してアサド政権を支援してきました。
米国は状況を注視
米国務省の報道担当者は、米国がアレッポやシリア全体の状況を注視していると述べました。反政府勢力の中には米国を含む各国がテロ組織に指定する団体も含まれており、今後の対応が注目されます。
市民と人道状況への懸念
シリア内戦はすでに甚大な人道危機をもたらしています。今回のアレッポでの戦闘と空爆により、民間人にどれほどの被害が出ているのかは明らかではありませんが、市街地での戦闘が拡大すれば、新たな死傷者や避難民が生まれるおそれがあります。
シリア軍は部隊の再配置の目的として市民と兵士の命の保護を挙げていますが、実際に戦闘が激化する中で住民の安全をどう確保するのかは大きな課題です。長く続く内戦で疲弊した住民にとって、戦闘の再燃は生活の不安定化をさらに加速させる可能性があります。
これからの焦点は何か
今回のアレッポでの攻勢は、シリア内戦がなお決着から遠いことをあらためて浮き彫りにしました。今後を見通すうえで、いくつかの点が焦点となりそうです。
- シリア軍がアレッポ市内と空港をどの程度まで奪還できるのか
- HTSを中心とする反政府勢力が、アレッポと周辺地域で支配をどこまで広げ、維持できるのか
- ロシア、トルコ、イラン、米国など周辺国と大国の関係が、シリア情勢をめぐりどのように再調整されるか
- 戦闘の拡大が、市民の安全や新たな避難の発生、人道支援の行方にどのような影響を与えるか
内戦が始まってから十年以上が経過し、前線の多くは一時的に落ち着きを見せていましたが、今回の事態は紛争が依然として流動的であることを示しています。シリア情勢は、数百万人規模の避難や地域の安全保障を通じて国際社会全体の関心事となってきました。アレッポの新たな戦闘が今後どのような波紋を広げるのか、引き続き冷静に情報を追う必要があります。
Reference(s):
Syrian rebels sweep into Aleppo, Russia strikes in support of Assad
cgtn.com








