韓国野党が尹錫悦大統領の弾劾訴追案を再提出 戒厳令宣言に反発
韓国の国際ニュースとして、尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領に対する弾劾訴追の動きが大きな局面を迎えています。背景には、今月3日に大統領が宣言した戒厳令と、それに反発する野党勢力との激しい攻防があります。
何が起きたのか:野党6党が弾劾訴追案を再提出
韓国の最大野党であるリベラル系の「民主党(Democratic Party)」と、5つの小規模野党は、木曜日に尹錫悦大統領の弾劾訴追案を国会に再提出しました。理由は、大統領が12月3日の夜に非常戒厳令を宣言したことです。
野党側による弾劾訴追案の提出はこれが2回目です。最初の訴追案は、その前の土曜日に採決が予定されていましたが、与党People Power Party(PPP)の議員が本会議をボイコットしたため、手続きが進まず廃案となりました。
今回、野党6党は、金曜日の国会本会議で訴追案を正式に報告し、その翌日の土曜日午後5時(現地時間)に採決を行う日程を組んでいました。弾劾の是非を問う採決が、尹政権の行方を左右する重要な分岐点となります。
弾劾手続きのポイント:3分の2以上の賛成がカギ
韓国憲法によると、大統領の弾劾訴追案が国会で可決されるには、出席議員の過半数ではなく、より厳しい条件が課されています。与野党の議席配分だけでなく、与党内の動きも結果を大きく左右します。
- 韓国の国会議員は全部で300人。
- 弾劾訴追案の可決には、少なくとも3分の2の賛成が必要。
- 可決された場合、憲法裁判所が最長180日間かけて弾劾の是非を審理。
- 審理中は、尹大統領の大統領権限が一時停止される。
つまり、弾劾訴追案が可決されれば、韓国のトップが長期間にわたって職務を執行できない状態となり、国内政治は緊張した局面が続く可能性があります。国会での一票一票が、今後半年近くの政治日程を左右することになります。
戒厳令宣言と尹大統領の主張
尹大統領は12月3日の夜、非常戒厳令を宣言しました。しかし、この戒厳令は国会によって数時間後に取り消されました。一般に、軍が治安維持を担い、議会活動や市民の権利が制限され得る戒厳令は、民主主義にとって極めて重い判断です。
尹大統領は、その戒厳令について「多数派野党による『立法独裁』から守るためだった」と説明し、自身の対応は憲法に反しないと強調しました。短命に終わった戒厳令は、各方面で辞任を求める声を招きましたが、大統領はテレビ演説で「憲法を破壊しようとしているわけではない」と述べ、自身の正当性を訴えました。
演説の終盤で尹大統領は「最後まで戦う」と語り、弾劾の動きに対して一歩も引かない姿勢を示しました。これにより、政権と野党との対立は、制度上の弾劾手続きと世論を舞台にした長期戦の様相を帯びています。
与党トップも弾劾賛成を要請 揺れる政権基盤
今回の弾劾劇を大きく特徴づけているのは、与党内からも尹大統領に批判的な動きが出ている点です。尹氏が所属する与党People Power PartyのリーダーであるHan Dong-hoon氏は、土曜日の採決で弾劾訴追案に賛成票を投じるよう党所属議員に呼びかけました。
与党トップ自らが、現職大統領の弾劾賛成を促すのは異例の事態です。このため、2度目となる弾劾採決は、尹大統領にとって有利な結果になる可能性が低いとの見方が出ています。鍵を握るのは、与党議員のどれだけが党リーダーの呼びかけに応じ、弾劾賛成に回るかという点です。
何が問われているのか:非常時権限と多数決民主主義
今回の一連の動きは、単なる政権与野党の対立を超え、次のような問いを突きつけています。
- 大統領による戒厳令という「非常時権限」は、どこまで正当化されるのか。
- 国会多数派による強い立法権行使は、「立法独裁」なのか、それとも民主主義の当然の姿なのか。
- 与党内からも弾劾賛成の声が上がる中で、政権の正統性はどのように担保されるべきか。
弾劾の行方はまだ不透明ですが、韓国社会が非常時の権力行使と議会多数派の力をどのようにバランスさせるのかは、近隣国を含む多くの読者にとっても無関係ではありません。尹大統領の弾劾手続きは、韓国の民主主義のあり方を映し出す試金石として、今後もしばらく注目され続けそうです。
Reference(s):
S. Korea's opposition parties submit bill to impeach President Yoon
cgtn.com








