シリアで学校が再開 アサド政権崩壊から1週間、見え始める日常
13年に及ぶ内戦とバッシャール・アル・アサド政権の崩壊を経たシリアで、学校が再び動き始めました。今週日曜日、新しい実権者のもとで全国の学校に再開命令が出され、長く途絶えていた「日常」を取り戻せるのかが注目されています。
首都制圧から約1週間、学校に子どもたちが戻る
反政府勢力が首都を掌握し、アサド氏がシリアを離れてから約1週間。新しい統治当局は、国民生活の安定を印象づける一手として学校再開を打ち出しました。
当局によりますと、アラブ諸国の多くで週の初めにあたる日曜日に、国内の「ほとんどの学校」が授業を再開したとされています。長く続いた戦闘や避難で沈黙していた教室に、久しぶりに子どもたちの声が戻りつつあります。
一方で、治安や今後の政治状況への不安は根強く、すべての家庭がすぐに子どもを送り出したわけではありません。新しい秩序がどれだけ安定しているのか、親たちは慎重に見極めようとしています。
新たな実権者アル・シャラー氏 13年の内戦後の重い課題
シリアの新たな事実上の指導者とされるのが、アフマド・アル・シャラー氏です。同氏は、13年にわたる内戦で荒廃した国を立て直すという、きわめて重い課題に直面しています。
- 数十万人規模とされる犠牲者
- 都市部が爆撃で廃虚と化したインフラの崩壊
- 国際制裁によって深刻な打撃を受けた経済
- 今も国外のキャンプで暮らす何百万人もの難民
学校再開は、その中でも象徴的な一歩にすぎません。治安の維持、政治制度の再構築、制裁下での経済運営など、アル・シャラー氏の前には中長期的な課題が山積しています。
13年の戦争が教育にもたらした深い傷
13年に及んだ内戦は、子どもたちの教育にも大きな空白を生みました。前線となった地域では学校そのものが破壊され、多くの家庭が避難を余儀なくされたことで、まとまった教育を受けられなかった世代が生まれています。
校舎や教室の物理的な損壊だけでなく、長引く戦闘や空爆を経験した子どもたちの心のケアも避けて通れません。教員の不足や流出、カリキュラムをどのように組み立て直すのかといった制度面の課題もあります。
今回の学校再開は、こうした問題に正面から向き合うスタートラインでもあります。教室に戻ることが、「安全」と「希望」を実感できる体験となるのかが問われています。
保護者は慎重 段階的に通学を再開
現地では、子どもたちの通学を巡って保護者の判断が分かれています。ある母親は、「学校側からは中学生と高校生は戻るように言われました。小さい子どもたちはあと2日してから通う予定です」と話しました。
3人の子どもを育てるラギーダ・ゴスンさん(56)は、AFP通信に対し、上の子どもたちを先に学校に戻し、幼い子どもたちについては状況を見ながら通学を再開させる考えを示しています。多くの家庭が同じように、段階的な判断をしているとみられます。
保護者にとっての最大の関心事は、安全と将来です。通学路の安全が確保されているのか、新しい当局がどれだけ学校や地域を守れるのかが、信頼の鍵になります。
「普通の生活」をどう取り戻すか
学校の再開は、戦後シリアの行方を占う試金石といえます。教室の明かりがともったからといって、すぐに平穏な日常が戻るわけではありませんが、子どもたちが学びを取り戻すことは、社会の再建にとって不可欠です。
内戦で傷ついた社会の分断をどう乗り越え、国内外に散らばった人々が安心して帰還し、仕事と教育の機会を得られるようにするのか。新しい指導部の対応は、シリアの未来を左右するだけでなく、近隣地域や国際社会の安定にも影響を与える可能性があります。
教室に戻った生徒たちの一日が、爆音ではなく授業の声で始まり続けるのか。今後の治安や政治の行方とともに、教育現場の変化を追うことが、シリアの変化を知るうえで重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







