シリア停戦を訴える国連事務総長 政治プロセスへの復帰を呼びかけ
シリア停戦と政治解決を求める国連の呼びかけ
2025年12月上旬、シリア情勢をめぐり、国際ニュースの大きな焦点が再び国連に集まっています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は木曜日、シリア全土での本格的な停戦と、国連主導の政治プロセスへの復帰を強く呼びかけました。
事務総長は、シリアで続く流血を止めるためには、単なる一時的な「緊張緩和」ではなく、安保理決議に基づく本格的な政治対話に戻る必要があると強調しています。
何が起きているのか:反政府勢力の攻勢と都市掌握
今回の呼びかけの背景には、シリアで新たに激化している戦闘があります。国連安全保障理事会から制裁対象とされている武装組織ハヤート・タハリール・アル・シャーム(HTS)を中心に、幅広い反政府武装勢力が、シリア政府支配地域に向けて攻勢を開始しました。
木曜日までに、反政府側はアレッポやハマといった主要都市を掌握しました。これは、シリア軍がハマからの撤退と、同市外への部隊再配置を発表した後に起きた動きです。
内戦が長期化する中で都市が次々と支配の対象となる構図は、住民の避難やインフラの破壊をさらに進行させるおそれがあり、国連は事態のエスカレーションに強い危機感を示しています。
「慢性的な集団的失敗」の苦い結果
グテーレス事務総長は今回の声明で、これまでの「緊張緩和」合意が、全国的な停戦や実質的な政治プロセスにつながらなかったことを厳しく振り返りました。
事務総長は、過去の取り組みについて「全国的な停戦も、安保理決議を実行に移す真剣な政治プロセスも生み出せなかった、慢性的な集団的失敗の苦い結果を目の当たりにしている」と指摘し、「これを変えなければならない」と訴えました。
2254号決議と「14年目のシリア紛争」
シリアの紛争は、すでに14年に及んでいます。グテーレス事務総長は、紛争開始から14年が経った今こそ、すべての当事者が国連シリア特別代表ギール・ペデルセン(Geir Pedersen)氏との協議に本気で取り組むべきだと強調しました。
事務総長が拠り所としているのが、国連安全保障理事会決議2254です。この決議は、シリアの危機を解決するための政治的な道筋を示すもので、包摂的で包括的なプロセスを通じて、シリアの将来像をシリアの人々自身が決めていくことを求めています。
グテーレス事務総長は「今こそ真剣な対話の時だ」と述べ、その目的として、シリアの主権、統一、独立、領土の一体性を回復するとともに、シリアの人々の正当な願いを満たすことを挙げました。
国連が求める「新しいアプローチ」とは
事務総長は、単に過去の枠組みをなぞるだけではなく、「新しく、包摂的で、包括的なアプローチ」を打ち出す必要があると指摘しています。そこには、次のような要素が含まれるとみられます。
- 国連が仲介する場での、政府側と反政府勢力双方による直接対話
- シリアの主権と領土一体性を尊重しつつ、住民の安全を最優先にした停戦合意
- 女性や若者、市民社会など、多様なシリアの人々の声を反映した政治プロセス
- 安保理決議2254に沿った形での、長期的な和解と復興への道筋づくり
なぜ日本の読者にとっても重要なのか
シリア紛争は、遠い中東の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、長引く紛争は大規模な人道危機を生み出し、難民の流出や地域の不安定化を通じて、世界全体の安全保障や経済にも影響を与えます。
日本を含む各国が支えてきた国連の枠組みが、どこまで紛争の抑止や解決に機能しうるのか。今回のグテーレス事務総長の発言は、その問いをあらためて投げかけています。
シリアでの停戦と政治的解決は、単一の国や勢力だけで達成できるものではありません。軍事的な勝敗ではなく、シリアの人々の正当な願いをどう実現していくのか。国際社会の知恵と粘り強さが問われていると言えます。
シリア情勢をめぐる今後の動きは、国際ニュースとして追い続ける価値があります。日々のニュースの断片をつなぎながら、私たち自身も「どのような和平のかたちが望ましいのか」を考えていくことが求められています。
Reference(s):
UN chief calls for ceasefire in Syria, return to political process
cgtn.com








