韓国国会、ユン大統領2度目の弾劾採決を前倒し 何が起きているのか
韓国の国会が、ユン・ソクヨル大統領に対する2回目の弾劾訴追案をめぐり、本会議での採決時間を当初の予定より1時間前倒しすることを決めました。非常戒厳令の宣言をめぐる「内乱」疑惑が背景にあり、韓国政治の緊張が一気に高まっています。
この記事のポイント
- 韓国の国会(定数300)が、ユン大統領の弾劾訴追案を秘密投票で採決予定
- 採決時間は当初の計画より1時間前倒しされ、午後4時(現地時間)から行われる見通し
- 弾劾可決には3分の2(200票)の賛成が必要で、野党は与党議員108人のうち少なくとも8人の賛成を求めている
- 背景には、ユン大統領が12月3日夜に宣言し、その後国会が撤回した非常戒厳令をめぐる「内乱」容疑がある
何が決まったのか
韓国メディアによると、一院制の国会(定数300)は、本会議で行う弾劾訴追案の採決時間を、当初の午後5時から午後4時(現地時間)に繰り上げることを本会議で報告しました。採決は秘密投票で行われ、全議員が参加する予定とされています。
今回の弾劾訴追案は、最大野党の民主党と5つの少数野党が共同で提出し、本会議に正式に報告されています。ユン・ソクヨル大統領に対する弾劾訴追案はこれで2回目となり、大統領の進退に直結しうる重大な局面を迎えています。
韓国の弾劾ルールと数字
韓国憲法では、現職大統領の弾劾訴追には次の2つの要件が定められています。
- 国会議員の過半数が弾劾訴追案を発議すること(300人中151人以上)
- 本会議で国会議員の3分の2以上が賛成して可決すること(300人中200人以上)
弾劾訴追案はすでに提出され、本会議に報告されているため、「過半数での発議」という条件はクリアしたとみられます。残された焦点は、最終採決で3分の2にあたる200票を確保できるかどうかです。
報道によれば、弾劾可決のために野党側は、与党議員108人のうち少なくとも8人から賛成票を得る必要があります。採決は秘密投票で行われるため、与党議員の一部が造反に踏み切る可能性がどの程度あるのかが、大きな不確定要素となっています。
なぜ弾劾なのか 非常戒厳令と「内乱」疑惑
今回の弾劾訴追の直接のきっかけとなっているのが、ユン大統領による非常戒厳令の宣言です。報道によれば、ユン氏は12月3日夜に非常戒厳令を宣言しましたが、その数時間後には国会がこの措置を撤回しました。
この宣言をめぐり、ユン大統領は「内乱」の疑いで被疑者として名指しされています。非常事態を理由とした強権的な措置が、憲法秩序を揺るがしかねない行為だったのではないかという点が、弾劾の中心的な争点となっています。
一般に戒厳令は、大規模な社会不安や戦争などの非常事態を理由に、軍に治安維持の権限を大きく委ねる措置とされます。市民の権利や自由が一時的に制限されることも多く、民主主義国家にとっては極めて重い決断です。その発動をめぐる判断は、政治的にも法的にも厳しく問われることになります。
与野党の思惑とリスク
国会が採決時間を1時間前倒しした背景には、政治的な空白や混乱を長引かせず、早期に結論を出したいという思いがあるとみられます。弾劾という重い手続きが続くことで、行政や国会の通常業務に影響が出ることへの懸念もあるでしょう。
一方、与党にとっては、108人の議員のうち8人以上が賛成に回れば弾劾が可決されてしまうという厳しい局面です。秘密投票であることから、党の方針と異なる投票行動が表面化しにくい半面、結果が出るまで造反の有無を正確に把握しづらいというリスクも抱えています。
弾劾の成否は、ユン政権の今後だけでなく、次の選挙での責任論や政党間の力関係にも影響しうる問題です。与野党双方にとって、今回の採決でどのような立場を取るのかは、自らの支持層や中間層に対する重要なメッセージとなります。
東アジアと日本への含意
韓国は、日本と地理的にも経済的にも近い重要な隣国です。そこで政局が大きく揺れる場合、市場の動きや外交日程などを通じて、周辺地域にも影響が波及する可能性があります。
今回の弾劾プロセスが、憲法の枠組みの中でどのように進み、政治的な緊張をどのように収束させていくのかは、韓国国内の民主主義のあり方を映し出すものでもあります。東アジアの一員として、日本からもその行方を冷静に見つめていくことが求められます。
Reference(s):
South Korea's parliament advances vote on Yoon's impeachment by 1 hour
cgtn.com








