イランがIAEA査察増加を容認 核施設フォルドで監視強化へ
イランが国際原子力機関(IAEA)による核施設への査察を増やすことを認めたと、2025年現在、国営メディアが伝えています。ウラン濃縮施設フォルドでの監視強化や、60%まで高められた濃縮活動をめぐり、イラン核問題を巡る国際的な緊張があらためて注目されています。
イランがIAEA査察増加を確認 「能力拡大に伴い自然な対応」
イランの核当局トップであるモハンマド・エスラミ氏は、国営通信IRNAの取材に対し、IAEAによる査察の数が増えていることを認めました。エスラミ氏は、
- イラン側が核活動の「能力を増強」していること
- 核物質を扱う規模が変化すれば、監視レベルが変わるのは「自然なこと」
だと説明しています。IAEAの報告書によれば、イランは同機関の要請に応じ、テヘラン南部にあるフォルド濃縮施設での「保障措置」の頻度と強度を高めることに合意しました。
焦点はフォルド濃縮施設 60%濃縮能力に国際的な警戒
IAEAは先週、イランがフォルド濃縮施設を改修し、最大60%まで濃縮したウランの生産速度を「大幅に引き上げる」ことが可能になったと指摘しました。60%という濃度は、核兵器の製造に用いられる90%に近い水準であり、国際社会の懸念が強まっています。
今回のIAEA報告書は、こうした濃縮能力の拡大を踏まえ、フォルドでの査察の「頻度」と「強度」を高めることで、監視を一段と強化する合意がまとまったことを明らかにしました。
- 対象施設:フォルド濃縮施設(テヘラン南部)
- 監視内容:IAEAによる保障措置の頻度・強度を増加
- 濃縮水準:最大60%(核兵器級の90%に接近)
イランは「平和利用」を強調 NPT枠組み内の監視と主張
イラン側は一貫して、自国の核計画は「平和目的」であり、核兵器の能力獲得を目指していないと主張しています。エスラミ氏は、
- IAEAは常に、保障措置協定と核拡散防止条約(NPT)の枠組みの中で監視を行ってきた
- イランはIAEAのアクセスを妨げておらず、「これからも妨げない」
と述べ、国際的なルールに基づいた監視を受け入れていると強調しました。
NPTは、加盟国に対し、保有する核物質を申告し、その管理をIAEAの監視下に置くことを求める条約です。イラン側は、自らの核活動がこの枠組みに沿っていると訴えています。
欧州3カ国は強く批判 国連制裁「全面復活」にも言及
一方で、イランの核活動を懸念する声も強まっています。先月、IAEA理事会がイランの「協力不足」を理由に非難決議を採択したことを受け、イランは対抗措置として「新型で高度な」遠心分離機を稼働させる計画を発表しました。遠心分離機はウランを濃縮するための中核設備であり、その高度化は核計画の拡大と受け止められています。
これに対し、イギリス、フランス、ドイツの3カ国は、イランによる核計画拡大の最新の動きを「非難」し、直ちに撤回するよう「強く求める」と表明しました。3カ国は国連安全保障理事会への書簡の中で、イランによる核開発を抑止するため、国連制裁を「全面的に復活」させる可能性にも言及しています。
制裁が再発動されれば、地域情勢やエネルギー市場を含め、国際社会への影響も避けられないとの見方があります。
2015年核合意から続く緊張のエスカレート
現在の緊張の背景には、2015年に結ばれたイランと主要国との核合意の行方があります。報道によると、この「画期的な」2015年合意は、イランの核計画に制限を課す代わりに、経済制裁の緩和を提供する内容でした。
しかし、米国のドナルド・トランプ氏が大統領として在任していた時期に、この合意から一方的に離脱して以降、イランと欧米の間で核問題を巡る緊張が大きく高まったとされています。今回のIAEA査察増加の合意は、その長く続く対立の流れの中での新たな一手ともいえます。
監視強化は「安心材料」か それとも新たな駆け引きの入り口か
IAEAによる査察増加は、一見すると透明性向上につながる「安心材料」に見えます。一方で、フォルドでの60%濃縮能力の拡大や、新型遠心分離機の導入計画、欧州3カ国による厳しい批判など、緊張を高める要素も同時に存在しています。
今後の焦点となるのは、次のような点だと考えられます。
- フォルド施設での査察強化が、実際にどこまで透明性を高めるのか
- イランがどの程度、核計画の拡大を続けるのか、それとも抑制に動くのか
- イギリス・フランス・ドイツなど欧州側が、国連制裁の全面復活に踏み切るのかどうか
イランは「平和利用」とNPT順守を強調し、IAEAによる監視受け入れの継続を訴えていますが、欧米側の疑念はなお根強く、2025年の今もイラン核問題は国際ニュースの重要な争点であり続けています。
Reference(s):
cgtn.com








