シリアで空爆激化 国連事務総長が沈静化要請、新政権は「法の支配」を約束
シリア各地での空爆と戦闘が激化する中、国連のグテーレス事務総長が暴力の沈静化とシリアの主権尊重を強く呼びかけています。新たに発足したシリア政府は「法の支配」を掲げていますが、現地では深刻な人道危機が進行しています。
国連「シリアの主権と領土一体性の侵害に深い懸念」
国連のステファン・ドゥジャリク報道官は木曜日、アントニオ・グテーレス事務総長がシリアの主権と領土一体性に対する最近の大規模な侵害に深い懸念を抱いていると述べ、国内全土での暴力のエスカレーションを直ちに抑えるよう関係当事者に呼びかけました。
グテーレス事務総長は、シリアとイスラエルの間で結ばれた1974年の軍隊分離協定が現在も有効だと強調し、この協定に反する一切の行為を非難しています。また、協定に署名した当事者に対し、分離地域から無許可の武装勢力を排除し、ゴラン地域の停戦と安定を損なうあらゆる行動を控えるよう求めました。
イスラエル軍は「防空網の9割破壊」と発表
こうした国連の懸念とは対照的に、イスラエル軍は木曜日、シリアの防空体制に対して大規模な攻撃を行い、特定された戦略的地対空ミサイルシステムの9割以上を破壊したと発表しました。
過去数日間で、数百機におよぶイスラエルの戦闘機や航空機が協調した空爆を実施し、シリアにとって最も戦略的とされる兵器に大きな打撃を与えたとしています。攻撃対象には次のような装備や施設が含まれました。
- 戦闘機やヘリコプターなどの航空機
- ミサイルや無人航空機(UAV)
- レーダーやロケット弾関連施設
- 複数の主要なシリア空軍基地
2週間で110万人が避難 続く食料・燃料不足
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、今回の敵対行為が約2週間前に始まって以降、シリア全土で110万人超が住まいを追われました。各地からは、食料や燃料の深刻な不足が報告されています。
OCHAは、治安状況が許す範囲で国連と人道支援団体による活動が継続していると説明しています。一部のパートナー団体は、ダマスカス、タルトゥース、ラタキア、ラッカといった都市で、限定的ながら支援活動を続けています。
特に北西部のシリアでは、戦闘の激化以降、70万人以上の人々に対して食料支援が行われました。それでも、避難の規模とインフラの被害の大きさから、ニーズに対して支援が追いついていない状況が続いています。
「法の支配」を掲げる新政権と問われる実行力
こうした厳しい情勢の中で、新しいシリア政府は「法の支配」を掲げる姿勢を打ち出しています。主権と領土一体性の尊重、住民の安全確保、公正な統治をどこまで実現できるかは、国内外から厳しく見られることになりそうです。
一方で、国連が懸念を示す空爆や越境的な軍事行動が続く限り、シリアの主権や法の支配をめぐる議論は、理念だけでなく現場の安全保障や人道状況と切り離せません。新政権の約束が具体的な制度改革や責任の明確化につながるかどうかが、今後の重要な焦点です。
このニュースから考えたいポイント
- 国連が繰り返し強調する「主権」と「領土一体性」は、シリアの人々の暮らしとどのように結びついているのか。
- 軍事行動と同時に人道支援が進められる状況で、国際社会はどこまで民間人保護を優先できるのか。
- SNSで断片的な映像や情報が流れる中、自分はどの視点や情報源からシリア情勢を理解しようとしているのか。
Reference(s):
UN chief urges de-escalation, new Syrian govt pledges 'rule of law'
cgtn.com








