韓国国会が尹錫悦大統領を弾劾 戒厳令騒動の行方と韓国政治
韓国の国会が尹錫悦大統領の弾劾訴追案を可決し、戒厳令をめぐる政治危機が新たな段階に入りました。韓国政治とアジア情勢を考えるうえで重要な国際ニュースです。
弾劾訴追案は204票で可決
韓国の国会は今月上旬の土曜日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案を賛成204票で可決しました。憲法に基づく弾劾成立に必要な200票を上回り、大統領は職務が停止されました。韓国の通信社・聯合ニュースによります。
弾劾訴追の理由は、内乱の疑いです。今月3日に尹氏が戒厳令の発令を試みたものの失敗に終わり、韓国社会が大きな政治的混乱に陥ったことが背景にあります。
採決の日、ソウルの街頭には尹政権を支持する人々と、弾劾を求める人々の双方が集まり、数十万人規模の集会が開かれました。国会内外で緊張が高まるなかでの採決となりました。
与党内でも揺れる対応 野党は「国民の勝利」と歓迎
弾劾訴追案は先週、一度目の採決が試みられましたが、与党「国民の力」が本会議をボイコットし、定足数に達せずに廃案となっていました。
しかし今回、与党は採決の欠席ではなく、反対票を投じる方針に転換しました。最終的に300議席のうち85人が反対票を投じ、多数は棄権または無投票でした。それでも、野党側が必要としていた与党議員の一部が賛成に回ったことで、弾劾は可決されました。
最大野党・共に民主党の朴チャンデ院内代表は、弾劾可決を「国民の勝利だ」と評価し、街頭の声が国会を動かしたと強調しました。
尹大統領は「しばらく身を引く」 テレビ演説で訴え
採決後、尹大統領はテレビ演説を行い、「しばらく身を引く」と述べました。そのうえで、過剰と対立の政治を終わらせるべきだと呼びかけ、「私がしばらく身を引かねばならなくなったとしても、未来に向かう歩みが止まってはならない」と訴えました。
尹氏はこれまで、辞任要求に対して「最後の瞬間まで戦う」と強硬姿勢を崩さず、与党内からもその態度に対する不満が公然と示されていました。今回の弾劾可決は、そうした与党内の動揺も反映したものだと受け止められています。
今後は憲法裁判所が判断 最大180日間の審理へ
弾劾訴追案の可決により、尹大統領は直ちに職務停止となり、韓国の首相である韓悳洙(ハン・ドクス)氏が当面の国政を担うことになります。
大統領の去就は、今後最大180日以内に憲法裁判所が下す判断に委ねられます。弾劾が認められれば、尹氏は韓国史上2人目の正式に罷免された大統領となります。一方、棄却されれば職務に復帰することになります。
韓国民主主義にとって弾劾は何を意味するか
韓国ではここ数年、大統領に対する捜査や弾劾が政治の日常風景の一部となりつつあります。今回の弾劾は、権力行使への強い監視と、市民社会の動員力を示す一方で、政治的な分断の深さも浮き彫りにしました。
戒厳令という非常手段をめぐる混乱の末に、大統領弾劾という憲法上の最終手段が使われたことは、韓国の民主主義の強さと脆さの両方を映す出来事だと言えます。
日本からこのニュースをどう見るか
日本にいる私たちにとっても、近隣国である韓国の政治危機は、東アジアの安定や経済にも影響しうる重要な国際ニュースです。
- 非常時の権限をどこまで大統領に与えるべきか
- 街頭の声と議会制民主主義の関係をどう考えるか
- 弾劾という制度は、政治的対立を深めるのか、それとも抑制するのか
憲法裁判所の最終判断が出るまでの最大180日間、韓国政治の行方と社会の反応が、東アジア全体の政治空気にも影響を与える可能性があります。引き続き動向を注視する必要がありそうです。
Reference(s):
South Korean lawmakers vote to impeach President Yoon Suk-yeol
cgtn.com








