韓国法務省が尹錫悦大統領を出国禁止 戒厳令と内乱疑惑で捜査本格化
韓国の法務省が、現職の尹錫悦大統領に出国禁止措置を科しました。戒厳令と内乱疑惑をめぐる捜査が、一気に政権の中枢へと広がっています。
前例のない「現職大統領」への出国禁止
韓国メディアの報道によると、法務省は月曜日、尹錫悦大統領に対する出国禁止措置を決定しました。現職の韓国大統領が国外への出国を禁じられるのは初めてとされ、極めて異例の対応です。
この措置は、高位公職者の汚職事件を専門に扱う捜査機関が要請したものです。同機関は、尹氏が先週、突如として戒厳令を発動した経緯を調べており、その一環として大統領の海外渡航制限を求めていました。
尹氏の戒厳令宣言をめぐっては、この捜査機関のほか、検察や警察など複数の捜査当局が、内乱や職権乱用の疑いがあるとして本格的な捜査に乗り出しています。
軍幹部と前内相にも出国禁止
出国禁止の対象は大統領だけではありません。戒厳令をめぐる混乱の中心人物とされる4人にも、すでに海外渡航制限が課されています。その中には、軍のトップクラスの司令官2人と前内務相が含まれます。
一連の措置により、戒厳令をめぐる疑惑は、大統領府だけでなく軍や治安当局の指導部にも波及していることが浮き彫りになりました。
最大野党は特別検察官の設置を要求
同じ月曜日、韓国の最大野党である民主党は、尹氏の内乱容疑や、妻をめぐるスキャンダルを調査するための法案を国会に提出しました。
民主党は、尹氏による戒厳令宣言が失敗に終わった経緯のほか、ファーストレディのKim Keon-hee夫人に関連するさまざまな疑惑についても、政権から独立した特別検察官が捜査すべきだと主張しています。
「内乱の被疑者でも統帥権」は維持
一方、国防省の報道官Jeon Ha-kyu氏は月曜日の会見で、内乱事件の捜査対象となっている人物が軍の統帥権を持てるのかとの質問を受けましたが、韓国軍の指揮権は現在も尹大統領が有していると述べました。
内乱の疑いで捜査を受ける可能性がある人物が、同時に軍最高指揮官であり続けるという、きわめて例外的な構図が改めて示された形です。
707特別任務群トップ「兵士は利用された」
特殊部隊707th Special Mission Groupの指揮官Kim Hyun-tae氏は月曜日、記者会見を開きました。尹氏が12月3日夜に戒厳令を宣言した後、自らの部隊が国会議事堂への突入要員として動員されたと説明しました。
Kim Hyun-tae氏は、部隊の兵士たちは前国防相Kim Yong-hyun氏に利用された被害者だと主張し、兵士たちの過ちは命令に従ったことだけだと述べました。そのうえで、自らが全ての法的責任を負うと語り、部下をかばう姿勢を強調しました。
前国防相に内乱と職権乱用容疑で3度目の聴取
特別検察の捜査チームは月曜日の朝、前国防相Kim Yong-hyun氏への3回目の事情聴取を実施しました。捜査チームは前日、同氏を緊急逮捕しており、内乱や職権乱用など複数の容疑について追及を続けています。
揺らぐ三つの軸 司法・政治・軍
12月3日の戒厳令宣言から数日で、韓国の情勢は急速に緊張を高めています。今回の一連の動きから、少なくとも次の三つの論点が見えてきます。
- 現職大統領への出国禁止という前例のない措置が、司法と大統領制の関係にどのような影響を与えるのか。
- 戒厳令をめぐる内乱・職権乱用の疑いが、軍と政治の距離感や文民統制への信頼をどこまで揺るがすのか。
- 野党の要求する特別検察官や複数の捜査機関による追及が、政権の説明責任をどこまで明らかにできるのか。
8日現在、捜査の行方や国会での議論はなお流動的です。韓国社会は、法の支配と民主主義の原則をどのように守るのか、その問いが改めて突きつけられていると言えます。
Reference(s):
S. Korean Justice Ministry imposes travel ban on President Yoon
cgtn.com








