フランソワ・バイル氏がフランス新首相に ねじれ議会で試される手腕
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は金曜日、民主運動(MoDem)党首のフランソワ・バイル氏(73)を新しいフランス首相に指名しました。9日前にミシェル・バルニエ政権が歴史的な内閣不信任案で倒れたばかりで、ねじれた議会の中でどこまで政治を安定させられるかが国際ニュースの焦点となっています。
マクロン大統領、中道派バイル氏に組閣を要請
フランス大統領府エリゼ宮によると、マクロン大統領はバイル氏を新首相に任命し、組閣を指示しました。バイル氏は、中道政党・民主運動(MoDem)の党首で、マクロン氏の与党ルネサンスと同盟関係にある中道派の政治家です。
今回の指名は、ミシェル・バルニエ氏が率いた前政権が、議会で内閣不信任案を可決されて退陣してから、わずか9日後のことです。フランスでは内閣が議会の信任を失うと、首相交代や総選挙など、政治的な再編が必要になります。
フランソワ・バイル氏とはどんな人物か
バイル氏は、フランス政界で長く「中道」の旗を掲げてきたベテランです。2007年に民主運動(MoDem)を創設し、その党首を務めています。
大統領選には2002年、2007年、2012年と3度出馬しており、フランスの有権者にはよく知られた存在です。今回、初めてフランス首相の座に就くことになり、中道派の経験と調整能力がどこまで発揮されるのかに注目が集まります。
右派「国民連合」は様子見 「対話が必要」とけん制
右派政党「国民連合(National Rally)」のジョルダン・バルデラ党首は、ニュース専門チャンネルBFMTVの番組で、新首相への対応についてコメントしました。
バルデラ氏は、バイル氏に対してすぐに内閣不信任案を出す考えはないとしつつ、「彼には民主的な正当性も、国民議会での多数派もないことを理解すべきだ」と指摘しました。そのうえで、「議会に代表されているあらゆる政治勢力との対話が必要だ」と述べ、バイル政権が単独で強引に政策を進めることは許されないとの姿勢を示しました。
左派・LFIは早くも不信任案へ 「首相は左派連合から」と主張
一方、左派の政党「ラ・フランス・アンスウミーズ(LFI)」は、バイル新政権を直ちに退陣に追い込むため、内閣不信任案を提出すると表明しました。
LFIは、今年2025年に実施された解散総選挙で、左派政党の連合が最も多くの議席を獲得したことを強調し、「首相のポストは左派連合から選ばれるべきだ」と主張してきました。今回のバイル氏指名は、その要求を無視したものだとして強く反発しています。
今後、LFIが主導する不信任案に、国民連合など他の野党勢力がどこまで同調するのかが、バイル政権の命運を左右する重要なポイントになりそうです。
「分断より和解を」 バイル氏が呼びかけ
バイル氏は金曜日の記者会見で、現在の政治状況について「この任務の難しさは誰もが理解しています。人々を分断するのではなく、結びつける道を見いださなければなりません」と語り、和解と対話の必要性を強調しました。
同日夕方に首相官邸マチニョンで開かれた移交式でも、フランス政治が直面している状況の深刻さを認め、「責任の重さ」を踏まえて職務に当たると述べています。
ねじれ議会で問われる「対話力」
今回のフランス新首相就任は、次のような点で今後の展開が注目されます。
- バイル氏がどのような顔ぶれで新内閣を組閣するのか
- 左派・LFIによる内閣不信任案に、他の野党がどこまで賛同するのか
- 右派の国民連合が「様子見」から対決姿勢へ転じるかどうか
- 分断が深まった政党間で、実際に「対話」と「妥協」が機能するのか
フランスでは、首相と内閣は議会との関係が不安定になると、いつでも不信任案によって退陣を迫られる可能性があります。そのため、バイル氏には、政策の中身だけでなく、与野党をどうつなぎとめるかという「政治的な交渉力」も求められます。
日本でもねじれ国会が話題になることがありますが、フランスのねじれ議会は、内閣不信任という強いカードがある分、政権運営のハードルがより高いとも言えます。バイル新首相が掲げる「人々を結びつける」政治が、どこまで現実のものとなるのか。今後のフランス政治は、日本の読者にとっても国際ニュースとして追いかける価値のある局面に入っています。
Reference(s):
cgtn.com








