カナダ国境で違法品押収と入国拒否が増加 米加国境で何が起きているのか
カナダと米国の国境で、2024年の最初の10か月間に押収された違法品や「入国不可」とされた人の数が、前年の2023年から大きく増えていたことが分かりました。国際移動と国境管理の緊張が続くなか、北米で何が起きているのでしょうか。
違法品の押収と入国拒否が増加
カナダの税関業務などを担うカナダ国境サービス庁(Canada Border Services Agency:CBSA)の統計をもとに、地元メディアのCTVニュースが2024年の動向を伝えています。
- 危険薬物や銃器、盗難車などの押収件数が、2024年1〜10月は2023年の同じ期間を上回った
- 盗難車は、海外へ輸送される前に2070台を押収し、これは前年より約500台多い
- 入国が認められなかった人は約3万4000人で、前年同期の2万5500人から約3割増加
- 2024年の元日からハロウィーンまでの間に、移民・難民保護法(Immigration and Refugee Protection Act)違反により、1万4000人超の外国人がカナダから退去させられた
数字で見る米加国境の変化
1. 危険薬物・銃器・盗難車の押収増加
CBSAによると、危険薬物や銃器、盗難車の押収は、2024年1〜10月で前年より増えました。特に盗難車は、輸出される前に2070台を押さえ込んでおり、前年から約500台の増加です。
単に押収件数が増えたという事実だけでも、次のような可能性が読み取れます。
- 国境での取り締まり体制や検査の精度が強化され、不正な輸出入の発見が増えた
- 盗難車や違法な武器・薬物を国境経由で動かそうとする動き自体が拡大している
2. 入国を拒否された「入国不可」外国人の増加
CBSAは、カナダへの入国を「許可できない」と判断された外国人を、2024年1〜10月の間に約3万4000人拒否しました。これは、2023年の同じ期間に入国不可とされた2万5500人と比べて、約30%の増加です。
この「入国不可」は、犯罪歴やビザ条件違反、書類不備、セキュリティ上の懸念などさまざまな理由が含まれますが、CTVニュースの報道では、詳細な内訳までは示されていません。
3. 1万4000人超がカナダから退去
2024年の元日からハロウィーン(10月31日)までの期間に、移民・難民保護法に違反したとして、1万4000人を超える外国人がカナダから退去させられました。
ここには、不法滞在や就労条件の違反、難民申請が認められなかったケースなど、さまざまな背景を持つ人々が含まれているとみられますが、報道では個別の事情までは触れられていません。
なぜ増えているのか 読み取れる2つのポイント
CTVニュースの報道は、あくまで数字を中心に伝えており、「なぜ増えているのか」という理由は詳しく説明していません。ただ、数字からは少なくとも次の2つのポイントが浮かび上がります。
- 水際対策の強化
国境でのチェック体制が強まり、これまで見逃されていた違法品や入国条件を満たさない人が、より多く検知されるようになっている可能性があります。 - 越境犯罪や不正な入国の試みの増加
盗難車の押収台数が前年より約500台増えたことなどから、国境を利用した犯罪行為そのものが増えている可能性も否定できません。
実際には、取り締まりの強化と不正な動きの増加が重なり合っているケースも考えられます。数字だけで単純に「治安が悪化した」と結論づけるのではなく、政策や運用の変化も含めて立体的に見ることが大切です。
日本の読者にとっての意味
米加国境での動きは、遠い世界の話に見えるかもしれませんが、日本の読者にとっても示唆するところがあります。
- 「安全保障としての国境管理」を考える材料
違法品の押収や入国拒否の増加は、国境管理が治安・安全保障の最前線になっている現実を映し出しています。これは日本にとっても他人事ではありません。 - 海外渡航時の水際対策の厳格化
北米を観光・留学・ビジネスで訪れる人にとっては、「書類の不備がないか」「ビザや滞在条件を守れているか」といった基本をより慎重に確認する必要があります。 - 移民・難民政策をどう見るか
1万4000人超の退去という数字は、移民・難民保護法の運用が実際に人の生活や将来を左右していることを示します。日本が自国の制度を議論する際にも、数字と同時に人道や権利の観点からの検討が求められます。
これから注視したいポイント
今回のデータは、2024年の10月ごろまでの動きを切り取ったものです。今後の国際ニュースを追ううえでは、次のような点が注目されます。
- 違法品の押収や入国拒否の増加傾向が続くのか、それとも一時的なものだったのか
- カナダと米国が、国境管理や情報共有でどのような協力を進めていくのか
- 移民・難民保護法の運用をめぐり、カナダ国内でどのような議論や制度見直しが行われるのか
国境をめぐる数字は、ともすると「治安」か「寛容さ」かという単純な対立で語られがちです。しかし、その背後には、安全、自由な移動、人道、経済など、多くの価値が複雑に絡み合っています。数字の増減だけで判断を急がず、複数の視点からニュースを読み解いていきたいところです。
Reference(s):
Illegal items, inadmissible entries increase at U.S.-Canada border
cgtn.com







