トランプ次期大統領の関税警告にカナダ州首相らが強硬対応を要求
2025年12月現在、来年1月の就任を控えたドナルド・トランプ次期米大統領が、カナダとメキシコからの輸入品に高関税を課すと公約していることを受け、カナダ国内で対応をめぐる議論が一気に高まっています。連邦政府と各州首相の会合では、米国が依存する重要鉱物や金属、さらにはエネルギー輸出をてこにした強い対抗措置を求める声も上がりました。
トランプ次期大統領の関税公約が招く緊張
トランプ次期大統領は就任後、カナダやメキシコからの輸入品に対して大幅な関税を課すと繰り返し主張してきました。この公約は、米国にとって大きな貿易相手である両国との間で「貿易戦争」に発展しかねないとの懸念を呼んでいます。
カナダ経済にとって米国市場は最大級の輸出先の一つであり、関税の引き上げは雇用や投資に直接的な影響を与えかねません。そのため、どのように応じるかはカナダの政治にとって喫緊の国際ニュースとなっています。
トルドー首相と州首相が協議 強い対応を求める声
ジャスティン・トルドー首相は連邦の閣僚とともに、各州の州首相らと会合を開き、トランプ氏の関税方針への対応を協議しました。会合後、クリスティア・フリーランド財務相は記者団に対し、複数の州首相がカナダ側の強い対応を支持したと説明しました。
フリーランド財務相によると、州首相の中には、自らの州で生産され米国に輸出されている重要鉱物や金属を具体的に挙げ、必要であればそれらを交渉カードとして使うべきだと訴える声もあったといいます。
一方でフリーランド財務相は、現時点でカナダ政府の焦点はあくまで米国側との対話にあると強調しました。カナダ政府として米政府関係者に働きかけるだけでなく、カナダの企業経営者や労組の代表らも、米国のビジネス界や労働団体と直接連絡を取り合っていると説明しています。
カナダが握る重要鉱物と金属というカード
今回の会合で州首相らが強調したのが、いわゆる重要鉱物や金属です。これらは、電気自動車の電池や再生可能エネルギー設備、ハイテク機器、防衛産業など、現代経済と安全保障に欠かせない分野で使われています。
フリーランド財務相の説明からは、州首相らが次のような点を意識していることがうかがえます。
- 米国がカナダから輸入している重要鉱物や金属は、代替が難しいものも多い
- これらを輸出している州にとっても経済的な生命線であり、同時に外交上の影響力となりうる
- 関税が一方的に引き上げられた場合、輸出制限や別の経済的圧力で応じる余地がある
つまり、カナダ側は貿易戦争を望んでいるわけではないものの、必要とあれば資源をてこにした「強いカード」を切る覚悟も示し始めているといえます。
オンタリオ州首相はエネルギー輸出停止にも言及
重要鉱物に加え、エネルギーも外交カードとして浮上しています。人口と経済規模が最大のオンタリオ州のダグ・フォード州首相は、米国向けのエネルギー輸出を停止する可能性にまで言及しました。
フォード州首相は詳細には踏み込みませんでしたが、この発言は、カナダ側が取れる対抗措置の幅が資源分野全体に及びうることを示唆しています。ただし、エネルギー輸出の停止は両国の企業や消費者に広く影響を与える可能性があり、実際に踏み切れば緊張が一気に高まるリスクもあります。
貿易戦争を避けつつ圧力をかけられるか
今回の一連の動きからは、カナダが次のような二つの課題を同時に抱えていることが見えてきます。
- 一方的な関税引き上げに対して、弱腰ではないことを示す必要
- しかし、報復合戦となる貿易戦争は何としても避けたいという思惑
現時点でカナダ政府は、トランプ次期大統領の周囲や米議会、ビジネス界に対し、水面下の対話と説得を重ねる「静かな外交」を中心に据えているようです。その一方で、州首相や一部の政治家が重要鉱物やエネルギーのカードに言及することで、カナダ側にも強い選択肢があることを米国に示そうとしている面もあります。
国際ニュースとしてこの動きを見ると、資源を背景にした交渉力が、今後の通商関係でますます重要になっていることが分かります。日本を含む他の国や地域にとっても、資源やサプライチェーンをどう多角化し、いかにして政治的リスクを抑えるかという課題は共通しています。
カナダと米国の駆け引きは、関税の行方だけでなく、重要鉱物とエネルギーをめぐる新しいパワーバランスの試金石にもなりそうです。
Reference(s):
Canadian premiers urge strong response to Trump tariff threat
cgtn.com








