ギニア南東部のサッカー試合で群衆事故 Nzerekoreで多数死亡
西アフリカのギニア南東部・Nzerekore(ンゼレコレ)で行われたサッカーの地方大会決勝で、観客のあいだに激しい衝突と群衆事故が発生し、多くの死者が出ています。本記事では、2025年12月8日時点で判明している状況と、その背景にある課題を整理します。
日曜日の決勝戦で起きた悲劇
フランス通信社(AFP)などによりますと、事故が起きたのはギニア南東部の都市Nzerekoreで行われていたローカルなサッカー大会の決勝戦です。対戦カードは、Labe(ラベ)とNzerekoreのチームによる一戦で、ギニアの軍事指導者ママディ・ドゥンブヤ氏をたたえる目的で開催されていました。
試合は多くの観客で埋め尽くされ、熱気に包まれていましたが、日曜日の午後、スタンドでの混乱が一気に群衆事故へと発展しました。
医師は「約100人が死亡」と証言
地元の病院関係者によると、今回の事故では多数の死者が出ています。実名を明かさないことを条件に取材に応じた医師の一人は、死亡者数について「約100人」にのぼると述べ、遺体が病院や遺体安置所を埋めていると語りました。
別の医師は、より慎重な言い方で「数十人が死亡している」と述べており、正確な人数はなお確認が続いています。いずれにせよ、今回の事故がきわめて深刻な人的被害を伴うものであることは間違いありません。
地元メディアの報道では、亡くなった人のなかには子どもも含まれているとされ、地域の病院には重傷者が多数搬送されていると伝えられています。重体の人も多く、死亡者数がさらに増えるおそれも指摘されています。
発端は物議を醸したPK判定
現地報道によると、混乱のきっかけは試合中に出されたペナルティキック(PK)の判定でした。この判定をめぐって一部のサポーターが強く反発し、怒った観客が石を投げるなど、スタンドの一角で暴力的な衝突が発生したとされています。
その後、治安維持にあたっていた治安部隊が、観客を落ち着かせようとして催涙ガスを使用したと伝えられています。しかし、催涙ガスの使用はかえって観客の恐怖心と混乱をあおり、多くの人が一斉に逃げようとして押し合いへし合いの状態となり、群衆事故につながった可能性があります。
Xで報告された「群衆事故」 首相も言及
ギニアのアマドゥ・ウリ・バ首相は、SNSのX(旧ツイッター)上で、今回の事故について言及しました。バ首相は、軍事指導者ママディ・ドゥンブヤ氏をたたえるサッカー大会の決勝戦で群衆事故が起きたと説明し、犠牲者やその家族への哀悼の意を示したとされています。
政治的な意味合いも持つ記念大会の場が、大規模な悲劇の舞台となってしまったことは、ギニア社会に大きな衝撃を与えています。
なぜサッカースタジアムで群衆事故が起こるのか
サッカーはギニアをはじめ多くの国で最も人気の高いスポーツの一つであり、大会の決勝戦ともなれば、スタジアムは熱狂と期待で満ちあふれます。一方で、観客が集中する場では、次のような条件が重なると群衆事故のリスクが高まります。
- 観客数が収容能力を上回る、または限界近くまで膨らむ
- 出入り口や通路が狭く、避難経路が十分に確保されていない
- 判定や結果をめぐる感情的な対立が激しくなる
- 治安部隊や運営側の対応が適切に調整されていない
- 催涙ガスなど、パニックを誘発しうる手段が使用される
今回のギニアでの事故でも、物議を醸す判定をきっかけに観客が興奮状態に陥り、そこに治安部隊の催涙ガス使用が重なったことで、一気に危険な状況になったとみられます。
スポーツの熱狂と安全対策の両立は可能か
スタジアムでの群衆事故は、世界各地で繰り返し問題となってきました。観客の熱狂や感情の高まり自体はスポーツの魅力の一部でもありますが、それが一線を越えると、大勢の命が危険にさらされます。
事故を防ぐためには、次のような点が重要だと考えられます。
- 観客数の厳格な管理とスタジアムの構造点検
- 観客の動線設計と、出口・避難経路の事前確認
- 警備や治安部隊の訓練強化と、力に頼りすぎない群衆管理
- 開催前からのリスク評価と、緊急時対応マニュアルの整備
- 運営側による冷静な情報発信と観客への案内
今回のギニアの事例は、こうした基本的な安全対策の重要性を、あらためて国際社会とスポーツ界に突きつけるものになっています。
日本の読者にとっての意味
日本でも、サッカーやコンサート、花火大会など、多数の人が集まるイベントは日常的に行われています。スタジアムや会場の設備、水際での警備、運営側の情報発信などは、ふだんは意識しづらい部分ですが、ひとたびトラブルが起きれば命に直結します。
ギニア南東部で起きた今回の群衆事故は、遠い国の出来事でありながら、群衆の安全をどう守るかという点で日本を含む多くの国や地域が共有する課題を映し出しています。
観客として私たちができることは限られていますが、
・混雑時には無理に押し進まないこと
・出口付近で立ち止まらないこと
・会場の案内やスタッフの指示に従うこと
など、小さな行動が事故のリスクを下げる一助になります。
今後の焦点
ギニア当局は、今回の事故について詳しい原因の調査を進めるとみられます。死亡者数や負傷者数の最終的な確認、安全対策の不備の有無、催涙ガスの使用判断の妥当性などが、今後の焦点となるでしょう。
多くの命が失われたこの悲劇を、単なる一つのニュースとして消費するのではなく、スポーツと安全、治安維持のあり方を考え直すきっかけとして受け止めることが求められています。
本記事は、現地医療関係者や地元メディア、複数の通信社の報道に基づいて構成しています。続報が入り次第、あらためてお伝えします。
Reference(s):
Dozens killed in stampede following clashes at a Guinea football match
cgtn.com








